「相互相関解析」の版間の差分

編集の要約なし
 
36行目: 36行目:
==解釈==
==解釈==


 相互共分散関数の形状から、神経回路の機能的結合関係を推定することができると考えられている<ref name=perkel /><ref name=ostojic><pubmed> 19692598 </pubmed></ref>。例えば、ある二つの細胞の活動から計算した相互共分散関数が時間差0に幅の狭い大きなピークを持つ場合(図2)、二つの細胞は共通の興奮性入力を受け取っていると考えられる<ref><pubmed> 1000297 </pubmed></ref><ref name=toyama><pubmed> 6267211 </pubmed></ref>。相互共分散関数のピークの位置、幅を分析することにより、細胞間の興奮性結合や抑制性結合を推定することも可能である<ref name=perkel /><ref name=toyama /><ref><pubmed> 14711977 </pubmed></ref>。細胞 <math>X</math> から細胞 <math>Y</math> への興奮性結合の強度を定量化するために、細胞 <math>X</math> のスパイクの後どのくらいの割合で細胞 <math>Y</math> がスパイクを発射したか(efficacy)や、細胞 <math>Y</math> が発射したスパイクのうちどのくらいの割合が細胞 <math>X</math> のスパイクの後に発生したか(contribution)といった指標が用いられる<ref><pubmed> 5028229 </pubmed></ref>。
 相互共分散関数の形状から、神経回路の[[機能的結合]]関係を推定することができると考えられている<ref name=perkel /><ref name=ostojic><pubmed> 19692598 </pubmed></ref>。例えば、ある二つの細胞の活動から計算した相互共分散関数が時間差0に幅の狭い大きなピークを持つ場合(図2)、二つの細胞は共通の興奮性入力を受け取っていると考えられる<ref><pubmed> 1000297 </pubmed></ref><ref name=toyama><pubmed> 6267211 </pubmed></ref>。相互共分散関数のピークの位置、幅を分析することにより、細胞間の興奮性結合や抑制性結合を推定することも可能である<ref name=perkel /><ref name=toyama /><ref><pubmed> 14711977 </pubmed></ref>。細胞 <math>X</math> から細胞 <math>Y</math> への興奮性結合の強度を定量化するために、細胞 <math>X</math> のスパイクの後どのくらいの割合で細胞 <math>Y</math> がスパイクを発射したか(efficacy)や、細胞 <math>Y</math> が発射したスパイクのうちどのくらいの割合が細胞 <math>X</math> のスパイクの後に発生したか(contribution)といった指標が用いられる<ref><pubmed> 5028229 </pubmed></ref>。


 相互相関解析は機能的結合を間接的に推定する方法であるため、結果の解釈には曖昧性が残る可能性が指摘されている<ref name=perkel /><ref name=ostojic /><ref name=brody><pubmed> 10490937 </pubmed></ref>。例えばシミュレーションによって、異なるメカニズムで働く神経回路から同じようなピーク位置、幅を持つ相互相関関数が得られる場合があることが示されている<ref name=brody />。
 相互相関解析は機能的結合を間接的に推定する方法であるため、結果の解釈には曖昧性が残る可能性が指摘されている<ref name=perkel /><ref name=ostojic /><ref name=brody><pubmed> 10490937 </pubmed></ref>。例えばシミュレーションによって、異なるメカニズムで働く神経回路から同じようなピーク位置、幅を持つ相互相関関数が得られる場合があることが示されている<ref name=brody />。