「イオンチャネル」の版間の差分

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 2006年に発見された電位依存性プロトンチャネルは、電位依存性カリウムチャネルの膜電位センサードメイン(S1~S4)のみでポアドメイン(S5~S6)を欠いたような構造の4回膜貫通型タンパク質である(図3)<ref><pubmed>16556803</pubmed></ref><ref><pubmed>16554753</pubmed></ref>。単体でプロトンを透過することができるが、二量体で機能していると考えられている。
 2006年に発見された電位依存性プロトンチャネルは、電位依存性カリウムチャネルの膜電位センサードメイン(S1~S4)のみでポアドメイン(S5~S6)を欠いたような構造の4回膜貫通型タンパク質である(図3)<ref><pubmed>16556803</pubmed></ref><ref><pubmed>16554753</pubmed></ref>。単体でプロトンを透過することができるが、二量体で機能していると考えられている。


===内向き整流性カリウムチャネル (2回膜貫通型)===
===内向き整流性カリウムチャネル===
 内向き[[整流性]]カリウムチャネルは2回膜貫通型のポアドメインのみからなるイオンチャネルで、4つの&alpha;サブユニットで構成される四量体イオンチャネルである(図3)。イオンチャネルとして初めて構造が明らかになったKcsAチャネルも2回膜貫通型のカリウムチャネルである。ファミリーには古典的な内向き[[Wikipedia:ja:整流|整流]]性チャネルであるKir1, 2, 4, 5, 7と、[[GTP結合tタンパク質]]で活性化されるGIRK (Kir3)、[[Wikipedia:ja:ATP|ATP]]感受性カリウムチャネルを構成するKir6に大別される。[[静止膜電位]]の維持など、神経細胞や[[Wikipedia:ja:心筋|心筋]]などで重要な役割を果たしている。Kir6は[[wikipedia:ja:膵臓|膵臓]][[wikipedia:ja:ランゲルハンス島|&beta;細胞]]で[[wikipedia:ja:スルフォニルウレア|スルフォニル尿素]]と複合体を構成し、細胞内[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]センサーとして[[wikipedia:ja:インシュリン|インシュリン]]の放出に重要である。Kir2をはじめとする内向き整流性カリウムチャネルは、膜電位センサーに相当するドメインを有していないが、細胞内の[[wikipedia:ja:マグネシウム|Mg<sup>2+</sup>]]や[[wikipedia:ja:スペルミン|スペルミン]]などの[[wikipedia:ja:ポリアミン|ポリアミン]]によって、細胞の内側から膜電位依存的にブロックされる。この機構により過分極時にはカリウムイオンを細胞外から細胞内に向けて流すが、脱分極時にはこれらのブロックにより細胞外へのカリウムイオンの流出を抑える。結果的に細胞の内側にカリウムイオンが流れやすい“内向き整流性”の性質を持つことになる。GIRK1(Kir3.1)とKir2.2の結晶構造がこれまでに明らかになっている<ref><pubmed>12507423</pubmed></ref><ref><pubmed>20019282</pubmed></ref><ref><pubmed>21874019</pubmed></ref>。
 内向き[[整流性]]カリウムチャネルは2回膜貫通型のポアドメインのみからなるイオンチャネルで、4つの&alpha;サブユニットで構成される四量体イオンチャネルである(図3)。イオンチャネルとして初めて構造が明らかになったKcsAチャネルも2回膜貫通型のカリウムチャネルである。ファミリーには古典的な内向き[[Wikipedia:ja:整流|整流]]性チャネルであるKir1, 2, 4, 5, 7と、[[GTP結合tタンパク質]]で活性化されるGIRK (Kir3)、[[Wikipedia:ja:ATP|ATP]]感受性カリウムチャネルを構成するKir6に大別される。[[静止膜電位]]の維持など、神経細胞や[[Wikipedia:ja:心筋|心筋]]などで重要な役割を果たしている。Kir6は[[wikipedia:ja:膵臓|膵臓]][[wikipedia:ja:ランゲルハンス島|&beta;細胞]]で[[wikipedia:ja:スルフォニルウレア|スルフォニル尿素]]と複合体を構成し、細胞内[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]センサーとして[[wikipedia:ja:インシュリン|インシュリン]]の放出に重要である。Kir2をはじめとする内向き整流性カリウムチャネルは、膜電位センサーに相当するドメインを有していないが、細胞内の[[wikipedia:ja:マグネシウム|Mg<sup>2+</sup>]]や[[wikipedia:ja:スペルミン|スペルミン]]などの[[wikipedia:ja:ポリアミン|ポリアミン]]によって、細胞の内側から膜電位依存的にブロックされる。この機構により過分極時にはカリウムイオンを細胞外から細胞内に向けて流すが、脱分極時にはこれらのブロックにより細胞外へのカリウムイオンの流出を抑える。結果的に細胞の内側にカリウムイオンが流れやすい“内向き整流性”の性質を持つことになる。GIRK1(Kir3.1)とKir2.2の結晶構造がこれまでに明らかになっている<ref><pubmed>12507423</pubmed></ref><ref><pubmed>20019282</pubmed></ref><ref><pubmed>21874019</pubmed></ref>。


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