色覚

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栗木 一郎
東北大学電気通信研究所知覚脳機能研究分野
DOI:10.14931/bsd.3513 原稿受付日:2018年10月31日 原稿完成日:2019年4月22日
担当編集委員:藤田 一郎(大阪大学 大学院生命機能研究科)

英語名:color vision, colour vision 独:Farbwahrnehmung 仏:vision des couleurs

 色覚には、色の弁別と色の見え方という大きく分けて2つの側面が存在し、それぞれの特性や背後の生理的メカニズムが異なる。弁別は、脳を含めた視覚情報処理機構の主に低次の特徴を反映しており、遺伝的に決まる色覚の多様性とも密接に関連する。色の見えのメカニズムは未解明の部分が多い。さらに高次では細かな色の差を越えて複数の色をグループとして扱う色カテゴリーという概念が存在し、その色名との対応も研究されている。

色覚とは

 色覚とは色に関わる感覚のことである。色とは、主として光のスペクトルの違いによって生じる視覚的感覚を指す。個人の脳内における内的感覚(主観)であり、その感覚/視覚的体験 (visual experience) 自体を他者と共有することが難しい。一般に、色に関する情報を他者と交換する際には色名(後述)が用いられる。

 一定の観察条件下において試験光の波長を変化させると、色の見え方が変化する。しかし一方で、照明光の波長スペクトル(色)など観察環境の変化が起きても,順応などの作用により感じる色を安定させる色恒常性[1]も機能する。具体的には、地表に到達する日光は日中から夕方にかけて長波長成分をより多く含む方向に変化するが、スペクトルの変化に比べて物体の色の見え方の変化は小さい。この現象は、物理的な波長やスペクトルに対して色の感覚が1対1で対応しないことを示している。

 すなわち、色知覚は波長やスペクトルとは異なり、環境によって変化する相対的な感覚である。その基準点は観察者に色味を与えない光:無彩色(むさいしょく)と呼ばれ、無彩色光は、視覚系の順応や物体と照明の関係など周囲の環境に適応して変化する。

 網膜に存在する分光感度の異なる複数の光受容器の応答から得られる神経信号の差分により、光の波長に依存するエネルギーすなわちスペクトルの情報を部分的に(理由は後述)得ることができる。光受容器の種類によって得られる色覚の次元が異なるため、光受容器の種類の多寡によって色覚に多様性が生じうる。ヒトの場合、可視波長域(およそ380-750nm)の中で異なる最大感度波長をもつ3種類の錐体(すいたい)と1種類の桿体(かんたい)を持ちうる。3種類の錐体は主に明所で機能して色覚に関連し、桿体は主に暗所で機能する。3錐体の典型的な最大感度波長は、約419 nm、531 nm, 558 nmであり、波長の短い方からSML錐体と呼ばれる。

色弁別と色の見えの違い:多重モデル

図1. 色立体:色相、彩度、明度
Wikipediaより改変。

 写実的に絵画を描く場合、色相や明るさ、鮮やかさが対象物の見た目と近づくように絵の具の色彩を選択する。このように絵画的な色の知覚 (pictorial color percept) のことを「色の見え(color appearance)」と言う。色の見えは、色の種類を表す色相(hue)、色みの鮮やかさを表す彩度(saturation)、明るさを示す明度(lightness/brightness)の3要素により表される(図1)。

 一方、ごく差異の小さい2色光を、色の見え方に関わらず見分ける事を「色弁別(いろべんべつ)」と言う。色弁別の実験では、色の質的な違い(どのように色が違うか;例えば、片方が少し赤みを帯びているとか、彩度が高いとか)について報告できる必要は無く、単に違いが検出できるか否かを判断すればよい。従って色弁別ができる場合でも、閾値付近では色の見え方(色相、彩度、明度)の違いが解らない場合も含まれうる。

 通常「色覚」と言うと、この2つの概念が同一視され、特に色覚異常の問題では両者が混同されがちである(詳細は後述)。しかし健常者でも、色がどのように見えるかと色が区別できるかどうかは別の問題であり、それぞれを担う神経機構も異なることに注意が必要である。

 色弁別の性質は、網膜神経節細胞外側膝状体など主に低次の視覚系の反対色メカニズムの特徴を反映している[2][3]と考えられている。一方、色の見え、すなわち色に関する知覚は主観的体験であり、脳損傷者により色の見えを失う皮質性色覚異常(cerebral achromatopsia:例えば[4])の症例などから考えると大脳皮質における神経信号として形成されていると考えられる(「色選択性細胞」参照)。

 色の見え方にも複数の状態が存在することが知られている。例えば白熱灯下や夕方の外光など、長波長の成分を多く含む光を照明とする場合、色恒常性により白い紙であるという認識(surface color / related color)を得るのと同時に、見かけでは昼間の太陽光の下で見るより赤みを帯びて見えるという感覚(apparent color / unrelated color)も経験する[5][6][1]。また、同一の光に対し、表面からの反射光として知覚する場合には茶色を知覚するが、光源としか見えない場合にはオレンジを知覚するなど、視対象の認識による影響も受ける(色の見えのモード mode of color appearance[7])。いずれも色に関する感覚でありながら、一つの対象物/光に対して同時に異なる知覚を得るということは、各々の感覚を生じさせているメカニズムが多層に存在する指摘とも対応し、知覚の神経基盤を考える際には注意が必要である。

 現象的詳細は色の見えを参照。

色覚メカニズム:「3色説」「4色説」と生理学的対応

図2:Hering の色相環(複製)
文献[8]より引用。
図3:3錐体応答から反対色応答へ
三角形は上からL-, M-, S-錐体、円形は上から輝度、赤−緑、青−黄の反対色チャネルを表す。三角形と円の間の実線は興奮性の結合、破線は抑制性の結合を表している。
図4:錐体応答空間横軸は図3の赤−緑チャネルの応答、縦軸は青−黄チャネルの応答に対応する。

 19世紀末から20世紀初頭にかけて色覚のメカニズムに関して対立する2つの学説が存在した。物理学者のThomas YoungHermann von Helmholtzは、3つの原色(例えば赤、緑、青)の混合により任意の可視光と同じ見え方を作ることができるという現象(条件等色メタメリズム; metamerism)の観察経験に基づく3色説を提案し、光に感受性を持つ細胞が3種類であると考えた[9]。この原理は現在のカラーディスプレイのほとんどが用いている色の表示方法と同一である。

 生理学者・心理学者のEwald Heringは、赤、緑、青、黄の4つの原色の組み合わせにより任意の色を表現できるとする4色説を唱えた。その中で、4つの原色の、赤と緑、青と黄は互いに対立した補色の関係にあると主張した。例えば赤い光に数十秒ほど順応した後で無色(灰色/白)の平面を見ると、赤の補色である緑が知覚される。青に順応した場合には黄色が知覚できる。さらに、赤と緑、あるいは青と黄が同時に知覚されず、「赤っぽい緑」や「青っぽい黄」といった補色を組み合わせた言語表現が存在しないことなどを総合し、赤-緑と青- 黄を正-負の極性で表現する2軸が張る空間を考えると任意の色相を表現できる事を提案した。図2はHeringの提案した補色関係を基とする色空間を示しており、 横軸・縦軸がそれぞれ青-黄と赤-緑の対立関係と成分の変化を表している。外周の円につけられた色は、内周の円において区切られた扇型で示された色相が4つ の原色の混合によって表現できることを示している。

 生理学的な背景に目を向けると、色覚に関連する光受容器である錐体が3種類であることは3色説を支持している。他方、網膜や外側膝状体で色選択性細胞が示す錐体拮抗型の特性は、錐体応答の加減算により概ね赤―緑、青―黄の色成分に選択的であることから、4色説を支持していると考えられる(図3)。すなわち生理学的にはいずれの説も正しかったという見方もできる。

 3原色の加法混色による条件等色の成立は、錐体が3種類しかないこと、および光が錐体に吸収され錐体応答の形式になるとスペクトルの情報が失われる現象単一変数の原理(またはユニバリアンスの原理、Principle of univariance; [10])に従うことに起因する。各錐体の応答は以下の式によって表現される。

(式1)

 ここで、EL,M,Sは長波長・中波長・短波長に感度ピークを持つ3錐体(L-、M-、S錐体)の活動量、I(λ)は錐体に入射する光、SL,M,S(λ)は3錐体の各々の分光感度を示している。この視物質が光を吸収し錐体応答が生じる過程において波長の情報は失われる。そのため、スペクトルが異なる光でも錐体応答が同じであれば、ヒトには同じ色に知覚される(条件等色)。

 一方で、色に関する情報は3錐体の応答の違いとして残存する。例えば、緑から赤にかけて色が変化する波長領域(500-700nm)の単色光に対しては、長波長に感度ピークを持つL錐体と中波長に感度ピークを持つM錐体が非常に拮抗した応答を示すのに対し、短波長に感度ピークを持つS錐体が弱く応答する。いま仮に、無色に見える光(図4の原点)に対するL錐体とM錐体の応答を基準に考えてみる。

 緑に見える光に対してはM錐体の応答が大きくなると同時にL錐体の応答が小さく(M錐体応答 > L錐体応答)なり、赤く見える光に対してはその逆(M錐体応答 < L錐体応答)が生じる。従って、L錐体とM錐体の差分を取り、無彩色をゼロと表現するとL錐体応答-M錐体応答(略してL-Mと表記:図4横軸)が正の時には赤、負の時には緑を表すことができる。青と黄の成分については、S錐体の応答とLおよびM錐体の和が拮抗して(同様にS-(L+M)と表記:図4縦軸)色の情報が得られる。網膜や外側膝状体における反対色細胞[2]の応答はこのように色情報を表現していると考えられている。理論上では反対色は正/負の関係で表現されるが、実際の神経信号ではゼロ以下の負の量を表現できない。実際には、反対色応答の正と負の各々に対応(半波整流)した2つのチャネルが存在する。具体的には、+L-M > 0 を出力する細胞と +M-L > 0(すなわち +L-M < 0)を出力する細胞の2つ、また +S-(L+M) > 0 と +(L+M)-S > 0 (すなわち +S-(L+M) < 0)の2つである。

 このような錐体応答の差を軸として定義した色の座標系としてMacLeod-Boynton空間[11]DKL空間[2]などが存在する。両者を総称して「MB-DKL空間」と呼ばれることもある。測光器などで測定した光を表す国際標準の座標系で工業的に用いられるCIE色度座標系のうち、一部は錐体応答空間と同じ性質を持つものがあり相互に線形変換が可能である。

 一方、脳内での色情報表現は多様性を増している様子が機能的MRI(functional MRI) を用いた人の研究で明らかにされつつある。少なくとも一次視覚野では錐体応答空間の2軸の間の色に選択性を持つ脳活動が報告されている[12][13][14][15]。 さらに高次の視覚野では次項で説明する色カテゴリーに対応した脳活動が見られるという報告もある[16]

色名と色カテゴリー

 色弁別の感度と色立体(図1)の体積から推定するとヒトは約数10万色を見分けることができると考えられるが、日常的に色を表現する際に用いる色名語はたかだか数十色名である。色名で色を表現する際には、微妙に異なる複数の色を1つのグループとして扱う「カテゴリー化」が行われている。ある言語の話者間で同じ色カテゴリー(color category)の指す色名のうち、大多数の人が共通して用いる単一色名語彙基本色名(basic color terms)という[17]。基本色名は、一定以上成熟した言語では共通した11色(日本語では、赤、緑、青、黄、オレンジ、紫、ピンク、茶、白、灰、黒)と言われ、11色名に満たない言語でも、色名の発生順序に一定の規則性があることが大規模な研究プロジェクト[18]で確認されている。

 色カテゴリーとは、微妙に異なる複数の色をまとめた色のグループのことで、必ずしも色名が対応するとは限らない。例えば、果実の成熟度を色で判断するときに、未成熟と成熟の間で線引き(カテゴライズ)をする場合を想定する。作業者は未成熟と成熟の色カテゴリーを持っているが、熟練者であってもその違いを言葉で表すことは必ずしも可能ではない。しかし多くの場合、それぞれの色カテゴリーに頭の中でなんらかの「名前」あるいは「ラベル」をつけており、その名前/ラベルが他者と共通している場合には、色名によって色カテゴリーを他者と共有する事が可能となる。日常の色に関するコミュニケーションは、こうした色カテゴリーと色名に関する対応のコンセンサスがあることにより成立している。

 色名に依存せず、クラスター解析を応用した方法で基本色カテゴリーを導出する研究手法も報告されている[19][20][21]。この方法を用いると色名の語源や類似語などの影響を受けず、例えば日本語の「桃」と「ピンク」など、同様の色カテゴリーに複数の色名語が用いられた場合でも、色カテゴリーを抽出できる利点がある。

ユニーク色

図5:反対色軸とユニーク色のずれ
文献[22]より改変。色のついた矢印は錐体応答空間(図4)の軸方向を示し、横軸/縦軸は4つのユニーク色に対応。

 Heringの色相環(図2)に代表される反対色の概念を反映した空間では、しばしば赤/青/緑/黄を色の見えの評価基準とする。この色相環を色味の評価に用いる際、これらの基準色(landmark colors)には他の色味をふくまない純粋な色としてユニーク色(unique hue)が用いられる。例えばユニーク赤は、色相環の上で色を変化させた際に青み/黄色みを含まないと感じる赤と定義する。他のユニーク色についても同様に定義される。ユニーク色には無視できない個人差があることが知られている[23][24]ため、基礎研究でユニーク色を用いる場合には、個人差を考慮し観察者ごとに予め色を調整する場合がある。

 さらに、反対色細胞の応答を最大化する色(cardinal hues:枢軸色)とユニーク色も一致しない[22][23][24]。多数のデータを平均した結果を見ると、ユニーク赤の色相方向は枢軸色のうちL–M軸の正の方向に近いが、他の3色は枢軸方向から明らかにずれている。従ってユニーク色を規定する生理的メカニズムは、網膜や外側膝状体に見られるような、錐体応答が拮抗して入力する反対色細胞ではないと考えられている。

色覚の多様性/色覚異常

 ヒトの場合、多数を占める色覚タイプは3色覚と呼ばれ、3種類の光受容器(錐体)をもつ。このうち1つ以上の錐体が発現しないもしくは機能が不十分な場合に、2色覚もしくは異常3色覚となる。2色覚/異常3色覚者は、正常3色覚者が見分けることができる色のうち、特定の組み合わせの弁別が困難になる。発現した錐体、問題のある錐体の種類に応じて以下のように区分される。

表1. 色覚型の分類
光受容器の数に基づく区分 色覚の特徴を決定づける光受容器に基づく区分 詳細
1色覚 (monochromat) 桿体 (rod monochromat) 桿体のみをもつ。
錐体 (cone monochromat) 錐体1種類のみをもつ。
2色覚 (dichromat) 1型 (protanope) L錐体をもたない。
2型 (deuteranope) M錐体をもたない.
3型 (tritanope) S錐体をもたない。
3色覚(trichromat) 異常3色覚 (anomalous trichromat) 1型 (protanomalous) L錐体に問題がある。
2型 (deuteranomalous) M錐体に問題がある。
3型 (tritanomalous) S錐体に問題がある。
正常3色覚 (normal trichromat) 錐体は問題がない。
4色覚 (tetrachromat) 女性に稀に存在[25]。遺伝子の異型接合(heterozygous)が原因とみられる。

 例えばM錐体に問題のある異常3色覚は、日本語では「2型異常3色覚」と呼ばれ、英語ではdeuteranomalous person または deuteranomalous vision と呼ばれる。異常3色覚の場合、3錐体のうち1つの錐体の感度ピークが他の錐体に近いため弁別能が相対的に低いことが原因、と考えられている。S錐体に関連する3型の色覚異常は非常に稀で、0.002-0.007%の比率と言われている。色覚異常として最も多いのが1型または2型の2色覚、1型または2型の異常3色覚の4タイプで、日本人男性の約5%と言われている。これは決して少ない数ではなく、1クラス40人の教室で男子が半数の20人と仮定すると、そのうち1人は上記の色覚異常の1つに当てはまるという比率である。

 色覚異常(2色覚/異常3色覚)は遺伝子X染色体が持つ遺伝子によって決められる伴性遺伝であり、遺伝子型によって色覚の型も特定できる[26]。優性なX染色体を持たない場合に発現するため、X染色体を1つしかもたない男性に多く発生する。男児はY染色体を父親から受け継ぐため、父親が色覚異常の場合でも母親から正常3色覚のX染色体を受け継げば正常3色覚になる。女児の場合、父親のX染色体を受け継ぐが、母親からもX染色体を受け継ぐため劣性遺伝子の抑制により、本人は色覚異常とならず保因者となる場合が多い[27]

 学校での定期健康診断における色覚検査は2003年まで全児童を対象に行われていたが、個人の差別やいじめに繋がる場合があるなど、社会的な問題が指摘されたため検査の義務が撤廃された。一方、色覚検査が行われなかった期間、日常的には大きな問題に直面しなかったことにより、異常3色覚者の若者が就職時に自分の色覚を突然知らされ、職業選択の変更を余儀なくされるなどの不利益も発生している。1794年に初めて自身の2型2色覚に関する現象観察を学会で講演(色覚に関する最初の学術的発表と言われ、1798年にその内容が論文誌に収録された[28])した英国の化学者John Dalton (1766-1844) も、20代半ばになるまで自分の色覚が他者と異なることを自覚しなかったという。社会的にセンシティブな事柄である反面、日常の生活の中では気づきにくい現象である事も、色覚異常の問題を難しくしている大きな特徴の一つである。

図6. 石原表の例
Wikipediaより。

 色覚の検査は、色の弁別を調べる方法がとられる。一次検査として石原式仮性同色表(Ishihara’s pseudo iso-chromatic plates、通称:石原表(Ishihara plates)、図6)[29]が用いられることが多い。石原表は軽度の異常3色覚も検出できる検出力の高さを持つ反面、偽陽性を含む率も高い(約5%)ことが指摘されている[30]。従って、他の色覚検査法であるFarnsworth-Munsell (FM) 100-hue test[31]またはPanel D-15 test[32]といった色相順序判断、赤と緑を混色し黄色と等色するレイリー均等[33]とよばれる等色検査など複数種の検査の結果を総合することで最終的な色覚型の診断をする必要があることが知られている。

 一方で、2色覚者/異常3色覚者でも、十分な照度と観察時間の下では正常3色覚者と同じ色名で物体色を回答することができる場合がある[34][35]。観察時間や明るさ等の条件が厳しくなると色名呼称が困難になることから[36]、長期間の無意識な訓練により、桿体の信号を部分的に利用するなど、何らかの手がかりを用いて3色覚者と同じ色名に結びつける方法を獲得していると考えられている。

 一般に他者の「色の見え」を体験することは難しいが、色差を輝度差に置き換えることで色覚異常者の「弁別」の困難さを体験する方法は存在する。実際の研究データ[37]に基づいて色覚異常を模擬するメガネやアプリが開発されており、どの色の組み合わせの弁別が難しいかを擬似的に体験することは容易にできる環境にある。典型的には、緑と黄、赤を使った配色による地形図などは色覚異常者には読みとりづらく、明度差としてしか知覚できない。また、2色覚者は紅葉による赤/緑系統の色の違いも知覚できない。これは錐体応答空間(図4)のL-M軸方向の情報が欠如(2色覚)あるいは減弱(異常3色覚)し、赤-緑方向の色の違いに関する情報が得られないためである。ハザードマップなど生命・財産にも関わりうる情報を赤-緑の色の違いだけで表現してしまうと、一部の色覚型の人に不利益が生じてしまう。このような色覚の多様性に基づく不利益を回避する工夫をカラーユニバーサルデザイン(Color Universal Design)と呼ぶ。

関連項目

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