「不安症」の版間の差分

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(ページの作成:「不安障害 英:Anxiety Disorders 独:AngststÖrung 同義語:神経症性障害(neurosis) 要約 定義  不安とは、生体にとって危害的な状...」)
 
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強迫性障害をはじめとする不安障害にはSSRIだけでなくドパミン受容体遮断薬も効果を持つ。図1で縦軸の上に行くほどドパミン受容体遮断薬の効果がある。セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)は不安・抑うつを惹起すると考えられている5-HT2受容体を遮断するだけでなく前頭前野のドパミン遊離を増加させ、恐怖の消去を促進することが最近の基礎研究で明らかにされた。このような二重効果のある非定型抗精神病薬を少量使用することは不安障害の治療に重要であろう。
強迫性障害をはじめとする不安障害にはSSRIだけでなくドパミン受容体遮断薬も効果を持つ。図1で縦軸の上に行くほどドパミン受容体遮断薬の効果がある。セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)は不安・抑うつを惹起すると考えられている5-HT2受容体を遮断するだけでなく前頭前野のドパミン遊離を増加させ、恐怖の消去を促進することが最近の基礎研究で明らかにされた。このような二重効果のある非定型抗精神病薬を少量使用することは不安障害の治療に重要であろう。
認知行動療法はエビデンスのある精神療法である。不安障害に認知行動療法は大いに適応となる。認知行動療法の効果に関するメタ分析の結果によれば、最も効果量が多いのは強迫性障害で0.64-2.20、それに続き、社交不安障害で0.39-0.86、心的外傷後ストレス障害で0.28-0.96、全般性不安障害で0.05-0.97、パニック障害0.04-0.65であった(Hofmann & Smits、2008)それとは別に、多くの報告は薬物療法の併用を推奨している。
認知行動療法はエビデンスのある精神療法である。不安障害に認知行動療法は大いに適応となる。認知行動療法の効果に関するメタ分析の結果によれば、最も効果量が多いのは強迫性障害で0.64-2.20、それに続き、社交不安障害で0.39-0.86、心的外傷後ストレス障害で0.28-0.96、全般性不安障害で0.05-0.97、パニック障害0.04-0.65であった(Hofmann & Smits、2008)それとは別に、多くの報告は薬物療法の併用を推奨している。
【経過・予後】
【経過・予後】
各障害の全罹患者の3/4が発症する年齢は、特定の恐怖症:12歳、社交不安障害:15歳、強迫性障害:30歳、広場恐怖 : 33歳、PTSD:39歳、パニック障害:40歳、全般性不安障害:47歳である(Kessler RCら、2005)。急性ストレス障害以外すべて慢性の経過をとり、寛解しても再発再燃が多い。10年後の寛解率は、パニック障害:0.82、 全般性不安障害:0.50、 パニック障害+広場恐怖:0.42、 社交不安障害:0.35 であり、再発率はパニック障害+広場恐怖:0.55、 パニック障害:0.54、全般性不安障害:0.38、社交不安障害:0.34であった(Keller MB、2006)。すなわち、パニック障害は寛解率も再発率も最も高く、社交不安障害は寛解率も再発率も最も低かった。
各障害の全罹患者の3/4が発症する年齢は、特定の恐怖症:12歳、社交不安障害:15歳、強迫性障害:30歳、広場恐怖 : 33歳、PTSD:39歳、パニック障害:40歳、全般性不安障害:47歳である(Kessler RCら、2005)。急性ストレス障害以外すべて慢性の経過をとり、寛解しても再発再燃が多い。10年後の寛解率は、パニック障害:0.82、 全般性不安障害:0.50、 パニック障害+広場恐怖:0.42、 社交不安障害:0.35 であり、再発率はパニック障害+広場恐怖:0.55、 パニック障害:0.54、全般性不安障害:0.38、社交不安障害:0.34であった(Keller MB、2006)。すなわち、パニック障害は寛解率も再発率も最も高く、社交不安障害は寛解率も再発率も最も低かった。
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DSM-5における精神障害 5.不安障害 貝谷久宣 、兼子唯、巣山晴菜  臨床精神医学41(5):577-587、2012
DSM-5における精神障害 5.不安障害 貝谷久宣 、兼子唯、巣山晴菜  臨床精神医学41(5):577-587、2012


担当者・編集者 貝谷久宣 (医療法人 和楽会 パニック障害研究センター代表)
担当者・編集者 貝谷久宣 (加藤忠史)
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