145
回編集
Takumitsutsui (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Takumitsutsui (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
13行目: | 13行目: | ||
病態メカニズムについて神経心理、脳画像研究、遺伝子研究などが行われている。恐怖の条件付けに関連した扁桃体、内側前頭前野と海馬を含むfear circuitが神経回路として想定されており、それを支持する脳画像研究結果が存在する。遺伝子研究においては現時点でPTSDに決定的な影響を与える遺伝子は同定されていない。<br> | 病態メカニズムについて神経心理、脳画像研究、遺伝子研究などが行われている。恐怖の条件付けに関連した扁桃体、内側前頭前野と海馬を含むfear circuitが神経回路として想定されており、それを支持する脳画像研究結果が存在する。遺伝子研究においては現時点でPTSDに決定的な影響を与える遺伝子は同定されていない。<br> | ||
<br> | <br> | ||
== PTSDとは == | == PTSDとは == | ||
35行目: | 35行目: | ||
==== 自記式質問紙法 ==== | ==== 自記式質問紙法 ==== | ||
<pre>====自記式質問紙法====</pre> | <pre>====自記式質問紙法====</pre> | ||
1.Impact of Event Scale-Revised (IES-R) :改訂出来事インパクト尺度<br> Horowitsにより開発された出来事インパクト尺度をWeissらが改訂し作成した<ref>'''Weiss DS、Marmar CR'''<br>The Impact of Event Scale-revised<br>''Assessing Psychological Trauma and OTSD (2nd edition)'':168-189,2004</ref>自記式質問紙で、世界的に広く用いられている。最近1週間の22項目の症状についてその強度を0-4点で評価しする。飛鳥井らによって日本語版が作成され、信頼性と妥当性が検証されている<ref><pubmed>11923652</ref> | 1.Impact of Event Scale-Revised (IES-R) :改訂出来事インパクト尺度<br> Horowitsにより開発された出来事インパクト尺度をWeissらが改訂し作成した<ref>'''Weiss DS、Marmar CR'''<br>The Impact of Event Scale-revised<br>''Assessing Psychological Trauma and OTSD (2nd edition)'':168-189,2004</ref>自記式質問紙で、世界的に広く用いられている。最近1週間の22項目の症状についてその強度を0-4点で評価しする。飛鳥井らによって日本語版が作成され、信頼性と妥当性が検証されている<ref><pubmed>11923652</ref>。心理検査として診療報酬点数80点が認められている。 | ||
2.The PTSD checkkist (PCL) :PTSDチェックリスト | 2.The PTSD checkkist (PCL) :PTSDチェックリスト | ||
53行目: | 53行目: | ||
1.Clinician-Administered PTSD Scale (CAPS) :PTSD臨床診断面接尺度 | 1.Clinician-Administered PTSD Scale (CAPS) :PTSD臨床診断面接尺度 | ||
CAPSはアメリカのNational Center for PTSDの研究グループによって開発された構造化診断面接法<ref><pubmed>7712061</ref> | CAPSはアメリカのNational Center for PTSDの研究グループによって開発された構造化診断面接法<ref><pubmed>7712061</ref>で、最も精度の高い診断法として世界的に広く用いられている。一定のトレーニングを受けた面接者がDSM-Ⅳで示される17症状について既定の質問をし、症状の頻度と強度の両方をアンカーポイントにそって評価するものである。日本語版は飛鳥井らが作成し、その信頼性と妥当性が検証<ref>'''飛鳥井望、廣幡小百合、加藤寛ほか'''<br>CAPS(PTSD臨床診断面接尺度)日本語版の尺度特性<br>''トラウマティック・ストレス1'':47-53,2003</ref>されている。心理検査として診療報酬点数450点が認められている。 | ||
2.Structured Clinical Interview for DSM-Ⅳ(SCID) : DSM-Ⅳのための構造化臨床面接 | 2.Structured Clinical Interview for DSM-Ⅳ(SCID) : DSM-Ⅳのための構造化臨床面接 | ||
高橋らによって日本語版が出版されている<ref>'''(翻訳)高橋三郎、北村俊則、岡野禎治'''<br>精神科診断面接マニュアル SCID:使用の手引き・テスト用紙 第2版<br>''日本評論社'':2010</ref>。SCIDはDSM-ⅣのPTSD17症状の有無のみを問う形式のため、評価者の臨床経験により、評価がばらつく恐れがある。 | |||
3.MINI International Neuropsychiatric Interview (M.I.N.I) :精神疾患簡易構造化面接法 | 3.MINI International Neuropsychiatric Interview (M.I.N.I) :精神疾患簡易構造化面接法 | ||
Sheehanらによって開発されたスクリーニング目的に短時間で施行可能な包括的構造化面接である。大坪らが日本語版を作成している<ref>'''(翻訳)大坪天平、宮岡等、上島国利'''<br>M.I.N.I._精神疾患簡易構造化面接法<br>''星和書店'':2000</ref>。SCIDと同じく症状項目の有無のみを問う形式である。 | |||
== 治療 == | == 治療 == | ||
<pre>===治療=</pre> | <pre>===治療=</pre> | ||
PTSDに対して、これまでさまざまな治療法が試みられてきた。ランダム化比較試験(RCT:Randomized Contorolled Trial)で有効性を証明された治療法に認知行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法:Eye Movement Desensitization and Reprocessing)、薬物療法がある。2005年のNICE(英国国立医療技術評価機構:National Institute for Health and Clinical Excellence)のガイドラインでは、心理療法(CBTないしはEMDRを基本的な第一選択としている。薬物療法が推奨されるのは、心理療法を患者が望まない時や実施が困難は場合としている。 | |||
回編集