「Signal Transducers and Activator of Transcription 3」の版間の差分

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== 神経系での働き⑤:ニューロンの生存制御 ==
== 神経系での働き⑤:ニューロンの生存制御 ==


 炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子tumor necrosis factor-α (TNF-α)は神経細胞死を引き起こす。対照的に、インスリン様成長因子insulin-like growth factor-1 (IGF-1)は神経保護効果を発揮する。ラットの大脳新皮質ニューロンの培養系において、高濃度TNF-α添加により誘導される神経細胞死を、IGF-1が阻害することがわかった。これは、JAK/STAT3経路がIGF-1により活性化し、サイトカイン抑制シグナル分子supressors of cytokine signaling 3 (SOCS-3)の発現を促進することで、SOCS-3のフィードバック制御によりTNF-αシグナルを抑制し神経細胞死を阻害するためだと考えられるが、詳しいメカニズムは不明である<ref name="ref8" />。
 炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子tumor necrosis factor-α (TNF-α)は神経疾患、または炎症反応中の脳で、神経細胞毒性を持つ<ref name="ref20"><pubmed> 7507336 </pubmed></ref>。TNF-αの高濃度添加によりニューロン死が観察された。インスリン様成長因子insulin-like growth factor-1 (IGF-1)は頭部外傷など、脳内の炎症反応により多量に発現し、神経保護を行う<ref name="ref21"><pubmed> 9246719 </pubmed></ref><ref name="ref22"><pubmed> 14568359 </pubmed></ref>。IGF-1はTNF-α添加により誘導されるニューロン死を阻害することが明らかになった。
 この神経保護効果は、JAK/STAT3経路がIGF-1により活性化し、STAT3とSTAT1のヘテロ二量体がサイトカイン抑制シグナル分子supressors of cytokine signaling 3 (SOCS-3)の発現を促進することで、SOCS-3のフィードバック制御によりTNF-αシグナルを抑制し神経細胞死を阻害するためだと考えられる<ref name="ref8" />。


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