「網膜」の版間の差分

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==== 細胞タイプ ====
==== 細胞タイプ ====
 アマクリン細胞は、網膜の神経細胞のなかで最も多くの種類をもつ。形態学的には動物種に関わらずおよそ30-60の種類が存在し<ref name=Diamond2017><pubmed>28617659</pubmed></ref><ref name=Werblin2011><pubmed>21669978</pubmed></ref>、マウス網膜では電子顕微鏡解析により45種類が報告されていた<ref name=Helmstaedter2013><pubmed>23925239</pubmed></ref>。免疫組織化学研究から、GABA、[[グリシン]]、グルタミン酸などの[[アミノ酸]]、[[アセチルコリン]]、また[[セロトニン]]や[[ドーパミン]]などの[[モノアミン系]]や[[神経ペプチド]]など多様な伝達物質をもつことがわかっている<ref name=Diamond2017><pubmed>28617659</pubmed></ref> <ref name=Koontz1993><pubmed>8296457</pubmed></ref>。近年の網羅的[[1細胞遺伝子発現解析]]では、マウス網膜には遺伝学的には63タイプが存在し、そのうちGABA作動性(70%)が最も多く、次いでグリシン作動性(17%)であることが報告された<ref name=Yan2020><pubmed>32457074</pubmed></ref>。
 アマクリン細胞は、網膜の神経細胞のなかで最も多くの種類をもつ。形態学的には動物種に関わらずおよそ30-60の種類が存在し<ref name=Diamond2017><pubmed>28617659</pubmed></ref><ref name=Werblin2011><pubmed>21669978</pubmed></ref>、マウス網膜では電子顕微鏡解析により45種類が報告されていた<ref name=Helmstaedter2013><pubmed>23925239</pubmed></ref>。免疫組織化学研究から、GABA、[[グリシン]]、グルタミン酸などの[[アミノ酸]]、[[アセチルコリン]]、また[[セロトニン]]や[[ドーパミン]]などの[[モノアミン系]]や[[神経ペプチド]]など多様な伝達物質をもつことがわかっている<ref name=Diamond2017><pubmed>28617659</pubmed></ref><ref name=Koontz1993><pubmed>8296457</pubmed></ref>。近年の網羅的[[1細胞遺伝子発現解析]]では、マウス網膜には遺伝学的には63タイプが存在し、そのうちGABA作動性(70%)が最も多く、次いでグリシン作動性(17%)であることが報告された<ref name=Yan2020><pubmed>32457074</pubmed></ref>。


 これまで主に樹状突起形態、神経伝達物質、細胞体位置などを基準とした分類が試みられてきており、いくつかの細胞タイプが同定されている。近年同定された遺伝学的タイプとの相関については今後の研究が待ち望まれている。
 これまで主に樹状突起形態、神経伝達物質、細胞体位置などを基準とした分類が試みられてきており、いくつかの細胞タイプが同定されている。近年同定された遺伝学的タイプとの相関については今後の研究が待ち望まれている。
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 [[AII細胞]]は、多くの脊椎動物の網膜に共通に存在する代表的なグリシン作動性細胞である。細胞体は内顆粒層に位置し、細胞体から伸びる主樹状突起(primary dendrite)を起点に、細胞体近位では太く短い突起状の構造(lobular appendages)を内網状層オフ層に、遠位では細い複数の樹状突起(arboreal dendrites)をオン層に分岐する。樹状突起の広がりは30-50 µmほどで小型の細胞に分類される。
 [[AII細胞]]は、多くの脊椎動物の網膜に共通に存在する代表的なグリシン作動性細胞である。細胞体は内顆粒層に位置し、細胞体から伸びる主樹状突起(primary dendrite)を起点に、細胞体近位では太く短い突起状の構造(lobular appendages)を内網状層オフ層に、遠位では細い複数の樹状突起(arboreal dendrites)をオン層に分岐する。樹状突起の広がりは30-50 µmほどで小型の細胞に分類される。


 AII細胞は、遠位の樹状突起において、桿体型双極細胞から興奮性入力を、[[A17細胞]]など他のアマクリン細胞から抑制性入力を受ける。また、ギャップ結合([[コネキシン36]]、[[コネキシン45|45]])を介して周囲のAII細胞、およびオン型錐体双極細胞と電気的に連絡する<ref name=Mills2001><pubmed>11438934</pubmed></ref>[27]。一方、近位の樹状突起では、オフ型錐体双極細胞とシナプスを形成し、グリシンを放出する。つまりAII細胞は、(オン型)桿体経路から、[[電気シナプス]]を介してオン型錐体経路へと、[[化学シナプス]]を介してオフ型錐体経路へと情報を振り分けている。
 AII細胞は、遠位の樹状突起において、桿体型双極細胞から興奮性入力を、[[A17細胞]]など他のアマクリン細胞から抑制性入力を受ける。また、ギャップ結合([[コネキシン36]]、[[コネキシン45|45]])を介して周囲のAII細胞、およびオン型錐体双極細胞と電気的に連絡する<ref name=Mills2001><pubmed>11438934</pubmed></ref>。一方、近位の樹状突起では、オフ型錐体双極細胞とシナプスを形成し、グリシンを放出する。つまりAII細胞は、(オン型)桿体経路から、[[電気シナプス]]を介してオン型錐体経路へと、[[化学シナプス]]を介してオフ型錐体経路へと情報を振り分けている。


 AII-AII間の電気的結合性はドーパミンによって制御されており、暗時はトレーサーカップリングの結合性が低く、一つのAII細胞に導入したトレーサーで周囲の20細胞ほどが染色されるが、明時には300細胞ほどが染色される<ref name=Bloomfield1997><pubmed>9194323</pubmed></ref>[28]。網膜では、ドーパミン作動性細胞が[[メラトニン]]と共役し、明所視/昼間にはドーパミン濃度が高く、暗所視/夜間には低くなるので(後述)、[[明暗順応]]や[[概日リズム]]との関わりが示唆される。
 AII-AII間の電気的結合性はドーパミンによって制御されており、暗時はトレーサーカップリングの結合性が低く、一つのAII細胞に導入したトレーサーで周囲の20細胞ほどが染色されるが、明時には300細胞ほどが染色される<ref name=Bloomfield1997><pubmed>9194323</pubmed></ref>。網膜では、ドーパミン作動性細胞が[[メラトニン]]と共役し、明所視/昼間にはドーパミン濃度が高く、暗所視/夜間には低くなるので(後述)、[[明暗順応]]や[[概日リズム]]との関わりが示唆される。


==== Wide-field細胞 ====
==== Wide-field細胞 ====
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* クラスIII)視覚的な動きに反応する運動検出器
* クラスIII)視覚的な動きに反応する運動検出器
* クラスIV)明るさが徐々に暗くなる(黒い円盤が徐々に大きくなる)ときに反応するディミング検出器
* クラスIV)明るさが徐々に暗くなる(黒い円盤が徐々に大きくなる)ときに反応するディミング検出器
 これらの検出器が感受する刺激パターンは、カエルの生存に関わる行動と連関する生態学的意義を持つと考えられている。例えば、受容野内を動き回る小型の影は、カエルにとって餌となる虫を意味する。拡大する黒い円盤は、背後や上空から大きな外敵(捕食者)が自分に近づいてくることを意味する。実際、カエルだけでなく、魚類やげっ歯類など、様々な動物に拡大する黒い円盤を頭上に呈示すると、[[逃避]]や[[すくみ]]などの[[恐怖行動]]が誘発される<ref name=Pereira2016><pubmed>27750206</pubmed></ref><ref name=Yilmaz2013><pubmed>24120636</pubmed></ref>[36,37]。面白いことに、カエルの視覚システムでは、網膜に存在する[[ディミング検出器]](神経節細胞)群が単にスパイク発火するのではなく、これらが同期的かつ周期的にスパイク発火を生じることで逃避行動が誘発されることが分かっている<ref name=Ishikane2005><pubmed>15995702</pubmed></ref>[38]
 これらの検出器が感受する刺激パターンは、カエルの生存に関わる行動と連関する生態学的意義を持つと考えられている。例えば、受容野内を動き回る小型の影は、カエルにとって餌となる虫を意味する。拡大する黒い円盤は、背後や上空から大きな外敵(捕食者)が自分に近づいてくることを意味する。実際、カエルだけでなく、魚類やげっ歯類など、様々な動物に拡大する黒い円盤を頭上に呈示すると、[[逃避]]や[[すくみ]]などの[[恐怖行動]]が誘発される<ref name=Pereira2016><pubmed>27750206</pubmed></ref><ref name=Yilmaz2013><pubmed>24120636</pubmed></ref>。面白いことに、カエルの視覚システムでは、網膜に存在する[[ディミング検出器]](神経節細胞)群が単にスパイク発火するのではなく、これらが同期的かつ周期的にスパイク発火を生じることで逃避行動が誘発されることが分かっている<ref name=Ishikane2005><pubmed>15995702</pubmed></ref>。
[[ファイル:Yonehara Retina Fig4.png|サムネイル|'''図4. 網膜から異なる脳部位への投射の模式図'''<br>マウスにおける網膜神経節細胞から脳への代表的な投射。<br>dLGN([[背側外側膝状体]]; [[dorsal lateral geniculate nucleus]])、vLGN([[腹側外側膝状体]]; [[ventral lateral geniculate nucleus]])、SC([[上丘]]; [[superior colliculus]])、NOT/DTN([[視索核]]; [[nucleus of the optic tract]] / [[背側終止核]]; [[dorsal terminal nucleus]])、MTN([[腹側終止核]]; [[medial terminal nucleus]])、SCN([[視交叉上核]]; [[suprachiasmatic nucleus]])]]
[[ファイル:Yonehara Retina Fig4.png|サムネイル|'''図4. 網膜から異なる脳部位への投射の模式図'''<br>マウスにおける網膜神経節細胞から脳への代表的な投射。<br>dLGN([[背側外側膝状体]]; [[dorsal lateral geniculate nucleus]])、vLGN([[腹側外側膝状体]]; [[ventral lateral geniculate nucleus]])、SC([[上丘]]; [[superior colliculus]])、NOT/DTN([[視索核]]; [[nucleus of the optic tract]] / [[背側終止核]]; [[dorsal terminal nucleus]])、MTN([[腹側終止核]]; [[medial terminal nucleus]])、SCN([[視交叉上核]]; [[suprachiasmatic nucleus]])]]
==== 投射 ====
==== 投射 ====
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 [[ミュラーグリア細胞]]は、網膜に特有な[[放射状グリア細胞]]である。細胞体は内顆粒層に位置する。細胞体から伸びる突起は、網膜と色素上皮層との境目にある外境界膜から、網膜と硝子体との境目にある内境界膜の間を貫通する柱のような形状をしており、両境界膜の構成に寄与する。神経細胞へのエネルギー供給や、細胞外へ放出された伝達物質の取り込み、細胞外K<sup>+</sup>濃度の制御など、網膜細胞の代謝や活動性の維持に関わる様々な機能を担う。
 [[ミュラーグリア細胞]]は、網膜に特有な[[放射状グリア細胞]]である。細胞体は内顆粒層に位置する。細胞体から伸びる突起は、網膜と色素上皮層との境目にある外境界膜から、網膜と硝子体との境目にある内境界膜の間を貫通する柱のような形状をしており、両境界膜の構成に寄与する。神経細胞へのエネルギー供給や、細胞外へ放出された伝達物質の取り込み、細胞外K<sup>+</sup>濃度の制御など、網膜細胞の代謝や活動性の維持に関わる様々な機能を担う。


 他のグリア細胞と同様、ミュラーグリア細胞の重要な役割の一つは、シナプス伝達における[[恒常性]]の維持である<ref name=Goldman2014><pubmed>24894585</pubmed></ref>
 他のグリア細胞と同様、ミュラーグリア細胞の重要な役割の一つは、シナプス伝達における[[恒常性]]の維持である<ref name=Goldman2014><pubmed>24894585</pubmed></ref>。プレシナプスから放出された神経伝達物質の再取込みや分解、[[グルタミン酸合成酵素]]の誘導、細胞外イオンバランスの制御、また[[栄養因子]]の放出や錐体視細胞外節の貪食など、細胞の機能性維持に寄与する<ref name=Wang2011><pubmed>21111842</pubmed></ref>。さらに、ミュラーグリア細胞は、周囲の組織と比較して高い屈折率をもち、網膜組織に低散乱性を与え、またそれらが光の伝播方向に沿って平行配置されていることから、歪みの少ない光情報を低損失で視細胞へと転送する「オプティカルファイバー」のような役目をもつことも示唆されている<ref name=Franze2007><pubmed>17485670</pubmed></ref>。
[39]。プレシナプスから放出された神経伝達物質の再取込みや分解、[[グルタミン酸合成酵素]]の誘導、細胞外イオンバランスの制御、また[[栄養因子]]の放出や錐体視細胞外節の貪食など、細胞の機能性維持に寄与する<ref name=Wang2011><pubmed>21111842</pubmed></ref>[40]。さらに、ミュラーグリア細胞は、周囲の組織と比較して高い屈折率をもち、網膜組織に低散乱性を与え、またそれらが光の伝播方向に沿って平行配置されていることから、歪みの少ない光情報を低損失で視細胞へと転送する「オプティカルファイバー」のような役目をもつことも示唆されている<ref name=Franze2007><pubmed>17485670</pubmed></ref>[41]


 ミュラーグリア細胞は、組織の損傷や障害に応じて増殖を起こしたり、また形態や機能の変化させる([[グリオーシス]])。ミュラーグリア細胞のグリオーシスは、神経細胞を[[細胞死]]から防御するための様々な因子を放出したり、グルタミン酸の[[神経毒性]]を防ぐことで、神経細胞の維持に貢献する<ref name=Bringmann2009><pubmed>19660572</pubmed></ref>
 ミュラーグリア細胞は、組織の損傷や障害に応じて増殖を起こしたり、また形態や機能の変化させる([[グリオーシス]])。ミュラーグリア細胞のグリオーシスは、神経細胞を[[細胞死]]から防御するための様々な因子を放出したり、グルタミン酸の[[神経毒性]]を防ぐことで、神経細胞の維持に貢献する<ref name=Bringmann2009><pubmed>19660572</pubmed></ref>。
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[[ファイル:Yonehara Retina Fig5.png|サムネイル|'''図5. 中心-周辺拮抗型受容野'''<br>
[[ファイル:Yonehara Retina Fig5.png|サムネイル|'''図5. 中心-周辺拮抗型受容野'''<br>
'''A.''' オン型細胞の受容野。中心へのオン刺激、周辺へのオフ刺激によく応答するが、受容野全面を覆う一様な刺激にはあまり応答しない。<br>
'''A.''' オン型細胞の受容野。中心へのオン刺激、周辺へのオフ刺激によく応答するが、受容野全面を覆う一様な刺激にはあまり応答しない。<br>
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'''D.''' 遅い素子側から運動刺激が呈示されたときにはシナプス遅延が相殺され、入力加算が生じる。]]
'''D.''' 遅い素子側から運動刺激が呈示されたときにはシナプス遅延が相殺され、入力加算が生じる。]]
=== 運動方向選択性 ===
=== 運動方向選択性 ===
 [[ハエ]]や魚類、カメ、マウス、[[ウサギ]]、霊長類など多くの動物に共通して、動きの方向と速度に調節性をもつ[[方向選択性神経節細胞]]が存在する。これらの細胞は、特定の方向(選好方向)へ動く物体には強く反応するが、逆の方向(非選好方向)へはほとんど反応しない('''図6A''')。方向選択性神経節細胞は、形態学的、生理学的特徴から二つに大別される。すなわち、内網状層のオン層に樹状突起を伸ばし、遅い動きによく応答する[[オン型細胞]]と、内網状層のオン層とオフ層の二層に樹状突起を伸ばし、速い動きによく応答する[[オンオフ型細胞]]である。オン型細胞は、主に[[副視索核]]や[[視蓋前域]]へ投射し、視野の動きに伴う網膜像の揺動を安定させる反射的な眼球運動の制御に関わる<<ref name=Oyster1972><pubmed>5033683</pubmed></ref><ref name=Yoshida2001><pubmed>11430810</pubmed></ref><ref name=Yonehara2016><pubmed>26711119</pubmed></ref>[43-45]。オンオフ型は、主に上丘や外側膝状体へと投射し、身体運動(回転や前方への移動など)に伴う視野全体の動き(オプティカルフロー)の処理に関わると考えられている<ref name=Rasmussen2020><pubmed>32750354</pubmed></ref><ref name=Sabbah2017><pubmed>28607486</pubmed></ref>[46,47]
 [[ハエ]]や魚類、カメ、マウス、[[ウサギ]]、霊長類など多くの動物に共通して、動きの方向と速度に調節性をもつ[[方向選択性神経節細胞]]が存在する。これらの細胞は、特定の方向(選好方向)へ動く物体には強く反応するが、逆の方向(非選好方向)へはほとんど反応しない('''図6A''')。方向選択性神経節細胞は、形態学的、生理学的特徴から二つに大別される。すなわち、内網状層のオン層に樹状突起を伸ばし、遅い動きによく応答する[[オン型細胞]]と、内網状層のオン層とオフ層の二層に樹状突起を伸ばし、速い動きによく応答する[[オンオフ型細胞]]である。オン型細胞は、主に[[副視索核]]や[[視蓋前域]]へ投射し、視野の動きに伴う網膜像の揺動を安定させる反射的な眼球運動の制御に関わる<<ref name=Oyster1972><pubmed>5033683</pubmed></ref><ref name=Yoshida2001><pubmed>11430810</pubmed></ref><ref name=Yonehara2016><pubmed>26711119</pubmed></ref>。オンオフ型は、主に上丘や外側膝状体へと投射し、身体運動(回転や前方への移動など)に伴う視野全体の動き(オプティカルフロー)の処理に関わると考えられている<ref name=Rasmussen2020><pubmed>32750354</pubmed></ref><ref name=Sabbah2017><pubmed>28607486</pubmed></ref>。


 主な方向選択性形成機構は、スターバースト細胞からの空間非対称な抑制性入力である('''図6B''')。スターバースト細胞と方向選択性細胞とのシナプス結合は、非選好方向側でより多くなっており<ref name=Briggman2011><pubmed>21390125</pubmed></ref>、スターバースト細胞の遠心性方向選択性に応じた方向に対して強い抑制性入力が生じる。マウス網膜では、生後2週目までにシナプスが空間対称から非対称へと再編成が起こることがわかっている<ref name=Yonehara2011><pubmed>21170022</pubmed></ref><ref name=Wei2011><pubmed>21131947</pubmed></ref>。こうしたシナプスの再編成は、視覚経験には依存せず(再編成は開眼前に完了する)、発達期における自発的な神経発火([[retinal wave]])<ref name=Tiriac2022><pubmed>35491255</pubmed></ref>や回路形成のための分子機構が貢献することが見出されてきている<ref name=Wei2011 />。
 主な方向選択性形成機構は、スターバースト細胞からの空間非対称な抑制性入力である('''図6B''')。スターバースト細胞と方向選択性細胞とのシナプス結合は、非選好方向側でより多くなっており<ref name=Briggman2011><pubmed>21390125</pubmed></ref>、スターバースト細胞の遠心性方向選択性に応じた方向に対して強い抑制性入力が生じる。マウス網膜では、生後2週目までにシナプスが空間対称から非対称へと再編成が起こることがわかっている<ref name=Yonehara2011><pubmed>21170022</pubmed></ref><ref name=Wei2011><pubmed>21131947</pubmed></ref>。こうしたシナプスの再編成は、視覚経験には依存せず(再編成は開眼前に完了する)、発達期における自発的な神経発火([[retinal wave]])<ref name=Tiriac2022><pubmed>35491255</pubmed></ref>や回路形成のための分子機構が貢献することが見出されてきている<ref name=Wei2011 />。