「神経細胞リプログラミング」の版間の差分

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 そういった背景の中、2010年1月スタンフォード大学のWernig博士の研究グループはAscl1, Brn2, Myt1lという神経細胞に特異的に発現している3つの転写因子群をレトロウイルスを用いてマウス皮膚線維芽細胞に強制発現し、グルタミン酸作動性ニューロン様の細胞を直接誘導できることを発見した<ref name=Vierbuchen2010><pubmed>20107439</pubmed></ref> 。この誘導された神経細胞は神経細胞特有の活動電位や、シナプス形成能を持つことが示され、induced neural(iN)細胞と名づけられている。この発見を嚆矢として運動ニューロン<ref name=Son2011><pubmed>21852222</pubmed></ref> やドパミン作動性ニューロン<ref name=Caiazzo2011><pubmed>21725324</pubmed></ref> 、ノルアドレナリン作動性ニューロン<ref name=Li2019><pubmed>31315047</pubmed></ref> 、神経幹細胞<ref name=Han2012><pubmed>22445517</pubmed></ref><ref name=Lujan2012><pubmed>22308465</pubmed></ref> など多様な神経系細胞が誘導できることがこれまでに報告されてきている'''(図1)'''。
 そういった背景の中、2010年1月スタンフォード大学のWernig博士の研究グループはAscl1, Brn2, Myt1lという神経細胞に特異的に発現している3つの転写因子群をレトロウイルスを用いてマウス皮膚線維芽細胞に強制発現し、グルタミン酸作動性ニューロン様の細胞を直接誘導できることを発見した<ref name=Vierbuchen2010><pubmed>20107439</pubmed></ref> 。この誘導された神経細胞は神経細胞特有の活動電位や、シナプス形成能を持つことが示され、induced neural(iN)細胞と名づけられている。この発見を嚆矢として運動ニューロン<ref name=Son2011><pubmed>21852222</pubmed></ref> やドパミン作動性ニューロン<ref name=Caiazzo2011><pubmed>21725324</pubmed></ref> 、ノルアドレナリン作動性ニューロン<ref name=Li2019><pubmed>31315047</pubmed></ref> 、神経幹細胞<ref name=Han2012><pubmed>22445517</pubmed></ref><ref name=Lujan2012><pubmed>22308465</pubmed></ref> など多様な神経系細胞が誘導できることがこれまでに報告されてきている'''(図1)'''。
[[ファイル:Yamashita Fig1.jpg|サムネイル|200px|'''図1. マウスiN細胞'''<br>樹状突起マーカーMAP2並びにカテコールアミン神経のマーカーであるチロシン水酸化酵素(TH)の染色。矢印がiN細胞の細胞体。]]


== 特徴 ==
== 特徴 ==