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<font size="+1">[http://researchmap.jp/kyosukekamada 鎌田 恭輔 ]</font><br>
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''旭川医科大学脳神経外科 ''<br>
''旭川医科大学脳神経外科 ''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2015年6月10日 原稿完成日:2015年月日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2015年6月10日 原稿完成日:2015年7月8日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/ichirofujita 藤田 一郎](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br></div>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/ichirofujita 藤田 一郎](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br></div>


英語名:pia mater 独:Pia mater, weiche Hirnhaut 仏:pie-mère
英語名:pia mater 独:Pia mater, weiche Hirnhaut 仏:pie-mère
{{box|text= 軟膜は、脳および脊髄を包む髄膜のうち、もっとも内部にある膜である。}}
{{box|text= 軟膜は、脳および脊髄を包む髄膜のうち、最も内部にある膜である。}}
[[image:軟膜1.png|thumb|300px|'''図1''']]
[[image:gray769.png|thumb|300px|'''図1.くも膜の解剖学的構造と周辺組織''']]
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[[image:gray749.png|thumb|300px|'''図2.側脳室下角におけるくも膜と脈絡巣の関係''']]
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 軟膜(なんまく)は、[[脳]]および[[脊髄]]を包む[[髄膜]]のうち、もっとも内部にある膜である。ラテン語で”pia mater”は"tender mother"(慈母:深い愛情をもつ母)を意味している。発生学的には、[[神経堤]]に由来する。薄く網状の膜で、脳の表面を隙間なく覆っており、皮質の溝の中にまで入り込んでいる(図1)。
 軟膜(なんまく)は、[[脳]]および[[脊髄]]を包む[[髄膜]]のうち、最も内部にある膜である。ラテン語で”pia mater”は"tender mother"(慈母:深い愛情をもつ母)を意味している。発生学的には、[[神経堤]]に由来する。薄く網状の膜で、脳の表面を隙間なく覆っており、皮質の溝の中にまで入り込んでいる(図1)。


 さらに外側の[[上軟膜層]](epipial layer)と内側の[[内軟膜]](intima pia)の2層に分けられる。
 軟膜は、外側の[[上軟膜層]](epipial layer)と内側の[[内軟膜]](intima pia)の2層に分けられる。
 
*'''上軟膜層''' [[wikipedia:ja:膠原線維|膠原線維]]状の組織が網の目のようにはりめぐらされた膜で、軟膜の外側を包むクモ膜の小柱とつながっている。[[大脳皮質]]には上軟膜がなく、脳に栄養を供給する血管は内軟膜の上を走り、クモ膜の小柱によって固定されている。


*'''内軟膜''' 隙間のない膜で、脳および脊髄の神経組織と癒着している。血管が脳内に入り込むところでは、内軟膜も折れ曲がって血管を包み込むように脳内に入り込んでいる。内軟膜の細胞は血管からではなく、神経組織内を拡散する[[脳脊髄液]]に栄養を依存する。
*'''内軟膜''' 隙間のない膜で、脳および脊髄の神経組織と癒着している。血管が脳内に入り込むところでは、内軟膜も折れ曲がって血管を包み込むように脳内に入り込んでいる。内軟膜の細胞は血管からではなく、神経組織内を拡散する[[脳脊髄液]]に栄養を依存する。


*'''上軟膜層''' [[wikipedia:ja:膠原線維|膠原線維]]状の組織が網の目のようにはりめぐらされた膜で、軟膜の外側を包むクモ膜の小柱とつながっている。[[大脳皮質]]には上軟膜がなく、脳に栄養を供給する血管は内軟膜の上を走り、クモ膜の小柱によって固定されている。
 脳[[軟膜]]は脳内部の空間である[[脳室]]にまで侵入し、脳室壁の[[脳室上衣細胞]]層と癒着して[[側脳室脈絡組織]]、[[第四脳室脈絡組織]]、および[[第三脳室脈絡組織]]を形成している。これらの[[脈絡組織]]は著しく血管に富む[[脈絡叢]]を形成しており、この脈絡叢から脳脊髄液が分泌される。そして、脳室内に浮遊している脈絡叢をつなぎとめる役割を果たしている(図2)。
 
 脊髄も頭蓋内脳組織と同様に、脊柱管内では[[硬膜]]、[[くも膜]]、および軟膜に覆われている。[[脊髄軟膜]]は脊髄を全周で覆っており、どの溝にも侵入している。脊髄軟膜は内軟膜と上軟膜層に分けられ、この2層の間に脊髄の動脈系、静脈系が存在している。


 [[脳軟膜]]は脳内部の空間である[[脳室]]にまで侵入し、脳室壁の[[脳室上衣細胞]]層と癒着して[[側脳室脈絡組織]][[第四脳室脈絡組織]]、および[[第三脳室脈絡組織]]を形成している。これらの[[脈絡組織]]は著しく血管に富む[[脈絡叢]]を形成しており、この脈絡叢から脳脊髄液が分泌される。そして、脳室内に浮遊している脈絡叢をつなぎとめる役割を果たしている(図2)。
 脊髄末端で軟膜は糸状となり、下方に伸びている。これを[[終糸]]とよび、[[wikipedia:ja:尾骨|尾骨]]の後面に付着している。また、脊髄軟膜は脊髄の両外側から鋸歯状の[[歯状靭帯]](ligamentum denticulatum)が出ており、[[前根]][[後根]]の間を通り、くも膜硬膜に付着して脊髄をつなぎとめている(図3)。歯状靭帯は脊髄全長で20対前後存在している。


 脊髄も頭蓋内脳組織と同様に、脊柱管内では[[硬膜]][[くも膜]]、および軟膜に覆われている。[[脊髄軟膜]]は脊髄を全周で覆っており、どの溝にも侵入している。脊髄軟膜は内層と外層に分けられ、この2層の間に脊髄の動脈系、静脈系が存在している。
==関連項目==
* [[硬膜]]
* [[くも膜]]
* [[脈絡叢]]


 脊髄末端で軟膜は糸状となり、下方に伸びている。これを[[終糸]]とよび、[[wikipedia:ja:尾骨|尾骨]]の後面に付着している。また、脊髄軟膜は脊髄の両外側から鋸歯状の[[歯状靭帯]](ligamentum denticulatum)が出ており、[[前根]]と[[後根]]の間を通り、くも膜硬膜に付着して脊髄をつなぎとめている(図3)。歯状靭帯は脊髄全長で20対前後存在している。
==参考文献==
# '''Werner Kahle、長島聖司・岩堀修明訳'''<br>『分冊 解剖学アトラスIII』第5版<br>''文光堂''、ISBN 4-8306-0026-8、日本語版2003年

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鎌田 恭輔
旭川医科大学脳神経外科
DOI:10.14931/bsd.5971 原稿受付日:2015年6月10日 原稿完成日:2015年7月8日

担当編集委員:藤田 一郎(大阪大学 大学院生命機能研究科)

英語名:pia mater 独:Pia mater, weiche Hirnhaut 仏:pie-mère

 軟膜は、脳および脊髄を包む髄膜のうち、最も内部にある膜である。

図1.くも膜の解剖学的構造と周辺組織
図2.側脳室下角におけるくも膜と脈絡巣の関係
図3.脊髄軟膜と歯状靱帯

 軟膜(なんまく)は、および脊髄を包む髄膜のうち、最も内部にある膜である。ラテン語で”pia mater”は"tender mother"(慈母:深い愛情をもつ母)を意味している。発生学的には、神経堤に由来する。薄く網状の膜で、脳の表面を隙間なく覆っており、皮質の溝の中にまで入り込んでいる(図1)。

 軟膜は、外側の上軟膜層(epipial layer)と内側の内軟膜(intima pia)の2層に分けられる。

  • 上軟膜層 膠原線維状の組織が網の目のようにはりめぐらされた膜で、軟膜の外側を包むクモ膜の小柱とつながっている。大脳皮質には上軟膜がなく、脳に栄養を供給する血管は内軟膜の上を走り、クモ膜の小柱によって固定されている。
  • 内軟膜 隙間のない膜で、脳および脊髄の神経組織と癒着している。血管が脳内に入り込むところでは、内軟膜も折れ曲がって血管を包み込むように脳内に入り込んでいる。内軟膜の細胞は血管からではなく、神経組織内を拡散する脳脊髄液に栄養を依存する。

 脳軟膜は脳内部の空間である脳室にまで侵入し、脳室壁の脳室上衣細胞層と癒着して側脳室脈絡組織第四脳室脈絡組織、および第三脳室脈絡組織を形成している。これらの脈絡組織は著しく血管に富む脈絡叢を形成しており、この脈絡叢から脳脊髄液が分泌される。そして、脳室内に浮遊している脈絡叢をつなぎとめる役割を果たしている(図2)。

 脊髄も頭蓋内脳組織と同様に、脊柱管内では硬膜くも膜、および軟膜に覆われている。脊髄軟膜は脊髄を全周で覆っており、どの溝にも侵入している。脊髄軟膜は内軟膜と上軟膜層に分けられ、この2層の間に脊髄の動脈系、静脈系が存在している。

 脊髄末端で軟膜は糸状となり、下方に伸びている。これを終糸とよび、尾骨の後面に付着している。また、脊髄軟膜は脊髄の両外側から鋸歯状の歯状靭帯(ligamentum denticulatum)が出ており、前根後根の間を通り、くも膜硬膜に付着して脊髄をつなぎとめている(図3)。歯状靭帯は脊髄全長で20対前後存在している。

関連項目

参考文献

  1. Werner Kahle、長島聖司・岩堀修明訳
    『分冊 解剖学アトラスIII』第5版
    文光堂、ISBN 4-8306-0026-8、日本語版2003年