「高次運動野」の版間の差分
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Keisetsushima (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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これら10ヶ所の運動関連領野の働きについては現在、精力的に研究が進められているものの、各領野の実体の解明は簡単ではなく、例えばM1の機能に関してでさえ、運動のパラメター、例えば力の大きさ、方向、距離などの制御に関わっていることに疑いはないものの、M1の特定の細胞が、どのパラメターの制御に関わっているかを因果関係的に証明するのは簡単ではない (cf. Georgopoulos et al., 1989)。また、運動前野 (PM) の背側部 (PMd) と腹側部 (PMv) で機能の一端が生理学的に明らかになったのは近年になってからである(Hoshi and Tanji, 2007, Kurata, 2007, 2010, Wise, 1985)。各々の領域に関する詳細については各論を参照されたい。 | これら10ヶ所の運動関連領野の働きについては現在、精力的に研究が進められているものの、各領野の実体の解明は簡単ではなく、例えばM1の機能に関してでさえ、運動のパラメター、例えば力の大きさ、方向、距離などの制御に関わっていることに疑いはないものの、M1の特定の細胞が、どのパラメターの制御に関わっているかを因果関係的に証明するのは簡単ではない (cf. Georgopoulos et al., 1989)。また、運動前野 (PM) の背側部 (PMd) と腹側部 (PMv) で機能の一端が生理学的に明らかになったのは近年になってからである(Hoshi and Tanji, 2007, Kurata, 2007, 2010, Wise, 1985)。各々の領域に関する詳細については各論を参照されたい。 | ||
最後に、図6にヒトの運動関連領野の区分をBrodmann の地図に重ねて表示したもの(虫明と宮井、2007)、および帯状皮質の部分を拡大したマップ(Ridderinkhof et al., 2004)を示した。ヒトとサルの運動関連領野の構成は基本的に相同であると思われるが、実験上の制限から、解剖学および生理学的にサルで適用されているような区分けは現状では難しい。特に、帯状皮質運動野に関して、サルでは吻側帯状皮質運動野はBrodmann の24野、尾側帯状皮質運動野は23野に存在するが、ヒトでは前帯状皮質運動野(RCZ: rostral cingulate zone, 或いはACC: anterior cingulate cortex)の本体はBrodmann の32野(一部24野)にあり、後帯状皮質運動野(CCZ: caudal cingulate zone)は、ほぼ24野に位置している(Ridderinkhof et al., 2004)(図6)。近年、ヒトとサルの詳細についての比較なしに、ACCの機能仮説を組み立てている総説・論文があるが、主たる根拠となっているヒトf-MRI 実験から導かれた仮説とサル細胞活動から得られた説の整合性には注意深い実験内容(記録部位・課題設定)の比較検証が必須である。 | 最後に、図6にヒトの運動関連領野の区分をBrodmann の地図に重ねて表示したもの(虫明と宮井、2007)、および帯状皮質の部分を拡大したマップ(Ridderinkhof et al., 2004)を示した。ヒトとサルの運動関連領野の構成は基本的に相同であると思われるが、実験上の制限から、解剖学および生理学的にサルで適用されているような区分けは現状では難しい。特に、帯状皮質運動野に関して、サルでは吻側帯状皮質運動野はBrodmann の24野、尾側帯状皮質運動野は23野に存在するが、ヒトでは前帯状皮質運動野(RCZ: rostral cingulate zone, 或いはACC: anterior cingulate cortex)の本体はBrodmann の32野(一部24野)にあり、後帯状皮質運動野(CCZ: caudal cingulate zone)は、ほぼ24野に位置している(Ridderinkhof et al., 2004)(図6)。近年、ヒトとサルの詳細についての比較なしに、ACCの機能仮説を組み立てている総説・論文があるが、主たる根拠となっているヒトf-MRI 実験から導かれた仮説とサル細胞活動から得られた説の整合性には注意深い実験内容(記録部位・課題設定)の比較検証が必須である。 | ||