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=== 幻影肢の神経リハビリテーション ===
=== 幻影肢の神経リハビリテーション ===


 Ramachandranは鏡を使って幻影肢が人工的に視覚フィードバックを与えることでに制御可能だと示した<ref name=ref16><pubmed>8637922</pubmed></ref>。幻影肢が不随意に動く感覚を訴える患者に対して、鏡の中に見える健常肢の鏡像と実際の幻影肢の空間的な位置を合わせ、幻影肢(健常肢の鏡像)が静止している映像を患者に観察させた。患者が上肢が静止している視覚フィードバックを獲得することによって、動く幻影肢の症状が軽減した。この結果は、幻影肢が体性感覚だけの体験ではなくて、幻影肢の生起にもともと視覚が関与していた可能性を示したことに加えて、身体図式の可塑性を利用することで幻影肢が解消できることを示した。一方、幻影肢を随意的に動かすことができる患者は、それができない患者と比較して幻肢痛を経験する割合が低いという。住谷らは幻肢痛に訴える患者に、鏡を用いて幻影肢の随意運動を獲得させる訓練を行った。その結果、有意に幻肢痛を軽減することを明らかにし、幻影痛に対する鏡療法の有効性を示した<ref name=ref17><pubmed>18463143</pubmed></ref>。
 [[wikipedia:ja:ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン|Ramachandran]]は鏡を使って幻影肢が人工的に視覚フィードバックを与えることでに制御可能だと示した<ref name=ref16><pubmed>8637922</pubmed></ref>。幻影肢が不随意に動く感覚を訴える患者に対して、鏡の中に見える健常肢の鏡像と実際の幻影肢の空間的な位置を合わせ、幻影肢(健常肢の鏡像)が静止している映像を患者に観察させた。患者が上肢が静止している視覚フィードバックを獲得することによって、動く幻影肢の症状が軽減した。この結果は、幻影肢が体性感覚だけの体験ではなくて、幻影肢の生起にもともと視覚が関与していた可能性を示したことに加えて、身体図式の可塑性を利用することで幻影肢が解消できることを示した。一方、幻影肢を随意的に動かすことができる患者は、それができない患者と比較して幻肢痛を経験する割合が低いという。住谷らは幻肢痛に訴える患者に、鏡を用いて幻影肢の随意運動を獲得させる訓練を行った。その結果、有意に幻肢痛を軽減することを明らかにし、幻影痛に対する鏡療法の有効性を示した<ref name=ref17><pubmed>18463143</pubmed></ref>。


=== ロボティクスにおける身体図式===  
=== ロボティクスにおける身体図式===