「電位依存性カルシウムチャネル」の版間の差分

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=== α<sub>1</sub>サブユニット ===
=== α<sub>1</sub>サブユニット ===


[[Image:Yasuomori fig 3.jpg|thumb|right|300px|<b>図2. α<sub>1</sub>サブユニットの進化系統樹</b>]]
[[Image:Yasuomori fig 3.jpg|thumb|right|300px|<b>図2 α<sub>1</sub>サブユニットの進化系統樹</b>]]
 
 [[電位センサー]]とチャネル孔を有するα<sub>1</sub>サブユニットは、おおよそ2000アミノ酸残基からなるタンパク質であり、[[wikipedia:ja:膜貫通領域|膜貫通領域]]S1~S6の構造単位が4回繰り返す (リピートI~IV) 。S5領域とS6領域の間がCa<sup>2+</sup>を選択的に透過させるチャネル孔を形成し、S4領域が電位センサーとして働く。α<sub>1</sub>サブユニットは10種類の異なる遺伝子Ca<sub>v</sub>によりコードされて、電気生理学的特性や薬理学的特性による機能分類 (L, P/Q, N, R, T) に対応付けられている (表1、図2)<ref name="ref4"><pubmed>21746798</pubmed></ref>。
{| width="856" cellspacing="1" cellpadding="1" border="1" height="279"
{|cellspacing="1" cellpadding="1" border="1"
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| style="text-align:center" | Ca<sup>2+</sup>電流  
| style="text-align:center" | Ca<sup>2+</sup>電流  
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| ペースメイキング、反復性発火<br><br><br>
| ペースメイキング、反復性発火<br><br><br>
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'''図3. α<sub>1</sub>サブユニットの分類とその特性'''<br>α<sub>1</sub>サブユニットには10種類のアイソフォームが存在し、その電気生理学的特性や薬理学的特性によって分類、命名されている。  
'''表1  α<sub>1</sub>サブユニットの分類とその特性'''<br>α<sub>1</sub>サブユニットには10種類のアイソフォームが存在し、その電気生理学的特性や薬理学的特性によって分類、命名されている。  
 
 
 [[電位センサー]]とチャネル孔を有するα<sub>1</sub>サブユニットは、おおよそ2000アミノ酸残基からなるタンパク質であり、[[wikipedia:ja:膜貫通領域|膜貫通領域]]S1~S6の構造単位が4回繰り返す (リピートI~IV) 。S5領域とS6領域の間がCa<sup>2+</sup>を選択的に透過させるチャネル孔を形成し、S4領域が電位センサーとして働く。α<sub>1</sub>サブユニットは10種類の異なる遺伝子Ca<sub>v</sub>によりコードされて、電気生理学的特性や薬理学的特性による機能分類 (L, P/Q, N, R, T) に対応付けられている (図2)<ref name="ref4"><pubmed>21746798</pubmed></ref>。


==== Ca<sub>v</sub>1 (L型) ====
==== Ca<sub>v</sub>1 (L型) ====


 [[L型]] (Ca<sub>v</sub>1) は遅い不活性化 (<u>L</u>ong lasting) と大きな (<u>L</u>arge) 単一チャネルコンダクタンスを有することから名づけられた<ref><pubmed>6207437</pubmed></ref>。ジヒドロピリジン(Dihydropyridine, DHP)やフェニルアルキルアミン(Phenylalkylamine, PAA)、ベンゾチアゼピン(Benzothiazepine, BTZ)といった[[Ca<sup>2+</sup>拮抗薬]]の作用点である。Ca<sub>v</sub>1.1は[[wikipedia:ja:骨格筋|骨格筋]]、Ca<sub>v</sub>1.2は[[wikipedia:ja:心臓|心臓]]や[[脳]]、Ca<sub>v</sub>1.3は[[wikipedia:ja:膵臓|膵臓]]などの[[wikipedia:ja:内分泌組織|内分泌組織]]や脳、Ca<sub>v</sub>1.4は[[網膜]]に主に発現している<ref name="ref3" />。
 [[L型]] (Ca<sub>v</sub>1) は遅い不活性化 (<u>L</u>ong lasting) と大きな (<u>L</u>arge) 単一チャネルコンダクタンスを有することから名づけられた<ref><pubmed>6207437</pubmed></ref>。ジヒドロピリジン(dihydropyridine, DHP)やフェニルアルキルアミン(phenylalkylamine, PAA)、ベンゾチアゼピン(benzothiazepine, BTZ)といった[[カルシウム拮抗薬]]の作用点である。Ca<sub>v</sub>1.1は[[wikipedia:ja:骨格筋|骨格筋]]、Ca<sub>v</sub>1.2は[[wikipedia:ja:心臓|心臓]]や[[脳]]、Ca<sub>v</sub>1.3は[[wikipedia:ja:膵臓|膵臓]]などの[[wikipedia:ja:内分泌組織|内分泌組織]]や脳、Ca<sub>v</sub>1.4は[[網膜]]に主に発現している<ref name="ref3" />。


==== Ca<sub>v</sub>2 (N, P/Q, R型) ====
==== Ca<sub>v</sub>2 (N, P/Q, R型) ====
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==== Ca<sub>v</sub>3 (T型) ====
==== Ca<sub>v</sub>3 (T型) ====


 [[T型]] (Ca<sub>v</sub>3) は低電位 (~−60 mV) で活性化し、早い不活性化や遅い脱活性化 (一過的: <u>T</u>ransient)、小さい (<u>T</u>iny) 単一チャネルコンダクタンスを特徴とする<ref name="ref1" /><ref name="ref6" />。T型は脳に最も豊富に発現する他、心臓の[[wikipedia:ja:ペースメーカー細胞|ペースメーカー細胞]]にも発現している。T型は高閾値活性化型のVDCCとは異なり、α<sub>2</sub>δ、β、γサブユニットとの相互作用が確認されていない。<br>  
 [[T型]] (Ca<sub>v</sub>3) は低電位 (~−60 mV) で活性化し、早い不活性化や遅い脱活性化 (一過的: <u>T</u>ransient)、小さい (<u>T</u>iny) 単一チャネルコンダクタンスを特徴とする<ref name="ref1" /><ref name="ref6" />。T型は脳に最も豊富に発現する他、心臓の[[wikipedia:ja:ペースメーカー細胞|ペースメーカー細胞]]にも発現している。T型は高閾値活性化型のVDCCとは異なり、α<sub>2</sub>δ、β、γサブユニットとの相互作用が確認されていない。<br>


=== 副サブユニット (α<sub>2</sub>δ、β、γ) ===
=== 副サブユニット (α<sub>2</sub>δ、β、γ) ===