「記憶固定化」の版間の差分

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 異なる脳領域に依存する学習課題同士の間では行動タグは成立しない<ref><pubmed>19706547</pubmed></ref> 。さらに、海馬依存的な二つの学習課題同士の間で行動タグが成立する場合、記憶痕跡細胞の重複が重要である<ref><pubmed>27477539</pubmed></ref> 。すなわち、同一の神経細胞が些細な経験と新規環境の両方の記憶痕跡を担っている必要があり、このことは行動タグがシナプスタグ機構を用いていることを示唆している。
 異なる脳領域に依存する学習課題同士の間では行動タグは成立しない<ref><pubmed>19706547</pubmed></ref> 。さらに、海馬依存的な二つの学習課題同士の間で行動タグが成立する場合、記憶痕跡細胞の重複が重要である<ref><pubmed>27477539</pubmed></ref> 。すなわち、同一の神経細胞が些細な経験と新規環境の両方の記憶痕跡を担っている必要があり、このことは行動タグがシナプスタグ機構を用いていることを示唆している。
[[ファイル:Ohkawa Fig2.png|サムネイル|'''図2:記憶の固定化'''<br>文脈性恐怖条件付けでは、電線グリッドのある箱に入れられた状況や箱という空間を含む情報(文脈)がCS、電気ショックがUSとして使用され、これらが連合し恐怖記憶を形成する[46]。条件付けされたマウスやラットは、条件付け後に再度CSに曝されると再度電気ショックが来ることを恐れ身動きしなくなる“フリージング反応(すくみ行動)”を示す。このフリージングの割合を定量化したものが記憶の評価の指標として使用されている。トレーニング時のタンパク質合成阻害剤の投与は、動物のトレーニング1時間後までの短期記憶には影響を与えないが、24時間後の長期記憶形成を阻害する。これは、記憶の固定化にタンパク質合成が必要であることを示している(Cell 88: 615-626, 1997より抜粋改変)[4]。]]