16,040
回編集
細 (→生化学的性質) |
細 (→生化学的性質) |
||
21行目: | 21行目: | ||
Kennedyらは、PSD分画に再現性よく多く認められる約45kDの蛋白質が、[[Ca2+/calmodulin依存性タンパク質キナーゼ|Ca<sup>2+</sup>/calmodulin依存性タンパク質キナーゼ]](CaMKII)αである事を見いだした<ref><pubmed> 6580651 </pubmed></ref>。この量は他の蛋白質と比べても多いが、CaMKIIはサンプル調整時の[[虚血]]によりPSDに移行することが知られており<ref><pubmed> 7931307 </pubmed></ref>、それによる影響で過大評価されている可能性がある。それでもなお最も多い蛋白質の一つであることには間違えがない。CaMKIIは他の情報伝達分子に比べ、数十倍以上多く、これはCaMKIIが単に情報伝達分子であるだけではなく、PSDに於ける構造因子であることも示唆する。実際に岡本らはCaMKIIβがアクチンを束化する活性があることを見いだしている<ref><pubmed> 17404223 </pubmed></ref>。 | Kennedyらは、PSD分画に再現性よく多く認められる約45kDの蛋白質が、[[Ca2+/calmodulin依存性タンパク質キナーゼ|Ca<sup>2+</sup>/calmodulin依存性タンパク質キナーゼ]](CaMKII)αである事を見いだした<ref><pubmed> 6580651 </pubmed></ref>。この量は他の蛋白質と比べても多いが、CaMKIIはサンプル調整時の[[虚血]]によりPSDに移行することが知られており<ref><pubmed> 7931307 </pubmed></ref>、それによる影響で過大評価されている可能性がある。それでもなお最も多い蛋白質の一つであることには間違えがない。CaMKIIは他の情報伝達分子に比べ、数十倍以上多く、これはCaMKIIが単に情報伝達分子であるだけではなく、PSDに於ける構造因子であることも示唆する。実際に岡本らはCaMKIIβがアクチンを束化する活性があることを見いだしている<ref><pubmed> 17404223 </pubmed></ref>。 | ||
また、Kennedyらは、PSD III分画に濃縮され、堅固にPSDを構成している蛋白質として、PSD-95を同定した<ref><pubmed> 1419001 </pubmed></ref>。PSD-95は後に、[[NMDA型グルタミン酸受容体]] | また、Kennedyらは、PSD III分画に濃縮され、堅固にPSDを構成している蛋白質として、PSD-95を同定した<ref><pubmed> 1419001 </pubmed></ref>。PSD-95は後に、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]のカルボキシル末端に結合し、NMDA型グルタミン酸受容体のシナプスへの局在を規定している蛋白質として再同定された<ref><pubmed> 7569905 </pubmed></ref>。その後の研究により、PSD-95は様々なシナプス蛋白に結合する事が示され、[[足場蛋白質]]の典型例として知られている。 | ||
一方で、[[wikipedia:ja:ゲノム計画|ゲノム計画]]の完成、[[質量分析計]]技術の進歩により、PSDに存在する蛋白質を網羅的に解析する事も出来る様になった<ref name=peng_mol_cell_proteomics><pubmed>15020595</pubmed></ref><ref><pubmed> 15169875 </pubmed></ref><ref><pubmed> 15572359 </pubmed></ref>。その構成要素はシナプス伝達に関与する分子([[受容体]]など)のほか、細胞内[[情報伝達分子]]([[蛋白質リン酸化酵素]]、[[小分子GTP結合蛋白質]]など)、[[細胞骨格]]系分子([[アクチン]]、[[スペクトリン]]など)、足場蛋白質(PSD-95、[[Shank]]、[[Homer]]など)、[[細胞接着分子]]([[カドヘリン]]、[[ニューロリギン]]など)が見いだされている。 | 一方で、[[wikipedia:ja:ゲノム計画|ゲノム計画]]の完成、[[質量分析計]]技術の進歩により、PSDに存在する蛋白質を網羅的に解析する事も出来る様になった<ref name=peng_mol_cell_proteomics><pubmed>15020595</pubmed></ref><ref><pubmed> 15169875 </pubmed></ref><ref><pubmed> 15572359 </pubmed></ref>。その構成要素はシナプス伝達に関与する分子([[受容体]]など)のほか、細胞内[[情報伝達分子]]([[蛋白質リン酸化酵素]]、[[小分子GTP結合蛋白質]]など)、[[細胞骨格]]系分子([[アクチン]]、[[スペクトリン]]など)、足場蛋白質(PSD-95、[[Shank]]、[[Homer]]など)、[[細胞接着分子]]([[カドヘリン]]、[[ニューロリギン]]など)が見いだされている。 |