「視床下核」の版間の差分

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==視床下核とは==
==視床下核とは==


[[Image:STN Fig2.jpg|thumb|300px|'''図2.大脳基底核を巡る神経回路'''<br>白矢印:興奮性投射、黒矢印:抑制性投射(編集コメント:これで正しいでしょうか?)]]  
[[Image:STN Fig2.jpg|thumb|300px|'''図2.大脳基底核を巡る神経回路'''<br>白矢印:グルタミン酸作動性興奮性投射、黒矢印:GABA作動性抑制性投射、灰色矢印:ドーパミン作動性投射]]  


 視床下核はその名のとおり、視床の下に存在する紡錘形の小さな核(ヒトでは大粒の大豆大)であり、大脳基底核を構成する核のひとつである(図1)。[[wikipedia:Jules Bernard Luys|Jules Bernard Luys]]が1865年に初めて記載したことからルイ体とも呼ばれる<ref>'''J S McKenzie'''<br>The subthalamic region of Luys, Forel, and Dejerine. In: The Basal Ganglia IX, ed by Groenewegen HJ, Voorn P, Berendse HW et al. <br>''Springer, Dordrecht,'' 2009, pp. 97-107</ref>。
 視床下核はその名のとおり、視床の下に存在する紡錘形の小さな核(ヒトでは大粒の大豆大)であり、大脳基底核を構成する核のひとつである(図1)。[[wikipedia:Jules Bernard Luys|Jules Bernard Luys]]が1865年に初めて記載したことからルイ体とも呼ばれる<ref>'''J S McKenzie'''<br>The subthalamic region of Luys, Forel, and Dejerine. In: The Basal Ganglia IX, ed by Groenewegen HJ, Voorn P, Berendse HW et al. <br>''Springer, Dordrecht,'' 2009, pp. 97-107</ref>。
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==構造==
==構造==
===局所解剖===
===局所解剖===
 視床の下に存在する紡錘形の小さな核(ヒトでは大粒の大豆大)である。現在では、視床下核ニューロンは、[[グルタミン酸]]作動性の興奮性であることが確立しているが、抑制性であると考えられていた時期もあった。(編集コメント:内部構築について特記する事がございましたら、ご記述下さい)
 視床下核は、単一の[[グルタミン酸]]作動性の投射ニューロンにより構成されている(現在は、興奮性であることが確立しているが、抑制性であると考えられていた時期もあった)。長い樹状突起を有し、また軸索は核内走行中に側枝を出す。


===入出力===
===入出力===
 [[大脳皮質]]からグルタミン酸作動性の興奮性入力を、[[淡蒼球外節]]から[[GABA]]作動性の抑制性入力を受け、淡蒼球外節・[[淡蒼球内節|内節]]、[[黒質網様部]]にグルタミン酸作動性の興奮性投射を送る。
====直接路・間接路モデル====
====直接路・間接路モデル====
[[Image:STN Fig3.jpg|thumb|300px|'''図3.視床下核の機能分化''']]  
[[Image:STN Fig3.jpg|thumb|300px|'''図3.視床下核の機能分化''']]  
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 が提案され、広く認められるようになってきた(図2)。<ref name=ref5><pubmed>10899204</pubmed></ref><ref><pubmed>12067746 </pubmed></ref>
 が提案され、広く認められるようになってきた(図2)。<ref name=ref5><pubmed>10899204</pubmed></ref><ref><pubmed>12067746 </pubmed></ref>


====大脳皮質からの入力====
====視床下核の体部位局在====
 視床下核背側部は、大脳皮質運動野から[[体部位局在]]を保った入力を受けていることから、運動領域と考えられる(図3)<ref><pubmed>8786443</pubmed></ref><ref><pubmed>    21541304</pubmed></ref>。大脳皮質[[一次運動野]]からは視床下核背側部のうち外側部に、補足運動野からは内側部に投射している。一次運動野の口腔顔面、上肢、下肢領域からは視床下核外側部において、外側から内側にかけて終止しているのに対し、[[補足運動野]]の口腔顔面、上肢、下肢領域からの投射は、内側部において内側から外側に終止している。すなわち、外側部、内側部それぞれに、互いに鏡像関係にあるような体部位再現がある(図3)。この運動領域の腹側には[[前頭前野]]から、その一部に[[眼球運動野]]から、最内側部には[[辺縁皮質]]から入力を受ける領域が存在する。したがって、視床下核は上下肢や体幹の運動だけではなく、[[眼球運動]]、前頭前野の機能である高次機能、[[辺縁系]]の機能である[[情動]]などにも関わっていると考えられる。
 視床下核背側部は、大脳皮質運動野から[[体部位局在]]を保った入力を受けていることから、運動領域と考えられる(図3)<ref><pubmed>8786443</pubmed></ref><ref><pubmed>    21541304</pubmed></ref>。大脳皮質[[一次運動野]]からは視床下核背側部のうち外側部に、補足運動野からは内側部に投射している。一次運動野の口腔顔面、上肢、下肢領域からは視床下核外側部において、外側から内側にかけて終止しているのに対し、[[補足運動野]]の口腔顔面、上肢、下肢領域からの投射は、内側部において内側から外側に終止している。すなわち、外側部、内側部それぞれに、互いに鏡像関係にあるような体部位再現がある(図3)。この運動領域の腹側には[[前頭前野]]から、その一部に[[眼球運動野]]から、最内側部には[[辺縁皮質]]から入力を受ける領域が存在する。したがって、視床下核は上下肢や体幹の運動だけではなく、[[眼球運動]]、前頭前野の機能である高次機能、[[辺縁系]]の機能である[[情動]]などにも関わっていると考えられる。


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