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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0191450 若松 義雄]</font><br> | |||
''東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月9日 原稿完成日:2012年7月5日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noriko1128 大隅 典子](東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野)<br> | |||
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{{PBB|geneid=8650}} | {{PBB|geneid=8650}} | ||
{{box|text= | |||
もともとは[[ショウジョウバエ]]で同定された[[wikipedia:JA:遺伝子|遺伝子]](dNumb)で、変異体は[[外感覚器前駆細胞]](Sensory Organ Precursor、SOP)の[[wikipedia:ja:細胞系譜|細胞系譜]]選択異常を示す<ref name=ref1><pubmed> 2752427 </pubmed></ref> 。ショウジョウバエのNumbタンパク質は前駆細胞の分裂時に非対称に分配され、[[Notch]]タンパク質と相互作用してNotchシグナル伝達を抑制することで、娘細胞の運命決定の非対称性を作り出しているとされる。哺乳類ではNumb(mNumb)と[[Numb-like]](Numbl)の2つの遺伝子が同定されている。また、mNumbでは、[[wikipedia:ja:選択的スプライシング|選択的スプライシング]]によって活性の異なるタンパク質アイソフォームが作られる<ref name=ref2><pubmed> 10551880 </pubmed></ref><ref name=ref3><pubmed> 10468633 </pubmed></ref>ため、その機能は多様である。 | もともとは[[ショウジョウバエ]]で同定された[[wikipedia:JA:遺伝子|遺伝子]](dNumb)で、変異体は[[外感覚器前駆細胞]](Sensory Organ Precursor、SOP)の[[wikipedia:ja:細胞系譜|細胞系譜]]選択異常を示す<ref name=ref1><pubmed> 2752427 </pubmed></ref> 。ショウジョウバエのNumbタンパク質は前駆細胞の分裂時に非対称に分配され、[[Notch]]タンパク質と相互作用してNotchシグナル伝達を抑制することで、娘細胞の運命決定の非対称性を作り出しているとされる。哺乳類ではNumb(mNumb)と[[Numb-like]](Numbl)の2つの遺伝子が同定されている。また、mNumbでは、[[wikipedia:ja:選択的スプライシング|選択的スプライシング]]によって活性の異なるタンパク質アイソフォームが作られる<ref name=ref2><pubmed> 10551880 </pubmed></ref><ref name=ref3><pubmed> 10468633 </pubmed></ref>ため、その機能は多様である。 | ||
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== 構造== | == 構造== | ||
dNumb、mNumb、Numbl、さらには他の[[wikipedia:JA:脊椎動物|脊椎動物]]で報告されているNumbといった各タンパク質に共通するモチーフとして、アミノ末端側に[[リン酸化チロシン結合ドメイン]](phosphotyrosine-binding domain, PTB domain)がある<ref name=ref4><pubmed> 19944684 </pubmed></ref>。また、カルボキシ末端側には[[Eps15ホモロジー領域]](DPFとNPF)がある。またmNumbにはPTBドメインとDPFの間にプロリンに富む配列([[proline-rich region]]、PRR)があり、PRR中に[[Src homology-3 binding site]]様の配列を含んでいる。mNumbについてはPTBドメインとPRRに選択的スプライシングがあり、全部で4種類(p72、p71、p66、p65)のタンパク質ができる。P71は全長であるp72のPTBドメインの一部を欠いており、P66はPRRの対部分、p65は両方を欠損している。NumblはPRRを持たないが、特徴的な[[wikipedia:JA:グルタミン|グルタミン]]に富む配列を持つ。 | dNumb、mNumb、Numbl、さらには他の[[wikipedia:JA:脊椎動物|脊椎動物]]で報告されているNumbといった各タンパク質に共通するモチーフとして、アミノ末端側に[[リン酸化チロシン結合ドメイン]](phosphotyrosine-binding domain, PTB domain)がある<ref name=ref4><pubmed> 19944684 </pubmed></ref>。また、カルボキシ末端側には[[Eps15ホモロジー領域]](DPFとNPF)がある。またmNumbにはPTBドメインとDPFの間にプロリンに富む配列([[proline-rich region]]、PRR)があり、PRR中に[[Src homology-3 binding site]]様の配列を含んでいる。mNumbについてはPTBドメインとPRRに選択的スプライシングがあり、全部で4種類(p72、p71、p66、p65)のタンパク質ができる。P71は全長であるp72のPTBドメインの一部を欠いており、P66はPRRの対部分、p65は両方を欠損している。NumblはPRRを持たないが、特徴的な[[wikipedia:JA:グルタミン|グルタミン]]に富む配列を持つ。 | ||
== ファミリー == | |||
哺乳類ではNumb(mNumb)とNumb-like(Numbl)の2つの遺伝子が同定されている。また、mNumbでは、選択的スプライシングによって活性の異なるタンパク質アイソフォームが作られる。[http://mouse.brain-map.org/gene/show/17989 mNumb]は神経系をはじめとして胚発生期のさまざまな組織で発現しているが、アイソフォームによって発現パターンが異なる(後述)。また、[http://mouse.brain-map.org/gene/show/17990 Numbl]は神経発生期において、分化したニューロンに限局して発現する。 | |||
== 生化学的な活性とその調節== | == 生化学的な活性とその調節== | ||
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<references/> | <references/> | ||