「生物学的精神医学」の版間の差分

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 [[カテコール-O-メチル基転移酵素]](Catechol-O-methyltransferase, COMT)は、細胞質内にあり、[[ドーパミン]]などの[[カテコールアミン]]を分解する酵素である。これには、高活性と低活性の多型があり、158番目のアミノ酸が[[wikipedia:ja:バリン|バリン]](valine)のものは、高活性で、[[wikipedia:ja:メチオニン|メチオニン]](methionine)のものは、低活性である。Val-COMTでは、ドーパミンの分解が促進され、[[作業記憶]]課題の成績がより低いこと、そして、このvalアリルと統合失調症の関連が研究されている。[[wikipedia:ja:一卵性双生児|一卵性双生児]]の一致率は、約50%で、不一致組では、発症例の方に、脳の形態学的変化が認められる。
 [[カテコール-O-メチル基転移酵素]](Catechol-O-methyltransferase, COMT)は、細胞質内にあり、[[ドーパミン]]などの[[カテコールアミン]]を分解する酵素である。これには、高活性と低活性の多型があり、158番目のアミノ酸が[[wikipedia:ja:バリン|バリン]](valine)のものは、高活性で、[[wikipedia:ja:メチオニン|メチオニン]](methionine)のものは、低活性である。Val-COMTでは、ドーパミンの分解が促進され、[[作業記憶]]課題の成績がより低いこと、そして、このvalアリルと統合失調症の関連が研究されている。[[wikipedia:ja:一卵性双生児|一卵性双生児]]の一致率は、約50%で、不一致組では、発症例の方に、脳の形態学的変化が認められる。


 統合失調症の感受性遺伝子としては、メタ解析からは、ニューレグリン(neuregulin)、ディスビンディン(dysbindin)との関連が報告された。これらの遺伝子多型が、脳構造や精神生理学的指標と関連すると報告されている(例. ニューレグリンと側脳室の拡大、[[滑動性眼球運動]]との関連など)。生化学的には、[[GABA]]ニューロン上のN-methyl-D-aspartate, [NMDA]]型[[グルタミン酸]]受容体の低活性仮説が有力である。
 統合失調症の感受性遺伝子としては、メタ解析からは、ニューレグリン(neuregulin)、ディスビンディン(dysbindin)との関連が報告された。これらの遺伝子多型が、脳構造や精神生理学的指標と関連すると報告されている(例. ニューレグリンと側脳室の拡大、[[滑動性眼球運動]]との関連など)。生化学的には、[[GABA]]ニューロン上の[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の低活性仮説が有力である。


==臨床応用==
==臨床応用==