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(ページの作成:「MEF2 英語名: Myocyte Enhancer Factor-2 英語略:MEF2 【要約】 MEF2は転写制御因子ファミリーの一つであり、筋細胞および神経細胞で...」)
 
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MEF2は筋細胞においては、MyoDなどのbHLH型転写因子と協働して筋分化・維持に関わる多くの遺伝子を調節していることが知られていたが、神経細胞における標的遺伝子は不明であった。Flavellらは神経細胞を用いて活動依存的なMEF2の標的遺伝子をマイクロアレイ法やChIP-chip法などによりゲノムワイドで解析し、数百種類のMEF2標的遺伝子を同定した5。これらの中には神経活動によって発現が誘導される前初期遺伝子が多く含まれており、例えば転写因子をコードするc-fos, fosB, egr1等が含まれていた。また、シナプス機能を制御するArcやhomer1a, synGAP、bndfなどもMEF2の標的遺伝子であった。
MEF2は筋細胞においては、MyoDなどのbHLH型転写因子と協働して筋分化・維持に関わる多くの遺伝子を調節していることが知られていたが、神経細胞における標的遺伝子は不明であった。Flavellらは神経細胞を用いて活動依存的なMEF2の標的遺伝子をマイクロアレイ法やChIP-chip法などによりゲノムワイドで解析し、数百種類のMEF2標的遺伝子を同定した5。これらの中には神経活動によって発現が誘導される前初期遺伝子が多く含まれており、例えば転写因子をコードするc-fos, fosB, egr1等が含まれていた。また、シナプス機能を制御するArcやhomer1a, synGAP、bndfなどもMEF2の標的遺伝子であった。
神経細胞においてMEF2AおよびMEF2Dを減少させると興奮性シナプスの数が増加し、逆に活性化型MEF2を発現させると興奮性シナプスの数および機能が低下する6。同様に、MEF2Cのノックアウトマウスではシナプス数およびシナプス伝達効率は上昇していた7。これらの結果より、成熟神経細胞においてMEF2は興奮性のシナプスの数および機能を負に制御する因子としてはたらいていると考えられる。さらに、活性化型MEF2をマウス海馬や扁桃体に一過性に発現させた場合、記憶や学習に障害がみられることが報告されている8。また、MEF2の標的遺伝子の一部は脆弱性Xの原因遺伝子産物FMRPによって局所蛋白翻訳制御を受けることによりシナプス機能調節に関与している可能性が示唆されている9。
神経細胞においてMEF2AおよびMEF2Dを減少させると興奮性シナプスの数が増加し、逆に活性化型MEF2を発現させると興奮性シナプスの数および機能が低下する6。同様に、MEF2Cのノックアウトマウスではシナプス数およびシナプス伝達効率は上昇していた7。これらの結果より、成熟神経細胞においてMEF2は興奮性のシナプスの数および機能を負に制御する因子としてはたらいていると考えられる。さらに、活性化型MEF2をマウス海馬や扁桃体に一過性に発現させた場合、記憶や学習に障害がみられることが報告されている8。また、MEF2の標的遺伝子の一部は脆弱性Xの原因遺伝子産物FMRPによって局所蛋白翻訳制御を受けることによりシナプス機能調節に関与している可能性が示唆されている9。
【参考文献】
【参考文献】
1. Potthoff, M.J. & Olson, E.N. MEF2: a central regulator of diverse developmental programs. Development (Cambridge, England) 134, 4131-4140 (2007).
1. Potthoff, M.J. & Olson, E.N. MEF2: a central regulator of diverse developmental programs. Development (Cambridge, England) 134, 4131-4140 (2007).


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