「TAR DNA-binding protein of 43 kDa」の版間の差分

 
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== 機能 ==
== 機能 ==
 TDP-43はGly-richドメインを含むC末端領域を介して他のRNA結合タンパク質と結合し、タンパク質複合体を形成することによってスプライシングの調節に作用する。例えば、上述のようにTDP-43はCFTRのエクソン9をスキップさせ、スプライシング抑制因子として機能する<ref name=Buratti2001b><pubmed>11285240</pubmed></ref>ことが判明した。またこのタンパク質は、ヒト[[ニューロフィラメント軽鎖]](hNFL)mRNAの安定化<ref name=Strong2011><pubmed>17481916</pubmed></ref>、[[cyclin-dependent kinase 6]]([[Cdk6]])の発現抑制<ref name=Ayala2008><pubmed>18305152</pubmed></ref>、[[survival of motor neuron 2]]遺伝子([[SMN2]])のエクソン7のスプライシング促進<ref name=Bose2008><pubmed>18703504</pubmed></ref>などと関連することが報告されている。それ以外にも、[[マイクロRNA]]の生合成、[[長鎖ノンコーディングRNA]]との関与、[[ストレス顆粒]]の形成にも関連することが知られている。
 TDP-43はGly-richドメインを含むC末端領域を介して他のRNA結合タンパク質と結合し、タンパク質複合体を形成することによってスプライシングの調節に作用する。例えば、上述のようにTDP-43はCFTRのエクソン9をスキップさせ、スプライシング抑制因子として機能する<ref name=Buratti2001b><pubmed>11285240</pubmed></ref>ことが判明した。またこのタンパク質は、ヒト[[ニューロフィラメント軽鎖]](hNFL)[[mRNA]]の安定化<ref name=Strong2011><pubmed>17481916</pubmed></ref>、[[cyclin-dependent kinase 6]]([[Cdk6]])の発現抑制<ref name=Ayala2008><pubmed>18305152</pubmed></ref>、[[survival of motor neuron 2]]遺伝子([[SMN2]])のエクソン7のスプライシング促進<ref name=Bose2008><pubmed>18703504</pubmed></ref>などと関連することが報告されている。それ以外にも、[[マイクロRNA]]の生合成、[[長鎖ノンコーディングRNA]]との関与、[[ストレス顆粒]]の形成にも関連することが知られている。


 またTDP-43遺伝子欠損マウスの解析より胎生致死となることが報告され、[[哺乳類]]においてTDP-43は必須であることが判明した<ref name=Wu2010><pubmed>20014337</pubmed></ref><ref name=Sephton2010><pubmed>20040602</pubmed></ref><ref name=Kraemer2010><pubmed>20198480</pubmed></ref>。さらにTDP-43は自分自身でその発現量を厳密にコントロールしていることも明らかとなった。すなわちTDP-43が自身のmRNAの3'UTRに結合し,近傍の選択的スプライシングやpolyA付加を変化させることにより,自身の発現を制御していることが報告された<ref name=Polymenidou2011><pubmed>21358643</pubmed></ref><ref name=Ayala2011><pubmed>21131904</pubmed></ref><ref name=Avendanño-Vázquez2012><pubmed>22855830</pubmed></ref>。この制御機構の破綻とALSやFTLDの発症との関連性が注目されている。
 またTDP-43遺伝子欠損マウスの解析より胎生致死となることが報告され、[[哺乳類]]においてTDP-43は必須であることが判明した<ref name=Wu2010><pubmed>20014337</pubmed></ref><ref name=Sephton2010><pubmed>20040602</pubmed></ref><ref name=Kraemer2010><pubmed>20198480</pubmed></ref>。さらにTDP-43は自分自身でその発現量を厳密にコントロールしていることも明らかとなった。すなわちTDP-43が自身のmRNAの3'UTRに結合し,近傍の選択的スプライシングやpolyA付加を変化させることにより,自身の発現を制御していることが報告された<ref name=Polymenidou2011><pubmed>21358643</pubmed></ref><ref name=Ayala2011><pubmed>21131904</pubmed></ref><ref name=Avendanño-Vázquez2012><pubmed>22855830</pubmed></ref>。この制御機構の破綻とALSやFTLDの発症との関連性が注目されている。