「有髄線維」の版間の差分

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== 4:脱髄性疾患(Demyelinating disease)  ==
== 4:脱髄性疾患(Demyelinating disease)  ==


正常な発生における髄鞘形成がなされたのち、神経軸索から髄鞘が脱落すること[よしむら8]。この疾患を脱髄性疾患(demyelinating disease)といい、髄鞘の消失により神経伝導速度が遅くなり、さまざまな神経症状が引き起こされる。脱髄が起こる場所により症状はさまざまである。運動麻痺、感覚麻痺、視力障害などが起こる。中枢神経系では日本では特定疾患に指定されている多発性硬化症(Multiple sclerosis;MS)がある。MSはもっともよく起こる脱髄性疾患であり、若年成人での神経障害の主な原因である。約80-90%のMS患者が二十代後半で再発-寛解型になり、寛解期には共通してある一定程度神経障害が一過的に回復する。発病から数年後、多くの患者が実質上機能回復はなくなり第二ステージに移り、病状は進行型になる。[Jin Nakahara Clin Rev Allerg Immunol2012]。また、末梢神経系ではギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome)や慢性炎症脱髄性疾患多発神経炎(Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP)、などがある。また、最近の研究により統合失調症との関連が示唆されている。[よしむら9,10]髄鞘形成が不完全な髄鞘形成不全疾患(dysmyelination disease)とは区別される。 <br>  
正常な発生における髄鞘形成がなされたのち、神経軸索から髄鞘が脱落すること[よしむら8]。この疾患を脱髄性疾患(demyelinating disease)といい、髄鞘の消失により神経伝導速度が遅くなり、さまざまな神経症状が引き起こされる。脱髄が起こる場所により症状はさまざまである。運動麻痺、感覚麻痺、視力障害などが起こる。中枢神経系では日本では特定疾患に指定されている多発性硬化症(Multiple sclerosis;MS)がある。MSはもっともよく起こる脱髄性疾患であり、若年成人での神経障害の主な原因である。約80-90%のMS患者が二十代後半で再発-寛解型になり、寛解期には共通してある一定程度神経障害が一過的に回復する。発病から数年後、多くの患者が実質上機能回復はなくなり第二ステージに移り、病状は進行型になる。そして、あとの残り10-20%の患者は始めから寛解を経験することのない進行型である。[Jin Nakahara Clin Rev Allerg Immunol2012]。カルシウムチャネルブロッカーであるFampridine(Fampyra)はMS治療において初めて機能回復に成功した経口投与薬であるが、転ける、背中が痛む、めまいがする、不眠、疲労感、悪心、平衡障害が副作用を伴うことが知られている[Fampridineの論文]。インターフェロンβ(Interferon β)とグラチマラー酢酸塩(Glatiramer acetate)が現在もっともよく用いられている。根本治療法はDisease-modifying therapy(DMT)といわれ、これらの薬剤はこのDMTに属しているが、おもにこれらの薬剤が用いられるのは再発-寛解型の患者にのみである。[Nakaharaの論文]。また、末梢神経系ではギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome)や慢性炎症脱髄性疾患多発神経炎(Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP)、などがある。また、最近の研究により統合失調症との関連が示唆されている。[よしむら9,10]髄鞘形成が不完全な髄鞘形成不全疾患(dysmyelination disease)とは区別される。 <br>  


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