「行動の抑制」の版間の差分

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 もう1つは[[皮質]]内での抑制の場合であり、この際には間接的な抑制プロセスが見られるという。このプロセスでは、当該の目標を前頭前皮質で表現することで、その目標と関連する領域が活動する。この活動が、その目標到達を阻害する別の脳領域の活動と競合し、後者の活動を抑制するのである。例えば、Stroop課題の場合、文字の色という目標を表現することで、色処理と関連する領域の活動が増し、文字処理と関連する脳領域の活動を抑制するということである。  
 もう1つは[[皮質]]内での抑制の場合であり、この際には間接的な抑制プロセスが見られるという。このプロセスでは、当該の目標を前頭前皮質で表現することで、その目標と関連する領域が活動する。この活動が、その目標到達を阻害する別の脳領域の活動と競合し、後者の活動を抑制するのである。例えば、Stroop課題の場合、文字の色という目標を表現することで、色処理と関連する領域の活動が増し、文字処理と関連する脳領域の活動を抑制するということである。  


 前頭前皮質以外で行動の抑制と関連がある領野は、島皮質と前補足運動野である<ref><pubmed>21376819</pubmed></ref>。前者は、行動の抑制そのものというよりは課題のルールや課題の準備と関連している可能性があるが、後者については、行動の抑制の中核システムであるという指摘もある。Sharpらは、前頭前皮質は予測していない出来事が生じた際の注意処理と関連しているにすぎず、前補足運度野を含む内側前頭皮質が行動の抑制の基盤であることを示唆している<ref><pubmed> 20220100</pubmed></ref>。近年のメタ分析によっても、ゴー・ノーゴー課題において、前頭前皮質の賦活は負荷の高い課題においてのみ見られたのに対して、前補足運動野は課題の負荷と独立して賦活することが示されている<ref><pubmed> 17850833</pubmed></ref>。
 前頭前皮質以外で行動の抑制と関連がある領野は、島皮質と前補足運動野である<ref><pubmed>21376819</pubmed></ref>。前者は、行動の抑制そのものというよりは課題のルールや課題の準備と関連している可能性があるが、後者については、行動の抑制の中核システムであるという指摘もある。Sharpらは、前頭前皮質は予測していない出来事が生じた際の注意処理と関連しているにすぎず、前補足運度野が行動の抑制の基盤であることを示唆している<ref><pubmed> 20220100</pubmed></ref>。近年のメタ分析によっても、ゴー・ノーゴー課題において、前頭前皮質の賦活は負荷の高い課題においてのみ見られたのに対して、前補足運動野は課題の負荷と独立して賦活することが示されている<ref><pubmed> 17850833</pubmed></ref>。


 これらから、右の下前頭領域を含む前頭前皮質だけではなく、前補足運動野を含む内側前頭皮質も行動の抑制と関連している可能性が示唆される。
 これらから、右の下前頭領域を含む前頭前皮質だけではなく、前補足運動野も行動の抑制において重要な役割を果たしている可能性が示唆される。


== 発達  ==
== 発達  ==
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