「脳波」の版間の差分

771 バイト追加 、 2018年10月2日 (火)
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=== 再基準化 ===
=== 再基準化 ===
基準電極の位置に依存する脳波の空間分布の偏りについては、'''再基準化'''によって対処することが可能である。再基準化の方法に、'''平均基準化'''と'''連結基準化'''が挙げられる。平均基準化では、全電極の平均電位を基準とすることで、リファレンスの活性化による影響を減らして局所的な変化を比較的明確にすることができる。一方、連結基準化では複数の電極部位を連結して基準にする手法であり、左右半球での偏りをなくすために左右の耳朶の電極を連結させた両耳朶連結基準がよく用いられる。基準電極同士を直接連結させた場合、左右耳朶に接地した電極インピーダンス(頭皮との接触抵抗)が左右で異なっていると基準が脳中央部からインピーダンスの低い側に移動してしまう。対策として、オフラインで再基準化を行う方法がある。たとえば左耳朶を基準として脳波を記録する際には、逆の右耳朶の電極からも信号を記録し、解析時に右耳朶で記録された電位の1/2をすべての脳波から減算する。これにより、左右の耳朶の平均電位を再基準とすることができる。<br>
基準電極の位置に依存する脳波の空間分布の偏りについては、'''再基準化'''によって対処することが可能である。再基準化の方法に、'''平均基準化'''と'''連結基準化'''が挙げられる。平均基準化では、全電極の平均電位を基準とすることで、リファレンスの活性化による影響を減らして局所的な変化を比較的明確にすることができる。一方、連結基準化では複数の電極部位を連結して基準にする手法であり、左右半球での偏りをなくすために左右の耳朶の電極を連結させた両耳朶連結基準がよく用いられる。基準電極同士を直接連結させた場合、左右耳朶に接地した電極抵抗(皮膚との接触抵抗)が左右で異なっていると基準が脳中央部から抵抗値の低い側に移動してしまう。対策として、オフラインで再基準化を行う方法がある。たとえば左耳朶を基準として脳波を記録する際には、逆の右耳朶の電極からも信号を記録し、解析時に右耳朶で記録された電位の1/2をすべての脳波から減算する。これにより、左右の耳朶の平均電位を再基準とすることができる。<br>


=== 電極配置 ===
=== 電極配置 ===
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=== 入力抵抗と接触抵抗 ===
=== 入力抵抗と接触抵抗 ===
脳波計測では、脳を生体電源として探査電極とグラウンド電極で閉回路をつくり、オームの法則から探査電極にかかる電位を測る。しかし実際には生体内部では合計数十キロΩにもなる抵抗がかかっており、なおかつ変動することがあるため測定はできない。これによって探査電極にかかる電圧が生体電源電圧と等しくならず、正しい計測ができない。この生体内の抵抗を無視するために、脳波計の入力端子間における抵抗('''入力抵抗''')を高くする必要がある(10MΩ以上)。生体側の抵抗よりも入力抵抗が十分に高ければ、抵抗の両端で生じる電位差を脳で生じた電圧とほぼ等しいとみなすことができる。<br> 
脳波計測では、脳を生体電源として探査電極とグラウンド電極で閉回路をつくり、オームの法則から探査電極にかかる電位を測る。しかし実際には生体内部では合計数十キロΩにもなる抵抗がかかっており、なおかつ変動することがあるため測定はできない。これによって探査電極にかかる電圧が生体電源電圧と等しくならず、正しい計測ができない。この生体内の抵抗を無視するために、脳波計の入力端子間における抵抗('''入力抵抗''')を高くする必要がある(10MΩ以上)。生体側の抵抗よりも入力抵抗が十分に高ければ、抵抗の両端で生じる電位差を脳で生じた電圧とほぼ等しいとみなすことができる。<br> 
 生体信号の記録には、銀-塩化銀(Ag/AgCl)電極の電気特性が最も良いといわれている。ただし、脳波計の入力インピーダンスが十分に高ければ、電極の種類によらず歪のない計測ができるといわれている。電極を頭皮に接地する際には、頭皮との間に導電性のゲルを埋めて電気的に接触させる。この電極と頭皮における接触抵抗は、S/N比の高い脳波計測をするうえで非常に重要になってくる。接触抵抗が高いと閉回路に余計な抵抗が直列接続されることになり信号が減衰してしまうため、頭皮の角質を落とすといった前処理で下げる必要がある。接触抵抗は各電極とグラウンド電極間に交流電流を流した際の電極間抵抗として計測が可能であり、5kΩ以下にすることが望ましいとされる。また、電極抵抗はできるだけ一様に下げることが望ましい。これは電極抵抗の値が揃っていれば差動増幅器(脳波計)の特性によって同相信号が除去されるためであり、電源ラインから混入する交流障害(ハム)の影響を少なくすることができる。<br> 
 生体信号の記録には、銀-塩化銀(Ag/AgCl)電極の電気特性が最も良いといわれている。ただし、脳波計の入力インピーダンスが十分に高ければ、電極の種類によらず歪のない計測ができるといわれている。電極を頭皮に接地する際には、頭皮との間に導電性のゲルを埋めて電気的に接触させる。この電極と頭皮における接触抵抗は、S/N比の高い脳波計測をするうえで非常に重要になってくる。接触抵抗が高いと閉回路に余計な抵抗が直列接続されることになり信号が減衰してしまうため、頭皮の角質を落とすといった前処理で下げる必要がある。接触抵抗は各電極とグラウンド電極間に交流電流を流した際の電極間抵抗として計測が可能であり、5kΩ以下にすることが望ましいとされる。また、接触抵抗はできるだけ一様に下げることが望ましい。これは電極抵抗の値が揃っていれば差動増幅器(脳波計)の特性によって同相信号が除去されるためであり、電源ラインから混入する交流障害(ハム)の影響を少なくすることができる。<br> 
 入力インピーダンスは脳波計の性能次第であるが、ボルテージフォロワのような回路が仕込まれている電極では、電極ごとの接触インピーダンスに応じて入力インピーダンスを十分に上げることができる。この電極を能動電極('''アクティブ電極''')とよび、対照的に回路が組み込まれていな電極を'''パッシブ電極'''と呼ぶ。<br>
 近年では、接触抵抗にあまり左右されにくい'''アクティブ'''電極が使われるようになってきた。入力抵抗は脳波計の性能次第であるが、ボルテージフォロワのような回路が仕込まれているアクティブ電極では、電極ごとの抵抗に応じて入力抵抗を十分に上げることができる。これとは対照的に、回路が組み込まれていない従来の電極を'''パッシブ電極'''と呼ぶ。アクティブ電極によって高い入力抵抗を実現することにより、接触抵抗が電極間でバラついていてもある程度の値まで下がっていればその影響を小さくすることができる。これにより、シールドルーム外で電極リード線にノイズがのっても問題ない程度にS/N比を保つことができる。無論、アクティブ電極を用いる場合であっても余計なノイズの混入を防ぐためにはシールドルーム内での計測が望ましい。パッシブ電極では接触抵抗を一様に下げるためにかなりの労力と時間を要するが、これを大幅に短縮できるという点でもアクティブ電極の有用性は高い。<br>




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