「脳死」の版間の差分

556 バイト除去 、 2021年2月27日 (土)
205行目: 205行目:
 脳波、聴性脳幹反応以外の補助診断として正中神経刺激体性感覚誘発電位(SEP)、脳血管撮影、CT血管撮影(CTA)、経頭蓋ドップラー(TCD)、MRI、99mTc–HMPAO SPECTなどの検査がある。
 脳波、聴性脳幹反応以外の補助診断として正中神経刺激体性感覚誘発電位(SEP)、脳血管撮影、CT血管撮影(CTA)、経頭蓋ドップラー(TCD)、MRI、99mTc–HMPAO SPECTなどの検査がある。


== 脳死判定上のピットフォール ==
== 判定上のピットフォール ==
 わが国では臓器移植法成立(1997年)に伴い、法的脳死判定においては脳死判定基準(竹内基準)に従うことと定められ「法的脳死判定マニュアル」が公表された。先述のように法に規定する脳死判定により脳死とされ得る状態は、器質的脳障害により深昏睡、および自発呼吸を消失した状態と認められ、かつ器質的脳障害の原疾患が確実に診断されていて、原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合でも回復の可能性がないと認められる者である。従って非器質的脳障害例、人工呼吸器レスピレーター管理ではない例、自発呼吸が僅かでも残存している例、診断が完全には確定されていない例は脳死となり得ず、臓器提供などのために拙速な治療放棄を決して行ってはならない<ref name=永山正雄2016>脳死判定とCritical Care Neurology. 脳死・脳蘇生28(2):91-97</ref>[22]。
 わが国では臓器移植法成立(1997年)に伴い、法的脳死判定においては脳死判定基準(竹内基準)に従うことと定められ「法的脳死判定マニュアル」が公表された。先述のように法に規定する脳死判定により脳死とされ得る状態は、器質的脳障害により深昏睡、および自発呼吸を消失した状態と認められ、かつ器質的脳障害の原疾患が確実に診断されていて、原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合でも回復の可能性がないと認められる者である。従って非器質的脳障害例、人工呼吸器レスピレーター管理ではない例、自発呼吸が僅かでも残存している例、診断が完全には確定されていない例は脳死となり得ず、臓器提供などのために拙速な治療放棄を決して行ってはならない<ref name=永山正雄2016>脳死判定とCritical Care Neurology. 脳死・脳蘇生28(2):91-97</ref>[22]。


214行目: 214行目:


 反射、自動症に関しては、thumb extension, leg flexion, Babinski sign, Lazarus sign、深部腱反射、脊髄反射、呼吸様運動ほかについて認識、習熟が必要である。
 反射、自動症に関しては、thumb extension, leg flexion, Babinski sign, Lazarus sign、深部腱反射、脊髄反射、呼吸様運動ほかについて認識、習熟が必要である。
 脳神経外科医、脳神経内科医のほとんどは、当事者として脳死判定に立ち会った経験が無く、また神経所見の評価、重症例の評価・管理に関して診療科、個人によりその能力は大きく異なる。また、脳波判読能力は脳神経内科医であっても必ずしも十分では無い。この傾向は米国でも認められ、脳死判定に関して神経救急・集中治療医(critical care neurologist、neurointensivist)への依頼が大幅に急増している。


== 国内外の動向 ==
== 国内外の動向 ==