「Dbxファミリー」の版間の差分

100行目: 100行目:


=== Dbx2 ===
=== Dbx2 ===
==== 肢芽形成領域 ====
==== 肢芽形成====
 Hox13ノックアウトマウス(Hoxa13-/-;Hoxd13 -/- )で肢芽におけるDbx2やEvx2の発現が消失することから、肢芽形成においてDbx2はHox13の下流として働き、さらに下流でEvx2が働くと考えられる <ref name=Beccari2016><pubmed>27198226</pubmed></ref> 。Dbx2ノックアウトマウス(ホメオドメイン欠損型)の解析では、致死率は上昇するが、肢芽形成に異常は認められなかった <ref name=Beccari2021><pubmed>33497014</pubmed></ref>  。この報告から、Dbx2は肢芽形成におけるHox13の機能を担う主成分ではないと考えることができる。
 Hox13ノックアウトマウス(Hoxa13-/-;Hoxd13 -/- )で肢芽におけるDbx2やEvx2の発現が消失することから、肢芽形成においてDbx2は[[Hox13]]の下流として働き、さらに下流でEvx2が働くと考えられる <ref name=Beccari2016><pubmed>27198226</pubmed></ref> 。Dbx2ノックアウトマウス(ホメオドメイン欠損型)の解析では、致死率は上昇するが、肢芽形成に異常は認められなかった <ref name=Beccari2021><pubmed>33497014</pubmed></ref>  。この報告から、Dbx2は肢芽形成におけるHox13の機能を担う主成分ではないと考えることができる。


==== 癌細胞の増殖 ====
==== 癌細胞の増殖 ====
 Dbx2はShh-Gli1シグナリングを介して、肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma)の成長を促進するとの報告もある<ref name=Hu2019><pubmed>30833799</pubmed></ref> 。
 Dbx2はShh-Gli1シグナリングを介して、[[肝細胞癌]](Hepatocellular carcinoma)の成長を促進するとの報告もある<ref name=Hu2019><pubmed>30833799</pubmed></ref> 。
 Dbx2は グリオブラストーマ (GBM)において、直接、REST (Neuron-restrictive silencer factor or NRSF)に結合して発現を上昇させることで、GBMの増殖を促進させるという報告もある <ref name=He2022><pubmed>34463226</pubmed></ref>  。
 Dbx2は[[グリオブラストーマ]]において、直接、[[neuron-restrictive silencer factor]] ([[NRSF]]、別名[[repressor element 1 (RE-1) silencing transcription factor]], [[REST]]) に結合して発現を上昇させることで、グリオブラストーマの増殖を促進させるという報告もある <ref name=He2022><pubmed>34463226</pubmed></ref>  。


==== アストロサイト ====
==== アストロサイト ====
 Dbx2のアストロサイトにおける発現は、生後初期(P4)では低いが、成体マウス(3ヶ月齢)では強いことがsingle-cell RNA-seqを用いた研究で報告された<ref name=Guo2022><pubmed>36142685</pubmed></ref><ref name=Lattke2021><pubmed>34267208</pubmed></ref>  。この結果はDbx2はアストロサイトの成熟に伴って強く発現する転写因子であることを示唆している。
 Dbx2のアストロサイトにおける発現は、生後初期([[P4]])では低いが、成体マウス(3ヶ月齢)では強いことが[[シングルセルRNAシーケンシング]を用いた研究で報告された<ref name=Guo2022><pubmed>36142685</pubmed></ref><ref name=Lattke2021><pubmed>34267208</pubmed></ref>  。この結果はDbx2はアストロサイトの成熟に伴って強く発現する転写因子であることを示唆している。


== 関連語 ==
== 関連語 ==