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脳室に注入された分子は、脳室から漏れ出なければ拡散による希釈が限定的であるため、脳室の周囲の細胞への導入は比較的容易である。胎仔期の神経幹細胞や神経前駆細胞は脳室に接しており、遺伝子導入の格好の標的となる。大脳などでは、発生の時期により神経幹細胞から生み出される神経細胞の種類が異なるため、時期を選ぶことにより特定の種類の神経細胞のみで遺伝子を発現することが可能となる<ref name=ref14><pubmed>21963197</pubmed></ref><ref name=ref15><pubmed>21963197</pubmed></ref>。同一の胎仔に異なる時期で2回電気穿孔することもできる<ref name=ref15><pubmed>15750183</pubmed></ref>。<br> | 脳室に注入された分子は、脳室から漏れ出なければ拡散による希釈が限定的であるため、脳室の周囲の細胞への導入は比較的容易である。胎仔期の神経幹細胞や神経前駆細胞は脳室に接しており、遺伝子導入の格好の標的となる。大脳などでは、発生の時期により神経幹細胞から生み出される神経細胞の種類が異なるため、時期を選ぶことにより特定の種類の神経細胞のみで遺伝子を発現することが可能となる<ref name=ref14><pubmed>21963197</pubmed></ref><ref name=ref15><pubmed>21963197</pubmed></ref>。同一の胎仔に異なる時期で2回電気穿孔することもできる<ref name=ref15><pubmed>15750183</pubmed></ref>。<br> | ||
ニワトリやマウス以外の動物にも応用されており、大脳の他にも脊髄<ref name=ref18><pubmed>12657654</pubmed></ref>や小脳<ref name=ref17><pubmed>18723012</pubmed></ref>、網膜<ref name=ref19><pubmed>14603031</pubmed></ref>、筋肉<ref name=ref20><pubmed>9743122</pubmed></ref>、精巣<ref name=ref21><pubmed>11150518</pubmed></ref>など多くの組織でin vivo electroporationを用いた遺伝子導入に成功している。<br> | ニワトリやマウス以外の動物にも応用されており、大脳の他にも脊髄<ref name=ref18><pubmed>12657654</pubmed></ref>や小脳<ref name=ref17><pubmed>18723012</pubmed></ref>、網膜<ref name=ref19><pubmed>14603031</pubmed></ref>、筋肉<ref name=ref20><pubmed>9743122</pubmed></ref>、精巣<ref name=ref21><pubmed>11150518</pubmed></ref>など多くの組織でin vivo electroporationを用いた遺伝子導入に成功している。<br> | ||
胎仔や組織のレベルで遺伝子を解析できる点が最大の長所であり、熟練すればマウス胎仔で9割近い生存率と9割を越える遺伝子導入効率が得られるが、技術的に注意を要する点がある。遺伝子は陽極側の細胞のみに限定的に導入される特長を有するため、陰極側の遺伝子導入されない部位との比較が容易であり、遺伝子の機能や発現制御機構の解析に威力を発揮する。 | |||
==原理== | ==原理== |
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