「緑色蛍光タンパク質(サンプル)」の版間の差分

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[[Image:GFP structure.png|frame|GFPの結晶構造(Tsienらによる)]]
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[[Image:GFP-actin.png|200px|thumb|GFP-actin融合蛋白質を発現した海馬ニューロン(岡本・林による)]]
[[Image:GFP-actin.png|200px|thumb|GFP-actin融合蛋白質を発現した海馬ニューロン(岡本賢一・林康紀による)]]





2011年10月7日 (金) 20:38時点における版

GFPの結晶構造(Tsienらによる)
GFP-actin融合蛋白質を発現した海馬ニューロン(岡本賢一・林康紀による)


GFP、緑色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク、緑色蛍光蛋白質 (他の有り得そうな呼び方を書いて下さい。リダイレクトを作るのに使います。後で除きます。)

英:green fluorescent protein、独:Grün fluoreszierendes Protein、英略語:GFP (ドイツ語は無理していれる必要は有りません。)

 緑色蛍光蛋白質とは、オワンクラゲAequorea victoria由来の分子量約27,000の緑色の蛍光を発する蛋白質である。1960年代に下村脩により発光蛋白質であるエクオリンの精製の過程で同定された。エクオリンは生体内で緑色発光を示すが、精製標品は青色発光を示す。そのため、生体内ではエクオリンとGFPが複合体を作りエクオリンのエネルギーがGFPに移行する事により緑色の発光をすると考えられている。

 蛋白質が翻訳されると補酵素等の非存在下でSer65–Tyr66–Gly67のアミノ酸残基の自己脱水縮合により発色団が形成される。X線構造解析の結果からはこの発光団を囲むようにしてβシートが存在し(β-canあるいはβ-barrel構造とも呼ばれる)、周囲の環境から発色団を分離している。そのため、GFPの蛍光は比較的外的環境の影響を受けにくいが、酸性域では蛍光強度が低下することが有る。基本的には単量体であるが、高濃度の場合は2量体を形成する傾向もある。

 アミノ酸配列上、様々な変異が加えられ、蛍光強度が向上した他、青色、シアン、黄色の変異体も作られた。またこれに触発され様々な腔腸動物が調べられ、同じ基本構造を持つ蛋白質が多数見つかってきている。それらを元にさらに長波長側の蛍光をしめす蛋白質(例えば赤色蛍光を示すDsRedやそれを元に作成されたmOrange, mCherry, mStrawberryなど)も報告されている[1]

 GFPは異種の細胞でも容易に発現し、ほぼ毒性も無いのでGFPを発現するさまざまなトランスジェニック動物哺乳類から魚類無脊椎動物)が開発されている。遺伝子発現のレポーターや、その他の蛋白質と融合蛋白質を作成する事で、分子の局在を観察する事も可能である。また、Förster共鳴エネルギー移動(FRET)などを応用しセンサーとしての応用も可能で細胞内Ca2+シグナル伝達酵素反応などの生体イメージングへの応用も試みられている[2]


参考文献

  1. Giepmans BN, Adams SR, Ellisman MH, Tsien RY. The fluorescent toolbox for assessing protein location and function. Science. 2006 Apr 14;312(5771):217-24
  2. Miyawaki A. Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron. 2005 Oct 20;48(2):189-99.