16,039
回編集
細編集の要約なし |
細 (→嗅球におけるゾーン構造) |
||
13行目: | 13行目: | ||
=== 嗅球におけるゾーン構造 === | === 嗅球におけるゾーン構造 === | ||
[[嗅細胞]]の軸索は一次嗅覚中枢である[[嗅球]] | [[嗅細胞]]の軸索は一次嗅覚中枢である[[嗅球]]へ投射し、[[糸球]]と呼ばれる構造内で[[シナプス]]結合を形成する。嗅球の出力ニューロンである[[僧帽細胞]]、[[房飾細胞]]は糸球内で嗅細胞からのシナプス入力を受け、二次嗅覚中枢である[[嗅皮質]]へ軸索投射する。糸球は[[嗅球]]表面側にシート状に配置されていて、[[wikipedia:ja:げっ歯類|げっ歯類]]では片嗅球あたり2000個ほど存在する。それぞれの糸球にはおよそ3000個の嗅細胞がシナプス結合を作るが、ひとつの糸球に軸索[[トポグラフィックマッピング|投射]]する[[嗅細胞]]は同一の匂い分子受容体を発現することが知られている。 | ||
各匂い分子受容体を発現する[[嗅細胞]]が軸索投射する糸球の位置をマッピングしたところ、同一嗅上皮ゾーンに属する[[嗅細胞]]の投射先の糸球は、嗅球を帯状(ゾーン状)に取り巻くように分布を取ることが明らかになった。また特定の嗅上皮ゾーンに属する嗅細胞は、対応する嗅球ゾーンに配置する糸球に投射し、嗅球にも嗅上皮のゾーン構造に対応した4つのゾーン構造があることが示された<ref ><pubmed>7528109</pubmed></ref> <ref ><pubmed>8001145</pubmed></ref>(図1右)。このように嗅上皮上の特定のゾーンの嗅細胞が、嗅球上の特定のゾーンに軸索投射する様式は「ゾーンからゾーンへの投射 ('''zone-to-zone projection''')」と呼ばれている。 | 各匂い分子受容体を発現する[[嗅細胞]]が軸索投射する糸球の位置をマッピングしたところ、同一嗅上皮ゾーンに属する[[嗅細胞]]の投射先の糸球は、嗅球を帯状(ゾーン状)に取り巻くように分布を取ることが明らかになった。また特定の嗅上皮ゾーンに属する嗅細胞は、対応する嗅球ゾーンに配置する糸球に投射し、嗅球にも嗅上皮のゾーン構造に対応した4つのゾーン構造があることが示された<ref ><pubmed>7528109</pubmed></ref> <ref ><pubmed>8001145</pubmed></ref>(図1右)。このように嗅上皮上の特定のゾーンの嗅細胞が、嗅球上の特定のゾーンに軸索投射する様式は「ゾーンからゾーンへの投射 ('''zone-to-zone projection''')」と呼ばれている。 | ||
この主嗅覚系のzone-to-zone projectionに対応するような分子発現が報告されている。[[NCAM]] | この主嗅覚系のzone-to-zone projectionに対応するような分子発現が報告されている。[[NCAM]] familyに属する[[接着分子]][[OCAM]]は、嗅上皮の腹側の3つのゾーンの嗅細胞に発現するが、最背側ゾーンの嗅細胞には発現しない。このゾーン状の発現パターンは投射先である嗅球糸球層でも保持され、腹側の3つのゾーンでは発現が見られるが、最背側ゾーンでは発現が見られない<ref ><pubmed>9221781</pubmed></ref>。このようなゾーン構造と対応した接着分子の発現の機能的意義はまだ解明されていない。しかし、特定の匂い分子受容体を発現する嗅細胞軸索が収束する糸球の位置は個体間で保存されており、正確な投射先へ軸索をガイダンスする上で重要な役割を果たしているのかもしれない。 | ||
=== 主嗅覚系ゾーン構造の再検討 === | === 主嗅覚系ゾーン構造の再検討 === |