「ニューレグリン」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
216行目: 216行目:
=== 細胞内シグナル伝達系  ===
=== 細胞内シグナル伝達系  ===


 ErbBのシグナル伝達経路には、Grb2/Ras/Raf/MAPK([[分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ]])経路、 PI3K([[フォスフォイノシトール3キナーゼ]])/[[Akt]]経路、[[ホスホリパーゼC]]γ(PLCγ)/[[IP3|IP<sub>3</sub>]]経路の3つが存在する。このシグナル伝達の結果、神経系の細胞は[[細胞増殖|増殖]]、分化、生存などの方向にむかう。 Grb2/Ras/Raf/MAPK経路は、ErbB1, ErbB2活性化から派生することが多く、主に細胞分化や増殖 に関与する。ErbB4活性化後には、主にPI3K/Akt経路が働き、細胞成長や抗[[アポトーシス]]を引き起こす。また、これらErbB 受容体はPLCγ/IP3経路も活性化し、Cキナーゼや細胞内カルシウムを動員し、細胞運動や細胞増殖に関与する。
 ErbBのシグナル伝達経路には、Grb2/Ras/Raf/MAPK([[分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ]])経路、 PI3K([[フォスフォイノシトール3キナーゼ]])/[[Akt]]経路、[[ホスホリパーゼC]]γ(PLCγ)/[[IP3|IP<sub>3</sub>]]経路の3つが存在する。このシグナル伝達の結果、神経系の細胞は[[細胞増殖|増殖]]、分化、生存などの方向にむかう。 Grb2/Ras/Raf/MAPK経路は、ErbB1, ErbB2活性化から派生することが多く、主に細胞分化や増殖 に関与する。ErbB4活性化後には、主にPI3K/Akt経路が働き、細胞成長や抗[[アポトーシス]]を引き起こす。また、これらErbB 受容体はPLCγ/IP3経路も活性化し、Cキナーゼや細胞内カルシウムを動員し、細胞運動や[[細胞増殖]]に関与する。


 特にErbB4分子は、神経細胞のなかで多くは[[PSD-95]]と結合し後シナプス部位に蓄積している。PSD-95分子を介してNMDA型グルタミン酸受容体とシグナル分子複合体を形成し、ErbB4シグナルは直接的に[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の活動を調節しているとされている。NRG もしくは 電気刺激は、[[γ-セクレターゼ]]による ErbB4の細胞内ドメインの切断を促進し、核内に移行し分化や細胞死の誘導をする。切断されたErbB4の細胞内ドメインは、[[TAB2]]、[[N-CoR]]との複合体を形成し、遺伝子の転写を調節する能力を発揮する。  
 特にErbB4分子は、神経細胞のなかで多くは[[PSD-95]]と結合し後シナプス部位に蓄積している。PSD-95分子を介してNMDA型グルタミン酸受容体とシグナル分子複合体を形成し、ErbB4シグナルは直接的に[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の活動を調節しているとされている。NRG もしくは 電気刺激は、[[γ-セクレターゼ]]による ErbB4の細胞内ドメインの切断を促進し、核内に移行し分化や細胞死の誘導をする。切断されたErbB4の細胞内ドメインは、[[TAB2]]、[[N-CoR]]との複合体を形成し、遺伝子の転写を調節する能力を発揮する。  

案内メニュー