「統合失調症」の版間の差分

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#臨床的な発症前から認知機能には軽度の障害があり、発症に伴って[[IQ]]換算で5~10点に相当する低下を生じ、(長期入院患者以外では)その後は一定に留まる。
#臨床的な発症前から認知機能には軽度の障害があり、発症に伴って[[IQ]]換算で5~10点に相当する低下を生じ、(長期入院患者以外では)その後は一定に留まる。
#[[日常生活機能]]や[[社会生活機能]]についての能力は、認知機能障害ともっとも関連しており、陰性症状との関連はより弱く、陽性症状とはあまり関係しない。その能力を実際に発揮している程度と認知機能障害との関連はより弱い。認知機能障害や機能レベルと社会認知障害の関係については、さらに検討が必要である。
#[[日常生活機能]]や[[社会生活機能]]についての能力は、認知機能障害ともっとも関連しており、陰性症状との関連はより弱く、陽性症状とはあまり関係しない。その能力を実際に発揮している程度と認知機能障害との関連はより弱い。認知機能障害や機能レベルと社会認知障害の関係については、さらに検討が必要である。
#抗精神病薬による認知機能の回復については検討が十分ではなく、機能的に意味のある改善は確認できていない。
#[[抗精神病薬]]による認知機能の回復については検討が十分ではなく、機能的に意味のある改善は確認できていない。


 以上のような症状のために、統合失調症は生活の障害と結びつきやすい。さまざまな疾患が生活を障害する程度を数値化した検討において、すべての疾患のなかで統合失調症の急性期が最大の障害をもたらすとされている<ref><pubmed> 23245605 </pubmed></ref>。そのため、統合失調症による社会経済的なコストについての各国のデータを日本の人口に換算すると年間2兆7千億円となり、その内訳は医療費を上回って就労できないことによるところが大きい。
 以上のような症状のために、統合失調症は生活の障害と結びつきやすい。さまざまな疾患が生活を障害する程度を数値化した検討において、すべての疾患のなかで統合失調症の急性期が最大の障害をもたらすとされている<ref><pubmed> 23245605 </pubmed></ref>。そのため、統合失調症による社会経済的なコストについての各国のデータを日本の人口に換算すると年間2兆7千億円となり、その内訳は医療費を上回って就労できないことによるところが大きい。