「精神病性障害」の版間の差分

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===身体的基盤が明らかでない精神病性障害===
===身体的基盤が明らかでない精神病性障害===
 精神病症状が精神作用物質の使用によるものではなく、また原因となりうる身体疾患も認められない場合、ここに分類される。これは旧来、[[内因性精神病]]と呼ばれた。これは症状とその持続期間に応じて、DSM-5では「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」のうち妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症、統合失調感情障害、ICD-10ではF2群「統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害」のうち統合失調症(F20.x)、持続性妄想性障害(F22.x)、急性一過性精神病性障害(F23.x)、感応性妄想性障害(F24)、統合失調感情障害(F25.x)に分類される。
 精神病症状が精神作用物質の使用によるものではなく、また原因となりうる身体疾患も認められない場合、ここに分類される。旧来、[[内因性精神病]]とされたものの一部である。これは症状とその持続期間に応じて、DSM-5では「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」のうち妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症、統合失調感情障害、ICD-10ではF2群「統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害」のうち統合失調症(F20.x)、持続性妄想性障害(F22.x)、急性一過性精神病性障害(F23.x)、感応性妄想性障害(F24)、統合失調感情障害(F25.x)に分類される。


== 精神病症状があっても精神病性障害に含まれないもの ==
== 精神病症状があっても精神病性障害に含まれないもの ==
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 上記の精神病性障害以外の病態でも、たとえば[[気分障害]]、[[強迫性障害]]、[[解離性障害]]、[[PTSD]]、身体醜形障害、[[パーソナリティ障害]](統合失調型、境界性、妄想性など)、[[精神遅滞]]、[[広汎性発達障害]]などにおいて、精神病症状が出現することがある<ref name=ref6>'''針間博彦'''<br>妄想性障害とその周辺—DSM-IVとDSM-5<br>''臨床精神医学''、42(1);p13-20,2013.</ref>。
 上記の精神病性障害以外の病態でも、たとえば[[気分障害]]、[[強迫性障害]]、[[解離性障害]]、[[PTSD]]、身体醜形障害、[[パーソナリティ障害]](統合失調型、境界性、妄想性など)、[[精神遅滞]]、[[広汎性発達障害]]などにおいて、精神病症状が出現することがある<ref name=ref6>'''針間博彦'''<br>妄想性障害とその周辺—DSM-IVとDSM-5<br>''臨床精神医学''、42(1);p13-20,2013.</ref>。


 気分障害のエピソード中に妄想や幻覚などの精神病症状が見られる場合、DSM-5では気分エピソードなしに幻覚や妄想が存在する期間が2週間未満であれば気分障害と診断され、2週間以上であれば統合失調感情障害と診断される。一方、ICD-10 (DCR)<ref name=ref11 />では、気分障害に伴う精神病症状は、[[妄想#妄想知覚|Schneiderの1級症状]]を含む典型的な統合失調症状ではないとされる。したがって、気分症状が統合失調症状(統合失調症の全般基準G1(1))と同時に存在する場合、気分障害ではなく、統合失調感情障害あるいは統合失調症と診断される。これは、統合失調症と気分障害の鑑別におけるDSM-5とICD-10の重大な相違点の1つである<ref name=ref8>'''針間博彦、岡田直大'''<br>シュナイダーの1級症状について.妄想の臨床<br>''新興医学出版社''、東京、p98-110,2013.</ref>。
 気分障害のエピソード中に妄想や幻覚などの精神病症状が見られる場合、DSM-5では気分エピソードなしに幻覚や妄想が存在する期間が2週間未満であれば気分障害と診断され、2週間以上であれば統合失調感情障害と診断される。一方、ICD-10 (DCR)<ref name=ref11 />では、気分障害に伴う精神病症状は、[[妄想#妄想知覚|Schneiderの1級症状]]を含む典型的な統合失調症状ではないとされる。したがって、気分症状が統合失調症状(ICD-10 統合失調症の全般基準G1(1))と同時に存在する場合、気分障害ではなく、統合失調感情障害あるいは統合失調症と診断される。これは、統合失調症と気分障害の鑑別におけるDSM-5とICD-10の重大な相違点の1つである<ref name=ref8>'''針間博彦、岡田直大'''<br>シュナイダーの1級症状について.妄想の臨床<br>''新興医学出版社''、東京、p98-110,2013.</ref>。


 また、身体醜形障害、強迫性障害などにおいては、妄想と[[優格観念]](overvalued idea)の区別が問題となる。たとえば、身体醜形障害では、外見の想像上の欠陥に対するとらわれが妄想的強度をもって保持されることがある。この場合、DSM-IV-TRでは身体醜形障害と妄想性障害身体型の並存と診断されたが、DSM-5では、「身体醜形障害、病識が欠如した/妄想的確認を伴うもの」と診断され、妄想性障害など精神病性障害の診断は与えられない。妄想を伴う強迫性障害の診断についても、同様の変更が行われている。
 また、身体醜形障害、強迫性障害などにおいては、妄想と[[優格観念]](overvalued idea)の区別が問題となる。たとえば、身体醜形障害では、外見の想像上の欠陥に対するとらわれが妄想的強度をもって保持されることがある。この場合、DSM-IV-TRでは身体醜形障害と妄想性障害身体型の並存と診断されたが、DSM-5では、「身体醜形障害、病識が欠如した/妄想的確認を伴うもの」と診断され、妄想性障害など精神病性障害の診断は与えられない。妄想を伴う強迫性障害の診断についても、同様の変更が行われている。
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