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 顔表情認知とは、他者の顔の表情から情動を認識・処理することを指す。行動研究から、顔表情はすばやく認識されることや、顔表情認知には様々な処理が関与することが示されている。また、神経科学研究から、顔表情認知には上側頭溝や扁桃体といった様々な脳部位が関与し、そうした脳部位の活動が数百ミリ秒以内というすばやい段階で起こることが示されている。
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<font size="+1">[http://kyouindb.iimc.kyoto-u.ac.jp/j/rX6iK 澤田 玲子]、[http://researchmap.jp/read0091864 佐藤 弥]</font><br>
''京都大学 霊長類研究所''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年3月7日 原稿完成日:2013年3月18日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0048432 定藤 規弘](自然科学研究機構 生理学研究所 大脳皮質機能研究系)<br>
</div>


== 顔表情認知の行動研究 ==
英:Facial expression recognition 独:Erkennung von Gesichtsausdrücken 仏:reconnaissance des expressions faciales


 顔表情認知は対人コミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。Mehrabian (1972)は、表情や声のトーンやメッセージの内容を変えて、聞き手が受ける好意度を調べた[1]。その結果、メッセージの内容と声のトーンが与えた影響はそれぞれ7%と38%であったのに比べ、表情が与えた影響は55%と大きいものであったことを報告している。
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 顔表情認知とは、他者の顔の表情から[[情動]]を認識・処理することを指す。行動研究から、顔表情はすばやく認識されることや、顔表情認知には様々な処理が関与することが示されている。また、神経科学研究から、顔表情認知には[[上側頭溝]]や[[扁桃体]]といった様々な脳部位が関与し、そうした脳部位の活動が数百ミリ秒以内というすばやい段階で起こることが示されている。
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 顔表情に示される基本情動(例えば恐怖や幸福)は的確に認識され、これは文化を超えてヒトに普遍的な信号であることが示されている。例えば、Ekman &amp; Friesen (1971)は、西洋人との接触が少ないパプアニューギニア人を対象に、西洋人の表情写真に対する認識成績を調べた。その結果、ほとんどの表情を偶然より高いレベルで認識した[2]。
== 行動研究 ==


 顔表情認知においては、情動の認識に加えて、様々な処理が遂行される。例えば、表情を見たとき、注意が引きつけられ[3]、主観的および身体的な情動反応が喚起され[4]、表情模倣が起こる[5]ことが示されている。
 顔表情認知は対人コミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。Mehrabian (1972)は、表情や声のトーンやメッセージの内容を変えて、聞き手が受ける好意度を調べた<ref>'''Albert Mehrabian'''<br>Nonverbal communication. <br>Nebraska symposium on motivation, 1971: Vol. 19. (pp. 107-161).<br>In J.K. Cole (Ed.), Lincoln, NE: University of Nebraska Press</ref>。その結果、メッセージの内容と声のトーンが与えた影響はそれぞれ7%と38%であったのに比べ、表情が与えた影響は55%と大きいものであったことを報告している。


 また、顔表情認知は、すばやく、意識下の段階で遂行されることが示されている。例えば、Murphy &amp; Zajonc (1993)は、怒りあるいは幸福の表情を意識的には見えないように短時間だけ呈示し、直後に無関係な図形を呈示してこれに対する好意度評定を求めた[6]。その結果、直前に怒り表情が呈示されていた場合には図形に対する好意度評定が低下するといった影響を示している。
 顔表情に示される基本情動(例えば恐怖や幸福)は的確に認識され、これは文化を超えて[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]に普遍的な信号であることが示されている。例えば、Ekman &amp; Friesen (1971)は、[[wikipedia:ja:西洋人|西洋人]]との接触が少ない[[wikipedia:ja:パプアニューギニア|パプアニューギニア人]]を対象に、西洋人の表情写真に対する認識成績を調べた。その結果、ほとんどの表情を偶然より高いレベルで認識した<ref><pubmed>5542557</pubmed></ref>。


== 顔表情認知に関与する脳部位  ==
 顔表情認知においては、情動の認識に加えて、様々な処理が遂行される。例えば、表情を見たとき、注意が引きつけられ<ref><pubmed>3397866</pubmed></ref>、主観的および身体的な情動反応が喚起され<ref>'''Björn H.Johnsen, Julian F. Thayer, Kenneth Hugdahl'''<br>Affective judgment of the Ekman faces: A dimensional approach. <br>''J Psychophysiol'', 1995, 9; 193-202.</ref>、表情模倣が起こる<ref><pubmed>16780824</pubmed></ref>ことが示されている。


 機能的脳画像研究・損傷研究から、顔表情認知には複数の脳部位が関与することが示されている。主要な部位として、以下の脳部位が挙げられる。
 また、顔表情認知は、すばやく、意識下の段階で遂行されることが示されている。例えば、Murphy &amp; Zajonc (1993)は、怒りあるいは幸福の表情を意識的には見えないように短時間だけ呈示し、直後に無関係な図形を呈示してこれに対する好意度評定を求めた<ref><pubmed>8505704</pubmed></ref>。その結果、直前に怒り表情が呈示されていた場合には図形に対する好意度評定が低下するといった影響を示している。


== 上側頭溝 ==
==関与する脳部位  ==


 機能的脳画像研究から、動的表情を観察したとき、動的モザイクの場合に比べて上側頭溝およびその周辺領域が高く活動することが示されている[7]。上側頭溝は目や口の動きを観察する際にも活動する[8]ことから、表情を含む顔の中の可変情報の視覚分析に関わることが提案されている[9]。また、顔表情の情動を認識する課題遂行時に活動が高まることが示されており[10]、意図的な情動認識にも上側頭溝が関与することが示唆される。
 機能的脳画像研究・損傷研究から、顔表情認知には複数の脳部位が関与することが示されている。主要な部位として、以下の脳部位が挙げられる。


== 扁桃体 ==
=== 上側頭溝 ===


 機能的脳画像研究から、情動表情に対して中性表情よりも高く扁桃体が活動することが示されている[11]。情動表情に対する扁桃体の活動は、主観的[12]あるいは生理的[13]な情動反応と対応する。また、情動表情に対する扁桃体の活動変化は、刺激が意識下で呈示された場合にも起こることが示されている[14]。さらに、脳損傷研究から、扁桃体の損傷によって、不快情動を表す表情の認識が障害されることが報告されている[15]。こうした知見から、扁桃体は表情に対するすばやい情動反応の喚起に関わり、またその情報を活用した情動認識にも関与していることが示唆される。
 機能的脳画像研究から、動的表情を観察したとき、動的モザイクの場合に比べて上側頭溝およびその周辺領域が高く活動することが示されている<ref name=ref7><pubmed>15130592</pubmed></ref>。上側頭溝は目や口の動きを観察する際にも活動する<ref><pubmed>9482803</pubmed></ref>ことから、表情を含む顔の中の可変情報の視覚分析に関わることが提案されている<ref><pubmed>10827445</pubmed></ref>。また、顔表情の情動を認識する課題遂行時に活動が高まることが示されており<ref><pubmed>11587892</pubmed></ref>、意図的な情動認識にも上側頭溝が関与することが示唆される。


== 下前頭回 ==
=== 扁桃体 ===


 機能的脳画像研究から、動的表情に対して、動的モザイクの場合に比べてブロードマン44野を中心とする下前頭回が高く活動することが示されている[7]。また下前頭回は、表情を観察するときだけでなく、表情を模倣する際にも活動することが示されている[16]。この領域はサルの腹側運動前野に対応するとされ、サルではこの領域に、他者の運動を観察したときに活動するとともに自身が同じ運動を実行するときに活動する「ミラーニューロン」と命名されたニューロン群がある [17]。これらの知見から、下前頭回は表情模倣や表情模倣を通した情動認識などに関与していることが示唆される。
 機能的脳画像研究から、情動表情に対して中性表情よりも高く扁桃体が活動することが示されている<ref><pubmed>8938120</pubmed></ref>。情動表情に対する扁桃体の活動は、主観的<ref><pubmed>15193632</pubmed></ref>あるいは生理的<ref><pubmed>11697938</pubmed></ref>な情動反応と対応する。また、情動表情に対する扁桃体の活動変化は、刺激が意識下で呈示された場合にも起こることが示されている<ref><pubmed>9412517</pubmed></ref>。


== 前頭眼窩野 ==
 さらに、脳損傷研究から、扁桃体の損傷によって、不快情動を表す表情の認識が障害されることが報告されている<ref><pubmed>7990957</pubmed></ref>。


 機能的脳画像研究から、前頭眼窩野が、情動表情に対して中性表情の場合よりも高く活動することが示されている[18]。脳損傷研究から、前頭眼窩野の損傷により表情認識に障害が起こることが報告されている[19]。前頭眼窩野は扁桃体と密な機能的関係を持ちその活動を調整するとされており[20]、表情認知においても扁桃体と関連して情動的な処理を遂行することが考えられる。
 こうした知見から、扁桃体は表情に対するすばやい情動反応の喚起に関わり、またその情報を活用した情動認識にも関与していることが示唆される。


== 大脳基底核・島  ==
=== 下前頭回 ===


機能的脳画像研究から、嫌悪の表情に対して、中性表情の場合に比べて大脳基底核および島が強く活動することが示されている[21]。また、嫌悪の表情を見ているときや、嗅覚刺激を嗅いで嫌悪情動を感じているときに、島の同じ領域が活動することが示されている[22]。また、脳損傷研究から、大脳基底核と島に損傷がある患者において、嫌悪表情の認識が特異的に障害されることが報告されている[23]。こうした知見から、大脳基底核および島は、特に嫌悪の情動の場合に、情動反応の喚起およびその情報を活用した情動認識に関与していると考えられる。
 機能的脳画像研究から、動的表情に対して、動的モザイクの場合に比べて[[ブロードマン44野]]を中心とする下前頭回が高く活動することが示されている<ref name=ref7 />。また下前頭回は、表情を観察するときだけでなく、表情を模倣する際にも活動することが示されている<ref><pubmed>14980562</pubmed></ref>。この領域は[[wikipedia:ja:サル|サル]]の腹側運動前野に対応するとされ、サルではこの領域に、他者の運動を観察したときに活動するとともに自身が同じ運動を実行するときに活動する「[[ミラーニューロン]]」と命名されたニューロン群がある<ref><pubmed>11533734</pubmed></ref>。


== 顔表情認知の脳活動の時間特性 ==
 これらの知見から、下前頭回は表情模倣や表情模倣を通した情動認識などに関与していることが示唆される。


 電気生理学研究から、顔表情認知の脳活動の時間情報が報告されている。
=== 前頭眼窩野 ===


 多くの事象関連電位研究で報告されるのが、刺激呈示後200~400ミリ秒に後方部で記録されるEarly posterior negativity (EPN)と呼ばれる陰性変動である。この成分の振幅は、情動表情に対して中性表情よりも高くなることが報告されている[24]。さらに、この成分の振幅は情動表情の検出速度や主観的な情動評定と対応することが示されており[25]、表情に対する注意・知覚過程を反映すると考えられる。
 機能的脳画像研究から、[[前頭眼窩野]]が、情動表情に対して中性表情の場合よりも高く活動することが示されている<ref><pubmed>10355673</pubmed></ref>。


 またいくつかの事象関連電位研究からは、より初期の刺激呈示後約170ミリ秒に後方部で記録されるN170と呼ばれる陰性変動で、情動表情に対する振幅の促進が報告されている[26]。この成分が顔についての新皮質での最初の視覚分析にあたるとされており[27]、表情の視覚処理への影響がすばやいものであることが示唆される。
 脳損傷研究から、前頭眼窩野の損傷により表情認識に障害が起こることが報告されている<ref><pubmed>8657356</pubmed></ref>。


 また深部脳波研究からは、扁桃体において刺激呈示後50~150ミリ秒という速い段階で、恐怖表情に対して、中性表情より強い活動が起こることが報告されている[28]。こうした扁桃体の活動は、表情に対するすばやい情動反応の喚起に関わっていると考えられ、また視覚野の活動調整に関与している可能性が示唆される。
 前頭眼窩野は扁桃体と密な機能的関係を持ちその活動を調整するとされており<ref>'''Edmund T. Rolls'''<br>The Brain and Emotion. 1999. ''Oxford University Press'', New York. </ref>、表情認知においても扁桃体と関連して情動的な処理を遂行することが考えられる。


== 残されている問題 ==
=== 大脳基底核・島  ===


 顔表情認知の神経メカニズムについては、残されている問題も多くある。例えば、現状では、顔における表情認知と人物認知の関係は明らかではない[29]。脳損傷研究の知見から、表情認知と人物認知が独立の神経基盤で実現されると提案された[30]が、脳損傷の影響の解離は必ずしも明確ではない。また、脳部位と情動カテゴリの関係も不明である。機能的脳画像研究が開始された当初は、扁桃体が恐怖表情の処理に特異的に関与する可能性が示唆された[31]が、現在では扁桃体は他の不快情動や快情動の表情の処理にも関わることが示されている。さらに、各部位がどのような機能的ネットワークを形成しているかは明らかではない。皮質下および皮質上の経路があるなど、並列かつ階層的な神経ネットワークが関与することが示唆される[32]。こうした問題について、今後のさらなる研究が望まれる。
 機能的脳画像研究から、嫌悪の表情に対して、中性表情の場合に比べて[[大脳基底核]]および[[島]]が強く活動することが示されている<ref><pubmed>9333238</pubmed></ref>。また、嫌悪の表情を見ているときや、[[嗅覚]]刺激を嗅いで嫌悪情動を感じているときに、島の同じ領域が活動することが示されている<ref><pubmed>14642287</pubmed></ref>。


== 引用文献 ==
 また、脳損傷研究から、大脳基底核と島に損傷がある患者において、嫌悪表情の認識が特異的に障害されることが報告されている<ref><pubmed>11036262</pubmed></ref>。


1. Albert Mehrabian<br>Nonverbal communication. <br>Nebraska symposium on motivation, 1971: Vol. 19. (pp. 107-161).<br>In J.K. Cole (Ed.), Lincoln, NE: University of Nebraska Press.
 こうした知見から、大脳基底核および島は、特に嫌悪の情動の場合に、情動反応の喚起およびその情報を活用した情動認識に関与していると考えられる。


2. Paul Ekman, Wallace V. Friesen<br>Constants across cultures in the face and emotion. <br>J Pers Soc Psychol, 1971, 17; 124-129.
==脳活動の時間特性 ==


3. Christine H. Hansen , Ranald D. Hansen <br>Finding the face in the crowd: An anger superiority effect.<br>J Pers Soc Psychol, 1988, 54; 917-924.
 電気生理学研究から、顔表情認知の脳活動の時間情報が報告されている。


4. Björn H.Johnsen, Julian F. Thayer, Kenneth Hugdahl<br>Affective judgment of the Ekman faces: A dimensional approach. <br>J Psychophysiol, 1995, 9; 193-202.  
 多くの[[事象関連電位]]研究で報告されるのが、刺激呈示後200~400ミリ秒に後方部で記録される[[early posterior negativity]] (EPN)と呼ばれる陰性変動である。この成分の振幅は、情動表情に対して中性表情よりも高くなることが報告されている<ref><pubmed>15222855</pubmed></ref>。さらに、この成分の振幅は情動表情の検出速度や主観的な情動評定と対応することが示されており<ref>'''Reiko Sawada, Wataru Sato, Shota Uono, Takanori Kochiyama, Motomi Toichi'''<br>Electrophysiological correlates of detecting emotional facial expressions. <br>Paper presented at Kick-off Symposium for MRI Laboratory, Kokoro Research Center, Kyoto, Japan, 2013. </ref>、表情に対する注意・知覚過程を反映すると考えられる。


5. Wataru Sato, Sakiko Yoshikawa<br>Spontaneous facial mimicry in response to dynamic facial expressions. <br>Cognition, 2007, 104; 1-18.
 またいくつかの事象関連電位研究からは、より初期の刺激呈示後約170ミリ秒に後方部で記録されるN170と呼ばれる陰性変動で、情動表情に対する振幅の促進が報告されている<ref><pubmed>12169251</pubmed></ref>。この成分が顔についての新皮質での最初の[[視覚]]分析にあたるとされており<ref><pubmed>18055223</pubmed></ref>、表情の視覚処理への影響がすばやいものであることが示唆される。


6. Sheila T. Murphy, Robert B. Zajonc<br>Affect, Cognition, and Awareness: Affective Priming With Optimal and Suboptimal Stimulus Exposures<br>J Pers Soc Psychol, 1993, 64; 723-739.
 また深部脳波研究からは、扁桃体において刺激呈示後50~150ミリ秒という速い段階で、恐怖表情に対して、中性表情より強い活動が起こることが報告されている<ref><pubmed>21182851</pubmed></ref>。こうした扁桃体の活動は、表情に対するすばやい情動反応の喚起に関わっていると考えられ、また視覚野の活動調整に関与している可能性が示唆される。


7. Wataru Sato, Takanori Kochiyama, Sakiko Yoshikawa, Eiichi Naito, Michikazu Matsumura<br>Enhanced neural activity in response to dynamic facial expressions of emotion: an fMRI study. <br>Cognitive Brain Res, 2004, 20; 81-91.
== 残されている問題 ==


8. Aina Puce, Truett Allison, Shlomo Bentin, John C.Gore, Gregory McCarthy<br>Temporal cortex activation in humans viewing eye and mouth movements. <br>J Neurosci, 1998, 18; 2188-2199.
 顔表情認知の神経メカニズムについては、残されている問題も多くある。例えば、現状では、顔における表情認知と人物認知の関係は明らかではない<ref><pubmed>16062171</pubmed></ref>。脳損傷研究の知見から、表情認知と人物認知が独立の神経基盤で実現されると提案された<ref><pubmed>3756376</pubmed></ref>が、脳損傷の影響の解離は必ずしも明確ではない。また、脳部位と情動カテゴリの関係も不明である。機能的脳画像研究が開始された当初は、扁桃体が恐怖表情の処理に特異的に関与する可能性が示唆された<ref><pubmed>8893004</pubmed></ref>が、現在では扁桃体は他の不快情動や快情動の表情の処理にも関わることが示されている。さらに、各部位がどのような機能的ネットワークを形成しているかは明らかではない。[[大脳皮質|皮質]]下および皮質上の経路があるなど、並列かつ階層的な神経ネットワークが関与することが示唆される<ref><pubmed>12740580</pubmed></ref>。こうした問題について、今後のさらなる研究が望まれる。


9. James V. Haxby, Elizabeth A. Hoffman, Maria I.Gobbini<br>The distributed human neural system for face perception.<br>Trends Cogn Sci, 2000, 4; 223-233.
== 引用文献 ==
 
<references />
10. Jin Narumoto, Takashi Okada, Norihiro Sadato, Kenji Fukui, Yoshiharu Yonekura<br>Attention to emotion modulates fMRI activity in human right superior temporal sulcus.<br>Cognitive Brain Res, 2001, 12; 225-231.
 
11. Hans C. Breiter, Nancy L. Etcoff, Paul J. Whalen, William A. Kennedy, Scott L. Rauch, Randy L. Buckner, Monica M. Strauss, Steven E. Hyman, Bruce R. Rosen<br>Response and habituation of the human amygdala during visual processing of facial expression. <br>Neuron, 1996, 17; 875-887.
 
12. Wataru Sato, Sakiko Yoshikawa, Takanori Kochiyama, Michikazu Matsumura<br>The amygdala processes the emotional significance of facial expressions: An fMRI investigation using the interaction between expression and face direction. <br>Neuroimage, 2004, 22; 1006-1013.
 
13. Leanne M. Williams, Mary Louise Phillips, Michael J. Brammer, David Skerrett, Jim Lagopoulos, Chris Rennie, Homayoun Bahramali, Gloria Olivieri, Anthony S. David, Anthony Peduto, Evian Gordon<br>Arousal dissociates amygdala and hippocampal fear responses: evidence from simultaneous fMRI and skin conductance recording. <br>Neuroimage, 2001, 14; 1070-1079.
 
14. Paul J. Whalen, Scott L. Rauch, Nancy L. Etcoff, Sean C. McInerney, Michael, B. Lee, Michael A. Jenike<br>Masked presentations of emotional facial expressions modulate amygdala activity without explicit knowledge.<br>J Neurosci, 1998, 18; 411-418.
 
15. Ralph Adolphs, Daniel Tranel, Hanna Damasio, Antonio Damasio<br>Impaired recognition of emotion in facial expressions following bilateral damage to the human amygdala.<br>Nature, 1994, 372; 669-672.
 
16. Kenneth R. Leslie, Scott H. Johnson-Frey, Scott T. Grafton <br>Functional imaging of face and hand imitation: Towards a motor theory of empathy. <br>Neuroimage, 2004, 21; 601-607.
 
17. Giacomo Rizzolatti, Leonardo Fogassi, Vittorio Gallese<br>Neurophysiological mechanisms underlying the understanding and imitation of action. <br>Nat Rev Neurosci, 2001, 2; 661-670.
 
18. Robert J. Blair, Jond S. Morris, Chris D. Frith, David I.Perrett, Raymond J. Dolan<br>Dissociable neural responses to facial expressions of sadness and anger. <br>Brain, 1999, 122; 883-893.
 
19. Julia Hornak, Edmund T. Rolls, Derick Wade<br>Face and voice expression identification in patients with emotional and behavioural changes following ventral frontal lobe damage. <br>Neuropsychologia, 1996, 34; 247-261.
 
20. Edmund T. Rolls<br>The Brain and Emotion. 1999. Oxford University Press, New York.
 
21. Mary L. Phillips, Andy W. Young, Carl Senior, Michael Brammer, Chris Andrew, Andrew J. Calder, Edward T. Bullmore, David I. Perrett, Duncan Rowland, Steven C. Williams, Jeffrey A. Gray, Anthony S. David<br>A specific neural substrate for perceiving facial expressions of disgust.<br>Nature, 1997, 389; 495-498.
 
22. Bruno Wicker, Christian Keysers, Jane Plailly, Jean P. Royet, Vittorio Gallese, Giacomo Rizzolatti<br>Both of us disgusted in my insula: the common neural basis of seeing and feeling disgust. <br>Neuron, 2003, 40; 655-664.
 
23. Andrew J. Calder, Jill Keane, Facundo Manes, Nagui Antoun, Andrew W. Young <br>Impaired recognition and experience of disgust following brain injury. <br>Nat Neurosci, 2000, 3; 1077-1078.
 
24. Harald T.Schupp, Markus Junghöfer, Arne Öhman, Almut I. Weike, Jessica Stockburger, Alfons O. Hamm<br>The facilitated processing of threatening faces: An ERP analysis. <br>Emotion, 2004, 4; 189-200.
 
25. Reiko Sawada, Wataru Sato, Shota Uono, Takanori Kochiyama, Motomi Toichi <br>Electrophysiological correlates of detecting emotional facial expressions. <br>Paper presented at Kick-off Symposium for MRI Laboratory, Kokoro Research Center, Kyoto, Japan, 2013.
 
26. Diego A. Pizzagalli, Dietrich Lehmann, Andrew M. Hendrick, Marianne Regard, Roberto D. Pascual-Marqui, Richard J. Davidson <br>Affective judgments of faces modulate early activity (∼160 ms) within the fusiform gyri <br>Neuroimage, 2002, 16; 663-677.
 
27. Bruno Rossion, Corentin Jacques <br>Does physical interstimulus variance account for early electrophysiological face sensitive responses in the human brain? Ten lessons on the N170. <br>Neuroimage, 2008, 39; 1959-1979.
 
28. Wataru Sato, Tokanori Kochiyama, Shota Uono, Kazumi Matsuda, Keiko Usui, Yushi Inoue, Motomi Toichi <br>Rapid amygdala gamma oscillations in response to fearful facial expressions. <br>Neuropsychologia, 2011, 49; 612-617.
 
29. Andrew J. Calder, Andrew W. Young <br>Understanding the recognition of facial identity and facial expression. <br>Nat Rev Neurosci, 2005, 6; 641-651.
 
30. Vicki Bruce, Andrew W. Young <br>Understanding face recognition. <br>Brit J Psychol, 1986, 77; 305-327.
 
31. Jond S. Morris, Chris D. Frith, David I. Perrett, Duncan A. Rowland, Andrew W. Young, Andrew J. Calder, Raymond J. Dolan<br>A differential neural response in the human amygdala to fearful and happy facial expressions. <br>Nature, 1996, 383; 812-815.
 
32. Patrik O. Vuilleumier, Jorge L. Armony, Jon Driver, Raymond J. Dolan<br>Distinct spatial frequency sensitivities for processing faces and emotional expressions. <br>Nat Neurosci, 2003, 6; 624-631.
 
 
(執筆者:澤田玲子、佐藤弥 担当編集委員:定藤規弘)

2014年6月17日 (火) 16:38時点における最新版

澤田 玲子佐藤 弥
京都大学 霊長類研究所
DOI:10.14931/bsd.3355 原稿受付日:2013年3月7日 原稿完成日:2013年3月18日
担当編集委員:定藤 規弘(自然科学研究機構 生理学研究所 大脳皮質機能研究系)

英:Facial expression recognition 独:Erkennung von Gesichtsausdrücken 仏:reconnaissance des expressions faciales

 顔表情認知とは、他者の顔の表情から情動を認識・処理することを指す。行動研究から、顔表情はすばやく認識されることや、顔表情認知には様々な処理が関与することが示されている。また、神経科学研究から、顔表情認知には上側頭溝扁桃体といった様々な脳部位が関与し、そうした脳部位の活動が数百ミリ秒以内というすばやい段階で起こることが示されている。

行動研究

 顔表情認知は対人コミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。Mehrabian (1972)は、表情や声のトーンやメッセージの内容を変えて、聞き手が受ける好意度を調べた[1]。その結果、メッセージの内容と声のトーンが与えた影響はそれぞれ7%と38%であったのに比べ、表情が与えた影響は55%と大きいものであったことを報告している。

 顔表情に示される基本情動(例えば恐怖や幸福)は的確に認識され、これは文化を超えてヒトに普遍的な信号であることが示されている。例えば、Ekman & Friesen (1971)は、西洋人との接触が少ないパプアニューギニア人を対象に、西洋人の表情写真に対する認識成績を調べた。その結果、ほとんどの表情を偶然より高いレベルで認識した[2]

 顔表情認知においては、情動の認識に加えて、様々な処理が遂行される。例えば、表情を見たとき、注意が引きつけられ[3]、主観的および身体的な情動反応が喚起され[4]、表情模倣が起こる[5]ことが示されている。

 また、顔表情認知は、すばやく、意識下の段階で遂行されることが示されている。例えば、Murphy & Zajonc (1993)は、怒りあるいは幸福の表情を意識的には見えないように短時間だけ呈示し、直後に無関係な図形を呈示してこれに対する好意度評定を求めた[6]。その結果、直前に怒り表情が呈示されていた場合には図形に対する好意度評定が低下するといった影響を示している。

関与する脳部位

 機能的脳画像研究・損傷研究から、顔表情認知には複数の脳部位が関与することが示されている。主要な部位として、以下の脳部位が挙げられる。

上側頭溝

 機能的脳画像研究から、動的表情を観察したとき、動的モザイクの場合に比べて上側頭溝およびその周辺領域が高く活動することが示されている[7]。上側頭溝は目や口の動きを観察する際にも活動する[8]ことから、表情を含む顔の中の可変情報の視覚分析に関わることが提案されている[9]。また、顔表情の情動を認識する課題遂行時に活動が高まることが示されており[10]、意図的な情動認識にも上側頭溝が関与することが示唆される。

扁桃体

 機能的脳画像研究から、情動表情に対して中性表情よりも高く扁桃体が活動することが示されている[11]。情動表情に対する扁桃体の活動は、主観的[12]あるいは生理的[13]な情動反応と対応する。また、情動表情に対する扁桃体の活動変化は、刺激が意識下で呈示された場合にも起こることが示されている[14]

 さらに、脳損傷研究から、扁桃体の損傷によって、不快情動を表す表情の認識が障害されることが報告されている[15]

 こうした知見から、扁桃体は表情に対するすばやい情動反応の喚起に関わり、またその情報を活用した情動認識にも関与していることが示唆される。

下前頭回

 機能的脳画像研究から、動的表情に対して、動的モザイクの場合に比べてブロードマン44野を中心とする下前頭回が高く活動することが示されている[7]。また下前頭回は、表情を観察するときだけでなく、表情を模倣する際にも活動することが示されている[16]。この領域はサルの腹側運動前野に対応するとされ、サルではこの領域に、他者の運動を観察したときに活動するとともに自身が同じ運動を実行するときに活動する「ミラーニューロン」と命名されたニューロン群がある[17]

 これらの知見から、下前頭回は表情模倣や表情模倣を通した情動認識などに関与していることが示唆される。

前頭眼窩野

 機能的脳画像研究から、前頭眼窩野が、情動表情に対して中性表情の場合よりも高く活動することが示されている[18]

 脳損傷研究から、前頭眼窩野の損傷により表情認識に障害が起こることが報告されている[19]

 前頭眼窩野は扁桃体と密な機能的関係を持ちその活動を調整するとされており[20]、表情認知においても扁桃体と関連して情動的な処理を遂行することが考えられる。

大脳基底核・島

 機能的脳画像研究から、嫌悪の表情に対して、中性表情の場合に比べて大脳基底核およびが強く活動することが示されている[21]。また、嫌悪の表情を見ているときや、嗅覚刺激を嗅いで嫌悪情動を感じているときに、島の同じ領域が活動することが示されている[22]

 また、脳損傷研究から、大脳基底核と島に損傷がある患者において、嫌悪表情の認識が特異的に障害されることが報告されている[23]

 こうした知見から、大脳基底核および島は、特に嫌悪の情動の場合に、情動反応の喚起およびその情報を活用した情動認識に関与していると考えられる。

脳活動の時間特性

 電気生理学研究から、顔表情認知の脳活動の時間情報が報告されている。

 多くの事象関連電位研究で報告されるのが、刺激呈示後200~400ミリ秒に後方部で記録されるearly posterior negativity (EPN)と呼ばれる陰性変動である。この成分の振幅は、情動表情に対して中性表情よりも高くなることが報告されている[24]。さらに、この成分の振幅は情動表情の検出速度や主観的な情動評定と対応することが示されており[25]、表情に対する注意・知覚過程を反映すると考えられる。

 またいくつかの事象関連電位研究からは、より初期の刺激呈示後約170ミリ秒に後方部で記録されるN170と呼ばれる陰性変動で、情動表情に対する振幅の促進が報告されている[26]。この成分が顔についての新皮質での最初の視覚分析にあたるとされており[27]、表情の視覚処理への影響がすばやいものであることが示唆される。

 また深部脳波研究からは、扁桃体において刺激呈示後50~150ミリ秒という速い段階で、恐怖表情に対して、中性表情より強い活動が起こることが報告されている[28]。こうした扁桃体の活動は、表情に対するすばやい情動反応の喚起に関わっていると考えられ、また視覚野の活動調整に関与している可能性が示唆される。

残されている問題

 顔表情認知の神経メカニズムについては、残されている問題も多くある。例えば、現状では、顔における表情認知と人物認知の関係は明らかではない[29]。脳損傷研究の知見から、表情認知と人物認知が独立の神経基盤で実現されると提案された[30]が、脳損傷の影響の解離は必ずしも明確ではない。また、脳部位と情動カテゴリの関係も不明である。機能的脳画像研究が開始された当初は、扁桃体が恐怖表情の処理に特異的に関与する可能性が示唆された[31]が、現在では扁桃体は他の不快情動や快情動の表情の処理にも関わることが示されている。さらに、各部位がどのような機能的ネットワークを形成しているかは明らかではない。皮質下および皮質上の経路があるなど、並列かつ階層的な神経ネットワークが関与することが示唆される[32]。こうした問題について、今後のさらなる研究が望まれる。

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