「細胞膜」の版間の差分

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=== 物質の透過性  ===
=== 物質の透過性  ===


 脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]](transporter)と呼ばれる。この一例として、細胞膜は水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させることが知られているが、水輸送担体であるアクアポリンは膜を隔てた水分子の輸送を促進する。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送([[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]])を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]](symporter)や[[対向輸送体]](antiporter)がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配(Na<sup>+</sup>、K<sup>+</sup>、Ca<sup>2+</sup>など)は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。  
 脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]](transporter)と呼ばれる。この一例として、人工脂質2重層は水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させることが知られているが、水輸送担体であるアクアポリンは膜を隔てた水分子の輸送を促進する。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送([[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]])を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]](symporter)や[[対向輸送体]](antiporter)がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配(Na<sup>+</sup>、K<sup>+</sup>、Ca<sup>2+</sup>など)は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。  


=== 脂質膜の流動性  ===
=== 脂質膜の流動性  ===
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