「色覚」の版間の差分

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英語名:color vision 独: 仏:  
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<span style="line-height: 1.5em;">色覚とは,波長構成の異なる光に対し異なる視覚的感覚を生じる主観的体験.波長選択性の異なる複数種類の光受容器を備える必要があるが,複数の受容器を備えているからといって色覚があるとは限らない.色覚は内観報告による主観検査によってのみ判定されうる.
<span style="line-height: 1.5em;">色覚とは,波長構成の異なる光に対し異なる視覚的感覚を生じる主観的体験.波長選択性の異なる複数種類の光受容器を備える必要があるが,複数の受容器を備えているからといって色覚があるとは限らない.色覚は内観報告に基づく主観検査によってのみ判定されうる.
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2013年5月7日 (火) 09:54時点における版

英語名:color vision 独: 仏:

色覚とは,波長構成の異なる光に対し異なる視覚的感覚を生じる主観的体験.波長選択性の異なる複数種類の光受容器を備える必要があるが,複数の受容器を備えているからといって色覚があるとは限らない.色覚は内観報告に基づく主観検査によってのみ判定されうる.

背景:

ヒトの場合,網膜に3種類の錐体(cone)受容器と1種類の悍体(rod)受容器の4種類が存在しうる.このうち,明所視(photopic vision)では錐体受容器が主に色覚に寄与し,薄明視(mesopic vision)では悍体の寄与が存在すると考えられている.悍体の寄与を示す体験として赤と青の物体の相対的な明るさ感が明所視と薄明視で変化するプルキンエシフトが知られている(←脚注?).錐体および悍体受容器に含まれているものと異なる光受容色素をもつ網膜神経節細胞(メラノプシン神経節細胞)の存在が確認されている(文献)が,色覚への寄与は明らかではない.(←脚注?)

3種類の錐体が発現および機能している通常型(3色覚 trichromat)と,2種類が機能または発現している2色型(2色覚 dichromat),1種類のみが機能または発現している1色型(1色覚 monochromat)が存在する.1色覚には,悍体のみ(rod monochromat: 機能する錐体を全く持たない)の場合もある.錐体単体の信号では色覚を生じず,複数種類の錐体の差によって波長構成の差に関する信号が生じるため,1色覚では光の強弱の感覚しか得ることができない.3種類の錐体が網膜に発現しているものの,うち1種類の錐体の色覚への寄与が小さい(発現しているが機能が不完全,もしくは波長選択性が他の1種類と極めて近いため,差信号が弱い)場合には異常3色型(anomalous trichromat)と呼ばれる.

網膜に発現しうる錐体は遺伝的に決まるものと考えられており,X染色体の特定の座位の配列によって網膜に発現しうる錐体の種類が決まる(文献).主に劣性遺伝子を持つX染色体を受け継いだ男性に発現する事が多く,X染色体を2つ持つ女性は劣勢遺伝子のキャリアとなることが多い.ただし女性において,X染色体の組み合わせによっては,稀に4種類の錐体が発現し色覚に寄与する場合(4色覚tetorachromat)がある事が知られている(文献).※遺伝の記述については他所と重複していたらスキップ.もしくは生理学的背景へ.


1.現象:

2色覚者では,3色覚者が見分けられる色のうち特定のペアの弁別ができず,異常3色型も弱いながら類似の傾向が見られる(カラーバリアフリーに言及すべき?).これらの症状はアノマロスコープ(anomaloscope),色覚検査票(石原式仮性同色表:Ishihara’s pseudo isochromatic plates,Farnswars-Munsell’s 100 hue test,等)によって検査され,医学的には色覚異常と判定される.2色覚および異常3色覚者は日本人男性の約5%(白人男性の場合約8%)程度存在すると考えられている(文献).

色覚は,光の波長と1:1の対応関係を持たない.これは環境光の変化に適応する機構を備えているためと考えられる.例えば朝−昼−夕の太陽光のスペクトルの変化にもかかわらず物体の色を一定に知覚する機能(色恒常性:color constancy)を持つ.この機能を持たない場合,環境光の変化によって生存に必要な情報を逸失する場合もあり,色恒常性は魚類にも存在する事が確認されている(金魚:文献).逆に,色覚は他の感覚情報(触覚など)によって原点を校正する手段を持っていない点が,他の視覚感覚と異なる固有の特徴である.


2. 生理学的な側面. 2.1 錐体の多様性(1色覚,2色覚,3色覚(コモンタイプ,変則型),4色覚)動物については言及?

2.2 網膜〜外側膝状体

2.3 初期視覚野(第一次視覚野,第二次,第三次視覚野)

2.4 高次視覚野



5. 参考文献