「Gタンパク質共役型受容体」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/7000004108 足立 直子]、[http://researchmap.jp/read0014761 齋藤 尚亮]</font><[[br]]>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/7000004108 足立 直子]、[http://researchmap.jp/read0014761 齋藤 尚亮]</font><br>
''神戸大学バイオシグナル研究センター''<br>
''神戸大学バイオシグナル研究センター''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年1月19日 原稿完成日:2016年2月7日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年1月19日 原稿完成日:2016年2月7日<br>
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== 分類 ==
== 分類 ==
 [[ヒト]]では800種以上のGタンパク質共役型受容体が見つかっており、その半数は[[感覚]]([[嗅覚]]、[[味覚]]、[[視覚]]、[[フェロモン]])に対する[[受容体]]である。残りの半数の内、3分の2はその他の様々な生理機能(神経系、[[内分泌]]系)に関与し、3分の1は生理的なリガンドが不明もしくは機能不明な[[オーファン受容体]](orphan receptor)である<ref><[[pubmed]]> 26582914 </pubmed></ref>。これまでに様々な方法で分類が試みられているが、ここでは代表的なクラスの概要を説明する。
 [[ヒト]]では800種以上のGタンパク質共役型受容体が見つかっており、その半数は[[感覚]]([[嗅覚]]、[[味覚]]、[[視覚]]、[[フェロモン]])に対する[[受容体]]である。残りの半数の内、3分の2はその他の様々な生理機能(神経系、[[内分泌]]系)に関与し、3分の1は生理的なリガンドが不明もしくは機能不明な[[オーファン受容体]](orphan receptor)である<ref><pubmed> 26582914 </pubmed></ref>。これまでに様々な方法で分類が試みられているが、ここでは代表的なクラスの概要を説明する。


=== クラス A: ロドプシン様受容体 ===
=== クラス A: ロドプシン様受容体 ===
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=== クラス C:  代謝型グルタミン酸受容体 ===
=== クラス C:  代謝型グルタミン酸受容体 ===
 [[代謝型グルタミン酸受容体]]の他に、[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]、[[カルシウム感知受容体]]、[[味覚受容体]]がこのクラスに含まれる。N末端側の細胞外領域に[[Venus flytrapドメイン|Venus flytrap(VFT)ドメイン]]を持ち<ref><pubmed> 10224098 </pubmed></ref>、さらに、[[GABA]]<sub>B</sub>受容体以外は[[システインリッチドメイン|システインリッチ(CRD)ドメイン]]構造を持つ<ref><pubmed> 24305054 </pubmed></ref>。細胞外領域に結合する生理的リガンド(orthosteric ligand)に加えて、膜貫通領域部位に結合し受容体の活性状態を変化させる[[アロステリックリガンド]](allosteric ligand)を持つ受容体も報告されている<ref><pubmed> 23903222 </pubmed></ref>。
 [[代謝型グルタミン酸受容体]]の他に、[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]、[[カルシウム感知受容体]]、[[味覚受容体]]がこのクラスに含まれる。N末端側の細胞外領域に[[Venus flytrapドメイン|Venus flytrap(VFT)ドメイン]]を持ち<ref><pubmed> 10224098 </pubmed></ref>、さらに、GABA<sub>B</sub>受容体以外は[[システインリッチドメイン|システインリッチ(CRD)ドメイン]]構造を持つ<ref><pubmed> 24305054 </pubmed></ref>。細胞外領域に結合する生理的リガンド(orthosteric ligand)に加えて、膜貫通領域部位に結合し受容体の活性状態を変化させる[[アロステリックリガンド]](allosteric ligand)を持つ受容体も報告されている<ref><pubmed> 23903222 </pubmed></ref>。


=== クラス F: Frizzled/Smoothened ===
=== クラス F: Frizzled/Smoothened ===
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|rowspan=2|'''G<sub>s</sub> ファミリー'''<br>
|rowspan=2|'''G<sub>s</sub> ファミリー'''<br>
||G<sub>αs</sub>||[[アデニル酸シクラーゼ]]を活性化させ細胞内の[[cAMP]]濃度を上昇させる。||[[βアドレナリン受容体|β<sub>1/2/3</sub>アドレナリン受容体]]、[[ヒスタミンH2受容体|ヒスタミンH<sub>2</sub>受容体]]
||G<sub>αs</sub>||[[アデニル酸シクラーゼ]]を活性化させ細胞内の[[cAMP]]濃度を上昇させる。||[[βアドレナリン受容体|β<sub>1/2/3</sub>アドレナリン受容体]]、[[ヒスタミン]][[H2受容体]]
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|G<sub>αolf</sub>||アデニル酸シクラーゼを活性化させ細胞内のcAMP濃度を上昇させる。||嗅覚受容体
|G<sub>αolf</sub>||アデニル酸シクラーゼを活性化させ細胞内のcAMP濃度を上昇させる。||嗅覚受容体
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|rowspan=3|'''G<sub>i/o</sub> ファミリー'''||G<sub>αi/o</sub>||アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する。||[[α2アドレナリン受容体|α<sub>2</sub>アドレナリン受容体]][[ヒスタミンH3/4受容体|ヒスタミンH<sub>3/4</sub>受容体]]
|rowspan=3|'''G<sub>i/o</sub> ファミリー'''||G<sub>αi/o</sub>||アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する。||[[α2アドレナリン受容体|α<sub>2</sub>アドレナリン受容体]]、ヒスタミン[[H3受容体|H3]]/[[H4受容体|4受容体]]
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|G<sub>αt</sub>|| [[ホスホジエステラーゼ]]を活性化し[[cGMP]]の濃度を減少させる||[[ロドプシン]]
|G<sub>αt</sub>|| [[ホスホジエステラーゼ]]を活性化し[[cGMP]]の濃度を減少させる||[[ロドプシン]]
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|G<sub>αgust</sub>|| ホスホジエステラーゼを活性化する。||味覚受容体
|G<sub>αgust</sub>|| ホスホジエステラーゼを活性化する。||味覚受容体
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|'''G<sub>q/11</sub> ファミリー'''||G<sub>αq/11</sub>|| [[ホスホリパーゼC]]を活性化し[[ジアシルグリセロール]]の産生と[[IP3|IP<sub>3</sub>]]を介したCa<sup>2+</sup>の上昇を引き起こす。||[[α1アドレナリン受容体|α<sub>1</sub>アドレナリン受容体]][[ヒスタミンH1受容体|ヒスタミンH<sub>1</sub>受容体]]
|'''G<sub>q/11</sub> ファミリー'''||G<sub>αq/11</sub>|| [[ホスホリパーゼC]]を活性化し[[ジアシルグリセロール]]の産生と[[IP3|IP<sub>3</sub>]]を介したCa<sup>2+</sup>の上昇を引き起こす。||[[α1アドレナリン受容体|α<sub>1</sub>アドレナリン受容体]]、ヒスタミン[[H1受容体]]
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|'''G<sub>12/13</sub> ファミリー'''||G<sub>α12/13</sub>||[[細胞骨格]]、[[細胞間結合]]などに関与する。||
|'''G<sub>12/13</sub> ファミリー'''||G<sub>α12/13</sub>||[[細胞骨格]]、[[細胞間結合]]などに関与する。||

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