「行動テストバッテリー」の版間の差分

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==今後の展望==
==今後の展望==
 現在、マウスにおいてすべての遺伝子のノックアウトマウスをつくるというプロジェクト「[[wikipedia:International Knockout Mouse Consortium:国際ノックアウトマウスコンソーシアム|国際ノックアウトマウスコンソーシアム]]」 (IKMC, International Knockout Mouse Consortium)<ref name=ref75><pubmed>17218247</pubmed></ref>が国際的に協調して行われており、その中ではコンベンショナルなノックアウトマウスだけではなく、[[Cre-floxシステム]]によるコンディショナル(時期・部位特異的)ノックアウトマウスをすべての遺伝子について作製するというプロジェクトも進んでいる<ref name=ref76><pubmed>21677750</pubmed></ref>。これらのプロジェクトで作製されたマウスの表現型解析についても国際的な協力の下に行われており、国際共同開発プロジェクト「国際マウス表現型解析コンソーシアム」 (IMPC, International Mouse Phenotyping Consortium) では、IKMCで開発したノックアウトマウスの眼の形態観察、血液検査、各種の生理学的な指標の解析を大規模に行っている<ref name=ref77><pubmed>22566555</pubmed></ref>。
 現在、マウスにおいてすべての遺伝子のノックアウトマウスをつくるというプロジェクト「[[wikipedia:International Knockout Mouse Consortium:国際ノックアウトマウスコンソーシアム|国際ノックアウトマウスコンソーシアム]]」 (IKMC, International Knockout Mouse Consortium)<ref name=ref75><pubmed>17218247</pubmed></ref>が国際的に協調して行われており、その中ではコンベンショナルなノックアウトマウスだけではなく、[[Cre-loxシステム]]によるコンディショナル(時期・部位特異的)ノックアウトマウスをすべての遺伝子について作製するというプロジェクトも進んでいる<ref name=ref76><pubmed>21677750</pubmed></ref>。これらのプロジェクトで作製されたマウスの表現型解析についても国際的な協力の下に行われており、国際共同開発プロジェクト「国際マウス表現型解析コンソーシアム」 (IMPC, International Mouse Phenotyping Consortium) では、IKMCで開発したノックアウトマウスの眼の形態観察、血液検査、各種の生理学的な指標の解析を大規模に行っている<ref name=ref77><pubmed>22566555</pubmed></ref>。


 しかし、このような大規模解析においては、行動表現型の解析はごく簡単なスクリーニングに限定されており、例えばIMPCにおいて必須の実施項目とされている行動テストは筋力 (grip strength) と感覚 (acoustic startle/PPI, auditory brain stem response) のテストのみである。このように現状では限られた行動テストしか実施されておらず、重要な行動表現型が見落とされてしまう可能性がある。今後、高次脳機能の解析を含めた行動テストバッテリーによる網羅的な解析プロジェクトが実施され、作製された遺伝子改変マウスの行動表現型が解析されれば、新たな精神疾患モデルマウスの同定や、さまざまな遺伝子の脳における新規機能の発見などの成果が次々と得られると期待される。
 しかし、このような大規模解析においては、行動表現型の解析はごく簡単なスクリーニングに限定されており、例えばIMPCにおいて必須の実施項目とされている行動テストは筋力 (grip strength) と感覚 (acoustic startle/PPI, auditory brain stem response) のテストのみである。このように現状では限られた行動テストしか実施されておらず、重要な行動表現型が見落とされてしまう可能性がある。今後、高次脳機能の解析を含めた行動テストバッテリーによる網羅的な解析プロジェクトが実施され、作製された遺伝子改変マウスの行動表現型が解析されれば、新たな精神疾患モデルマウスの同定や、さまざまな遺伝子の脳における新規機能の発見などの成果が次々と得られると期待される。