「電気けいれん療法」の版間の差分

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 これらの調査からは、mECTが行われる割合やパルス波治療器が用いられる割合は年々増加しているものの、本邦での普及はまだ不十分であると言わざるを得ず、ECTの標準化は以前からの大きな課題であったことから各関連学会がECT講習会を定期的に開催し均てん化が行われている。
 これらの調査からは、mECTが行われる割合やパルス波治療器が用いられる割合は年々増加しているものの、本邦での普及はまだ不十分であると言わざるを得ず、ECTの標準化は以前からの大きな課題であったことから各関連学会がECT講習会を定期的に開催し均てん化が行われている。


 臨床的な課題としては、先述した100%での刺激強度でも発作が不発または発作不十分な症例が存在することがある。現在は、手技的な工夫や麻酔薬の変更などの個々の施設の工夫で対処されているが、ECTを必要とし希望している患者に対し臨床的効果のあるECTを提供場合があり解決が求められている。
 臨床的な課題としては、先述した100%での刺激強度でも発作が不発または発作不十分な症例が存在することがある。現在は、手技的な工夫や麻酔薬の変更などの個々の施設の工夫で対処されているが、ECTを必要とし希望している患者に対し臨床的効果のあるECTを提供できない場合があり解決が求められている。


 また、これも先述したとおり、ECTによる急性期症状改善後の長期的効果維持に関する限界があり、ECTによる急性期症状改善後の再燃・再発を予防する最適な維持療法についての模索も大きな課題となっている。
 また、これも先述したとおり、ECTによる急性期症状改善後の長期的効果維持に関する限界があり、ECTによる急性期症状改善後の再燃・再発を予防する最適な維持療法についての模索も大きな課題となっている。
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 研究面におけるECTにおける最大の課題は先述したECTの作用機序である。ECT前後での脳画像研究、生体内物質の変化、遺伝子発現の変化など、作用機序について世界各国で研究がされているが、未だ作用機序は未解明のままである。ECTの作用機序を解明することは、うつ病の本質的な病態の解明につながる可能性もあり非常に重要な課題である。
 研究面におけるECTにおける最大の課題は先述したECTの作用機序である。ECT前後での脳画像研究、生体内物質の変化、遺伝子発現の変化など、作用機序について世界各国で研究がされているが、未だ作用機序は未解明のままである。ECTの作用機序を解明することは、うつ病の本質的な病態の解明につながる可能性もあり非常に重要な課題である。


 ECTのアクセシビリティの課題としては、ECT治療は現在のところ入院治療による管理が必要であり、継続・維持ECT施行の際もその都度入院管理が必要となるため、アクセスビリティが良いとは言えず、今後外来ECTを行うことが特に安全面において可能であるかという検討が求められる。
 ECTのアクセシビリティの課題としては、ECT治療は現在のところ入院治療による管理が必要であり、継続・維持ECT施行の際もその都度入院管理が必要となるため、アクセスビリティが良いとは言えず、今後アクセシビリティの高い外来ECTを行うことが特に安全面において可能であるかという検討が求められる。


 ECTの発展形として直接的に電気を用いないけいれん療法も提案されてきている。磁気によってけいれんを誘発し認知機能障害がより少ないとされる磁気けいれん療法(Magnetic seizure therapy: MST)や焦点を絞った通電が可能となるFocal electrically administered seizure therapy(FEAST)などが開発され研究段階にある。
 ECTの発展形として直接的に電気を用いないけいれん療法も提案されてきている。磁気によってけいれんを誘発し認知機能障害がより少ないとされる磁気けいれん療法(Magnetic seizure therapy: MST)や焦点を絞った通電が可能となるFocal electrically administered seizure therapy(FEAST)などが開発され研究段階にある。
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