「痛覚」の版間の差分

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 痛みは2種類に大別される。  
 痛みは2種類に大別される。  


 針で刺されたような鋭い痛みはfirst pain, quick pain, sharp painなどと称される。[[末梢神経]]の[[A-delta線維]]を上行し、その伝導速度は約10-20 m/secである。  
 針で刺されたような鋭い痛みはfirst pain, quick pain, sharp painなどと称される。[[末梢神経]]の[[Adelta線維|Aδ線維]]を上行し、その伝導速度は約10-20 m/secである。  


 [[wikipedia:ja:内臓|内臓]]痛、癌痛、歯痛などのような痛みはsecond pain, slow pain, burning painなどと称され、末梢神経の[[C線維]]を上行する。[[無髄線維]]であるため伝導速度は非常に遅く、約0.5-2.0 m/secである。いずれにしても、[[触覚]]、[[振動覚]]などの伝導速度は50-70 m/secであり、痛覚の伝導速度が非常に遅い事がわかる。その理由は未だ明確にされていない。  
 [[wikipedia:ja:内臓|内臓]]痛、癌痛、歯痛などのような痛みはsecond pain, slow pain, burning painなどと称され、末梢神経の[[C線維]]を上行する。[[無髄線維]]であるため伝導速度は非常に遅く、約0.5-2.0 m/secである。いずれにしても、[[触覚]]、[[振動覚]]などの伝導速度は50-70 m/secであり、痛覚の伝導速度が非常に遅い事がわかる。その理由は未だ明確にされていない。  
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 脊髄視床路を上行したシグナルは[[視床]]に到達する。視床には多くの核が存在するが、痛みの伝達系においては、[[外側脊髄視床路]](=新脊髄視床路)が終末している[[腹側基底核群]]と、[[前脊髄視床路]](旧脊髄視床路)が終末している[[髄板内核群]](主として[[外側中心核]]と[[束旁核]])が重要な役割を果たしていることが知られている。前者は[[第1次体性感覚野]](SI)に主に投射する中継点であり、皮膚、内臓、筋、関節からの(識別性の)感覚に関与している。  
 脊髄視床路を上行したシグナルは[[視床]]に到達する。視床には多くの核が存在するが、痛みの伝達系においては、[[外側脊髄視床路]](=新脊髄視床路)が終末している[[腹側基底核群]]と、[[前脊髄視床路]](旧脊髄視床路)が終末している[[髄板内核群]](主として[[外側中心核]]と[[束旁核]])が重要な役割を果たしていることが知られている。前者は[[第1次体性感覚野]](SI)に主に投射する中継点であり、皮膚、内臓、筋、関節からの(識別性の)感覚に関与している。  


 一方、後者は[[大脳辺縁系]]に投射し、痛みに関与する情動等に関与するとされている<ref name="ref1">'''牛田享宏,下和弘,新井健一'''<br>池本竜則,柿木隆介(2010)慢性痛の定義と発症機序<br>''神経治療''、27(4): 596-602.</ref>。以前より脳内の痛覚認知過程は、Lateral systemとMedial systemに分けられると考えられてきたが、まさに上述した2つの経路を表している。  
 一方、後者は[[大脳辺縁系]]に投射し、痛みに関与する情動等に関与するとされている<ref name="ref1">'''牛田享宏,下和弘,新井健一'''<br>池本竜則,柿木隆介(2010)慢性痛の定義と発症機序<br>''神経治療''、27(4): 596-602.</ref>。以前より脳内の痛覚認知過程は、Lateral systemとMedial systemに分けられると考えられてきたが、まさに上述した2つの経路を表している。


== 中枢メカニズム  ==
== 中枢メカニズム  ==