「症状評価尺度」の版間の差分

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== 症状評価尺度とは ==
== 症状評価尺度とは ==
 症状評価尺度(以下、評価尺度)は、[[精神障害]]における[[精神症状]]の変化や、[[薬物]]・[[ストレス]]などの外的な刺激に対する精神状態や行動特性の変化、あるいは[[パーソナリティ特性]]などの、主として[[ヒト]]のこころの動きに起因する精神や言動の変化など、身体医学でしばしば用いられる[[画像診断]]や[[wikipedia:ja:血液検査|血液検査]]などの定量的な計量機器などによっては測定することができないような性質の精神・心理事象について、評価の対象となる症状の有無や重症度をできる限り定量的に測定するために開発されたものであり、精神医学や心理学の領域などで広く用いられている<ref>'''稲田俊也、岩本邦弘'''<br> 観察者による精神科領域の症状評価尺度ガイド 改訂版<br>''じほう''、東京、 2009</ref> <ref>'''稲田俊也、 樋口輝彦'''<br>症状評価法. In: 山内俊雄 (総編集)、 岡崎祐士、神庭重信、小山 司、武田雅俊 (編集):<br>精神科専門医のためのプラクティカル精神医学<br>''中山書店''、東京、pp213-220、 2009</ref> <ref>'''北村俊則'''<br>精神症状測定の理論と実際(第2版)<br>''海鳴社''、東京、1995</ref>。
 症状評価尺度(以下、評価尺度)は、[[精神障害]]における[[精神症状]]の変化や、[[薬物]]・[[ストレス]]などの外的な刺激に対する精神状態や行動特性の変化、あるいは[[パーソナリティ特性]]などの、主として[[ヒト]]のこころの動きに起因する精神や言動の変化など、身体医学でしばしば用いられる[[画像診断]]や[[wj:血液検査|血液検査]]などの定量的な計量機器などによっては測定することができないような性質の精神・心理事象について、評価の対象となる症状の有無や重症度をできる限り定量的に測定するために開発されたものであり、精神医学や心理学の領域などで広く用いられている<ref>'''稲田俊也、岩本邦弘'''<br> 観察者による精神科領域の症状評価尺度ガイド 改訂版<br>''じほう''、東京、 2009</ref> <ref>'''稲田俊也、 樋口輝彦'''<br>症状評価法. In: 山内俊雄 (総編集)、 岡崎祐士、神庭重信、小山 司、武田雅俊 (編集):<br>精神科専門医のためのプラクティカル精神医学<br>''中山書店''、東京、pp213-220、 2009</ref> <ref>'''北村俊則'''<br>精神症状測定の理論と実際(第2版)<br>''海鳴社''、東京、1995</ref>。


== 使用目的 ==
== 使用目的 ==
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 厳密な科学研究のためのデータ収集や客観的な重症度評価を行うためには、評価者面接による評価尺度(いわゆる狭義の評価尺度)を用いることが必要不可欠となる。
 厳密な科学研究のためのデータ収集や客観的な重症度評価を行うためには、評価者面接による評価尺度(いわゆる狭義の評価尺度)を用いることが必要不可欠となる。


 自己記入式質問票よりも被験者のバイアスが入りにくく、被験者の回答の姿勢や表情などが読みとれるなどの利点はあるが、その裏返しに研究者が自らの仮説に合致した方向で評価を行う危険性が指摘されている。これらを克服するために試験デザインにさまざまな工夫(例えば、[[wikipedia:ja:薬効評価|薬効評価]]における[[wikipedia:ja:無作為化プラセボ対照試験|無作為化プラセボ対照試験]]など)がなされている。
 自己記入式質問票よりも被験者のバイアスが入りにくく、被験者の回答の姿勢や表情などが読みとれるなどの利点はあるが、その裏返しに研究者が自らの仮説に合致した方向で評価を行う危険性が指摘されている。これらを克服するために試験デザインにさまざまな工夫(例えば、[[wj:薬効評価|薬効評価]]における[[wj:無作為化プラセボ対照試験|無作為化プラセボ対照試験]]など)がなされている。


== 信頼性と妥当性 ==
== 信頼性と妥当性 ==