「視交叉上核」の版間の差分

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 視交叉上核における神経節細胞の[[神経終末]]は、大部分が腹外側部に存在するが、これも種差が大きい。ラットでは腹外側部に限局するのに対し、マウスでは分布領域はそれより広く、中間部にも広がって、視交叉上核の2/3に分布し、ハムスターにおいては、さらに分布域が広い。興味深いことに[[視神経]]投射部位が大きいほど、光刺激による位相変動も大きい。
 視交叉上核における神経節細胞の[[神経終末]]は、大部分が腹外側部に存在するが、これも種差が大きい。ラットでは腹外側部に限局するのに対し、マウスでは分布領域はそれより広く、中間部にも広がって、視交叉上核の2/3に分布し、ハムスターにおいては、さらに分布域が広い。興味深いことに[[視神経]]投射部位が大きいほど、光刺激による位相変動も大きい。


 [[電子顕微鏡]]を用いた観察により、視神経終末は視交叉上核腹外側部のVIPやGRP細胞の[[樹状突起]]や[[細胞体]]に直接シナプスを形成することがわかった。また、この投射線維において、球形のミトコンドリアが認められる。網膜視床下部路の主要な神経伝達物質はグルタミン酸である。実際、光刺激を模して[[AMPA]]や[[NMDA]]を直接視交叉上核に投与すると、概日行動リズムの位相が変動する。視交叉上核では、[[AMPA型受容体]]の[[GluR2]]と[[GluR4]]およびNMDA型受容体の[[NR1]]と[[NR2C]]が強く発現している。また、[[Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide]]も網膜視床下部路の神経伝達物質と考えられている。
 [[電子顕微鏡]]を用いた観察により、視神経終末は視交叉上核腹外側部のVIPやGRP細胞の[[樹状突起]]や[[細胞体]]に直接シナプスを形成することがわかった。また、この投射線維において、球形のミトコンドリアが認められる。網膜視床下部路の主要な神経伝達物質は[[グルタミン酸]]である。実際、光刺激を模して[[AMPA]]や[[NMDA]]を直接視交叉上核に投与すると、概日行動リズムの位相が変動する。視交叉上核では、[[AMPA型グルタミン酸受容体]]の[[GluR2]]と[[GluR4]]および[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR1]]と[[NR2C]]が強く発現している。また、[[Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide]] (PACAP)も網膜視床下部路の神経伝達物質と考えられている。


 また、網膜のメラノプシン細胞は、視交叉を超え間脳最後部の神経核である外側膝状体の中間小葉にまで線維を延ばす。この領域は、視覚を司る視神経線維が終末する背側部と、脳幹諸核からの線維が投射する腹側部の中間に存在する。この中間小葉のニューロペプチドY (NPY)含有細胞は、視交叉上核の腹外側部へ投射する。NPY細胞は小型から中型の神経細胞であり、それらは全てGABA作動性でもある 。
 また、網膜のメラノプシン細胞は、視交叉を超え間脳最後部の神経核である外側膝状体の中間小葉にまで線維を延ばす。この領域は、視覚を司る視神経線維が終末する背側部と、脳幹諸核からの線維が投射する腹側部の中間に存在する。この中間小葉のニューロペプチドY (NPY)含有細胞は、視交叉上核の腹外側部へ投射する。NPY細胞は小型から中型の神経細胞であり、それらは全てGABA作動性でもある 。