「Jeffressモデル」の版間の差分

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Jeffressモデルを構成する中心的な要素として、次の3項目が挙げられる<ref name=grothe><pubmed> 20664077 </pubmed></ref><ref name=vonderschen><pubmed> 24726910 </pubmed></ref>。神経組織との対応も合わせて記す。
Jeffressモデルを構成する中心的な要素として、次の3項目が挙げられる<ref name=grothe><pubmed> 20664077 </pubmed></ref><ref name=vonderschen><pubmed> 24726910 </pubmed></ref>。神経組織との対応も合わせて記す。


(1) 同時性検出(coincidence detection): 両耳からの入力の同期の度合いに応じて出力を変える検出素子が存在すること。脳内においては、左右からの[[シナプス]]入力のタイミングに応じて活動電位の発生頻度を変える神経細胞がこれに当たる。
# 同時性検出(coincidence detection): 両耳からの入力の同期の度合いに応じて出力を変える検出素子が存在すること。脳内においては、左右からの[[シナプス]]入力のタイミングに応じて活動電位の発生頻度を変える神経細胞がこれに当たる。
(2) 内部遅延(internal delay): 両耳に届いた音の情報が脳内で伝わる際に、左右それぞれの経路で適切な時間遅延が生じること。遅延線に沿った位置に応じて、両耳間時差が補償される。遅延の主因として、長い[[軸索]]を活動電位が伝達する時間をJeffressは想定していたが、実際には[[蝸牛]]やシナプスでの遅延もこれに含まれうる。
# 内部遅延(internal delay): 両耳に届いた音の情報が脳内で伝わる際に、左右それぞれの経路で適切な時間遅延が生じること。遅延線に沿った位置に応じて、両耳間時差が補償される。遅延の主因として、長い[[軸索]]を活動電位が伝達する時間をJeffressは想定していたが、実際には[[蝸牛]]やシナプスでの遅延もこれに含まれうる。
(3) 両耳間時差の脳内位置表現(topographic representation): 遅延線に沿って配置された同時性検出器のうち出力最大になるものの位置が、両耳間時差によって定まること。脳内においては、「同時性検出器の出力最大」とは、「当該神経細胞の活動電位発生頻度が最大」になることに対応する。
# 両耳間時差の脳内位置表現(topographic representation): 遅延線に沿って配置された同時性検出器のうち出力最大になるものの位置が、両耳間時差によって定まること。脳内においては、「同時性検出器の出力最大」とは、「当該神経細胞の活動電位発生頻度が最大」になることに対応する。


この3つの要素によって、「音源の方向」を「脳内にある高出力細胞の位置」に変換する仕組みをJeffressモデルと呼ぶ。このような細胞の位置による脳内情報表現は、場所マップ(place map)や場所コード(place code)とも呼ばれる。
この3つの要素によって、「音源の方向」を「脳内にある高出力細胞の位置」に変換する仕組みをJeffressモデルと呼ぶ。このような細胞の位置による脳内情報表現は、場所マップ(place map)や場所コード(place code)とも呼ばれる。