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== 機能獲得の機構を介した疾患 (1) ポリグルタミン病 == | == 機能獲得の機構を介した疾患 (1) ポリグルタミン病 == | ||
トリプレット病のうち9つの疾患については、エクソン内に存在し、ポリグルタミン鎖をコードするCAGリピートが異常伸長することからポリグルタミン病とも呼ばれている。ポリグルタミン病の共通の特徴として、伸長ポリグルタミン鎖を有する変異タンパク質が患者神経細胞内で[[凝集体]]を形成することがしられている。ポリグルタミン鎖の異常伸長はそれぞれの遺伝子産物の折りたたみ構造(コンフォーメーション)に変化をきたし(ミスフォールディング)、異常な折りたたみ構造を呈するタンパク質が次第に凝集体として神経細胞内に蓄積すると考えられる。また、[[ミスフォールディング]] | トリプレット病のうち9つの疾患については、エクソン内に存在し、ポリグルタミン鎖をコードするCAGリピートが異常伸長することからポリグルタミン病とも呼ばれている。ポリグルタミン病の共通の特徴として、伸長ポリグルタミン鎖を有する変異タンパク質が患者神経細胞内で[[凝集体]]を形成することがしられている。ポリグルタミン鎖の異常伸長はそれぞれの遺伝子産物の折りたたみ構造(コンフォーメーション)に変化をきたし(ミスフォールディング)、異常な折りたたみ構造を呈するタンパク質が次第に凝集体として神経細胞内に蓄積すると考えられる。また、[[ミスフォールディング]]の結果、それら遺伝子産物が本来有する機能、特に他の分子とのタンパク質間相互作用を介した機能に変化をきたし、その結果さまざまな細胞内プロセスに変化をきたし、最終的に神経変性に導くと考えられている(図2)。 | ||
[[Image:ポリグルタミン病態仮説.png|thumb|right|300px|<b> | [[Image:ポリグルタミン病態仮説.png|thumb|right|300px|<b>図2 ポリグルタミン病の病態仮説</b><br />伸長したポリグルタミン鎖はホストタンパク質のコンフォーメーションを変化させ、細胞内に次第に蓄積するとともに[[インタラクトーム]]に変化をきたす。これらの変化は細胞内のさまざまなプロセスに複雑な変化を及ぼし病態発症に導く。]] | ||
=== 球脊髄性筋萎縮症 === | === 球脊髄性筋萎縮症 === | ||
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=== DRPLA === | === DRPLA === | ||
本邦に多い常染色体優性遺伝性疾患。表現促進現象が認められ、中年期に発症する患者では運動失調・[[アテトーゼ]]様不随意運動・認知症を主症状とする脊髄小脳変性症、20才以下の若年発症型では[[ミオクローヌス]]・てんかん・精神遅滞を主症状とするミオクローヌスてんかんの臨床像を示す。若年発症型の大部分は父親からの遺伝である。神経病理学的には歯状核赤核系及び[[淡蒼球外節ルイ体系]]の変性を主体とする。変異アレルでは[[アトロフィン1]](atrophin 1)をコードするDRPLA遺伝子エクソン5に存在するCAGリピートが異常伸長している。アトロフィン1は標的遺伝子の転写を負に制御するコリプレッサーの1つ<ref><pubmed>11792320</pubmed></ref> で、ポリグルタミン鎖の伸長によりその機能が変化し、神経変性に導くものと考えられている。 | 本邦に多い常染色体優性遺伝性疾患。表現促進現象が認められ、中年期に発症する患者では運動失調・[[アテトーゼ]]様不随意運動・認知症を主症状とする脊髄小脳変性症、20才以下の若年発症型では[[ミオクローヌス]]・てんかん・精神遅滞を主症状とするミオクローヌスてんかんの臨床像を示す。若年発症型の大部分は父親からの遺伝である。神経病理学的には歯状核赤核系及び[[淡蒼球外節ルイ体系]]の変性を主体とする。変異アレルでは[[アトロフィン1]](atrophin 1)をコードするDRPLA遺伝子エクソン5に存在するCAGリピートが異常伸長している。アトロフィン1は標的遺伝子の転写を負に制御するコリプレッサーの1つ<ref><pubmed>11792320</pubmed></ref> で、ポリグルタミン鎖の伸長によりその機能が変化し、神経変性に導くものと考えられている。 | ||
== 機能獲得の機構を介した疾患 (2) RNA機能獲得による疾患 == | == 機能獲得の機構を介した疾患 (2) RNA機能獲得による疾患 == |