「Förster共鳴エネルギー移動」の版間の差分

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==蛍光色素の選択==
==蛍光色素の選択==
 
===GFPとその関連タンパク質===
 現在多くの場合GFPあるいはその関連タンパク質が用いられている。
 現在多くの場合GFPあるいはその関連タンパク質が用いられている。


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 一方、蛍光寿命イメージングとしてはドナーとしてmGFP、アクセプターとしてmRFPもしくはmCherryが用いられる。この場合、アクセプターの蛍光強度は問題ではないので蛍光を発しないREACh, darkVenus, superREAChなども用いられる<ref name=ref16537489><pubmed>16537489</pubmed></ref><ref name=ref18512154><pubmed>18512154</pubmed></ref><ref name=ref18302935><pubmed>18302935</pubmed></ref>。
 一方、蛍光寿命イメージングとしてはドナーとしてmGFP、アクセプターとしてmRFPもしくはmCherryが用いられる。この場合、アクセプターの蛍光強度は問題ではないので蛍光を発しないREACh, darkVenus, superREAChなども用いられる<ref name=ref16537489><pubmed>16537489</pubmed></ref><ref name=ref18512154><pubmed>18512154</pubmed></ref><ref name=ref18302935><pubmed>18302935</pubmed></ref>。
===Immuno FRET===
 一方、GFPの代わりに通常の抗原抗体反応を行い、FRETを検出する方法もこころみられており、immuno FRETと呼ばれている。観察したい二つのタンパク質の[[蛍光免疫染色]]を行い、ドナーとアクセプターとなる蛍光ラベルした[[二次抗体]]を用い検出する。その上で、アクセプター褪色法、蛍光強度比イメージングや蛍光寿命イメージングを用いてFRETを検出する。タンパク質をGFPなどで蛍光ラベルせず、内在のタンパク質を検出できる事が特徴であるため、過剰発現の影響が避けられる。
 ところが通常用いられる蛍光色素では5-10 nm程度の範囲まででFRETが観察されるのに対し、抗体自体が15 nmの大きさを持っている。また抗体のヒンジ部分で自由に折れ曲がる事が可能である。しかも2個の抗体を用いる。これらを考慮に入れると、目的とする分子の構造変化や相互作用が起こっていてもFRETが検出できない可能性がある。逆に仮にFRETが起きたとしても目的とするタンパク質が本当に相互作用しているかの実証とはならない。確実に言えるのは二つの抗原部位が数十nm以内に存在するという事実だけである。その為、タンパク質の構造変化を見るような実験には用いるのは難しい。また、免疫染色である為、固定したサンプルを用いなければならない。
 しかし、最近intrabodyなどと呼ばれる希望するタンパク質と特異的に結合するタンパク質配列をデザインする方法が開発されつつある。これを用いると、任意の分子に結合する、抗体よりも小型、しかも遺伝子によってコードされる蛍光ラベルが可能となるであろう。


==神経科学分野への応用例 ==
==神経科学分野への応用例 ==