神経幹細胞

提供:脳科学辞典
2016年3月31日 (木) 19:50時点におけるKenichimizutani (トーク | 投稿記録)による版

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神経幹細胞(neural stem cell : NSC)は、分裂・増殖することができる自己複製能を有し、様々な神経細胞とグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト)に分化する多分化能をもつ神経系の組織幹細胞である。

目次 1、神経幹細胞の増殖・未分化性を維持する分子機構 (1)Notchシグナル系 (2)FGFシグナル系 (3)Wntシグナル系

(1)Notchシグナル系  Notchシグナル系は、細胞間相互作用によって制御を受けるシグナル伝達経路で、膜貫通型タンパク質であるNotch受容体が、隣接する細胞の膜上に提示されたリガンド分子(Delta-likeあるいはJagged)と相互作用することによって細胞内にシグナルが伝わる。Notch受容体がリガンド刺激を受けると、プレセニリンを含みプロテアーゼ活性をもつγ-セクレターゼ複合体によってNotch受容体の細胞内ドメインが切り離され、膜から離れたNotch細胞内ドメインは核内に移行する。Notch細胞内ドメインは核内で転写因子CBF1(RBP-JまたはCSLとも呼ばれる)などと結合し、CBF1のターゲット遺伝子の転写を活性化する。


神経系の細胞を作る能力を持つ増殖細胞。場合により大きく定義が異なるが、「多分化能(様々なニューロンとグリア細胞を産生する能力)」と「長期維持(自己複製)能」を定義に加えることが多い。