「ゾーン構造」の版間の差分

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=== 主嗅覚系ゾーン構造の再検討  ===
=== 主嗅覚系ゾーン構造の再検討  ===


 これまで述べてきたように、1990年代前半より非常にシンプルな4分割されたゾーン構造が嗅上皮と嗅球に存在すると考えられてきた。しかし近年多くの匂い分子受容体の分布が詳細に検討された結果、嗅上皮、嗅球ともに背側ゾーンと腹側ゾーンの2つのゾーンに分割されるという説が有力になってきている。およそ80種類の匂い分子受容体の発現分布をin situ hybridization法で調べたところ、いずれの受容体も前後軸に沿った帯状の発現分布を示した。しかし古典的4ゾーンのうち最背側ゾーンに発現するもの以外の受容体の多くは、古典的4分割ゾーンの何れかに限局することなく固有の帯状の分布を示した。これらの受容体の分布は部分的に重なりあっていることから、腹側ゾーン内部には明確なサブゾーンは存在しないと考えられている。一方、古典的4分割ゾーンの最背側部に位置するゾーン1に発現する受容体は腹側ゾーンに分布することはなく、腹側ゾーンの受容体が背側ゾーンに分布することはないため、嗅上皮と嗅球には背側ゾーンと腹側ゾーンの2つの排他的なゾーンがあると考えられる(Miyamichi et al 2005)。  
 これまで述べてきたように、1990年代前半よりシンプルに4分割されたゾーン構造が嗅上皮および嗅球に存在するモデルが支持されてきた。しかし近年多くの匂い分子受容体の分布が詳細に検討された結果、嗅上皮、嗅球ともに背側ゾーンと腹側ゾーンの2つのゾーンに分割されるという説が有力になってきている。およそ80種類の匂い分子受容体の発現分布をin situ hybridization法で調べたところ、いずれの受容体も前後軸に沿った帯状の発現分布を示した。しかし古典的4分割ゾーンのうち最背側ゾーンに発現するもの以外の受容体の多くは、古典的4分割ゾーンの何れかに限局することなく固有の帯状の分布を示した。これらの受容体の分布は部分的に重なりあっていることから、腹側ゾーン内部には明確なサブゾーンは存在しないと考えられている。一方、古典的4分割ゾーンの最背側部に位置するゾーン1に発現する受容体は腹側ゾーンに分布することはなく、腹側ゾーンの受容体が背側ゾーンに分布することはないため、嗅上皮と嗅球には背側ゾーンと腹側ゾーンの2つの排他的なゾーンがあると考えられる(Miyamichi et al 2005)。  


=== <br>主嗅覚系ゾーン構造の機能  ===
=== <br>主嗅覚系ゾーン構造の機能  ===
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=== 小脳におけるゾーン構造  ===
=== 小脳におけるゾーン構造  ===


 哺乳類の[[小脳]]において、小脳皮質プルキンエ細胞はオリーブ核より軸索入力を受け、小脳核へ軸索投射する。小脳皮質は正中線に沿って内側部が虫部、外側部が半球、虫部と半球に挟まれた領域を中間部と前後軸に伸びる帯状の領域に分類される。小脳核は内側より室頂核(内側核)、中位核、歯状核(外側核)と分けられるが、小脳皮質虫部は室頂核へ、中間部は中位核へ、半球部は外側核へ選択的に投射することが明らかになり、小脳は前後軸に広がる3つのゾーンに機能分化することが示唆されていた()。
 哺乳類の[[小脳]]において、小脳皮質プルキンエ細胞はオリーブ核より軸索入力を受け、小脳核へ軸索投射する。小脳皮質は正中線に沿って内側部が虫部、外側部が半球、虫部と半球に挟まれた領域を中間部と前後軸に伸びる帯状の領域に分類される。小脳核は内側より室頂核(内側核)、中位核、歯状核(外側核)と分けられるが、小脳皮質虫部は室頂核へ、中間部は中位核へ、半球部は外側核へ選択的に投射することが明らかになり、小脳は前後軸に広がる3つのゾーンに機能分化することが示唆されていた()。  


 1960年代に入り、小脳皮質へ登上線維を送り出すオリーブ核の亜領域と、出力先である小脳皮質の亜領域の詳細な検討がなされた。小脳皮質の微小電気刺激によるオリーブ核での逆行性応答のマッピング、そして各種トレーサーによる登上線維マッピングにより、左右の小脳皮質はそれぞれ前後軸に沿って伸びる少なくともA,B,C1,C2,C3,D1,D2の7つのゾーン('''longitudinal zones''')が存在するモデルが提唱された。現在では入力領域のさらなる差別化、そして小脳核への出力パターンを組み合わせることで、A,AX,X, B, A2, C1, CX, C2, C3, D1, D0, D2の12のゾーンが小脳皮質にあると考えられている(Apps and Hawkes 2009)(図3)。これらのゾーン構造のうち、BゾーンやC3ゾーンでは「マイクロゾーン」と呼ばれる100~300μm幅と、通常のゾーン構造の幅(~1mm)より更に細かなゾーン構造が見いだされている()。しかしながら、マイクロゾーンが全てのlongitudinal zoneに存在するかはまだ不明でありこれからの研究が俟たれる。  
 1960年代に入り、小脳皮質へ登上線維を送り出すオリーブ核の亜領域と、出力先である小脳皮質の亜領域の詳細な検討がなされた。小脳皮質の微小電気刺激によるオリーブ核での逆行性応答のマッピング、そして各種トレーサーによる登上線維マッピングにより、左右の小脳皮質はそれぞれ前後軸に沿って伸びる少なくともA,B,C1,C2,C3,D1,D2の7つのゾーン('''longitudinal zones''')が存在するモデルが提唱された。現在では入力領域のさらなる差別化、そして小脳核への出力パターンを組み合わせることで、A,AX,X, B, A2, C1, CX, C2, C3, D1, D0, D2の12のゾーンが小脳皮質にあると考えられている(Apps and Hawkes 2009)(図3)。これらのゾーン構造のうち、BゾーンやC3ゾーンでは「マイクロゾーン」と呼ばれる100~300μm幅と、通常のゾーン構造の幅(~1mm)より更に細かなゾーン構造が見いだされている()。しかしながら、マイクロゾーンが全てのlongitudinal zoneに存在するかはまだ不明でありこれからの研究が俟たれる。  
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