「リアノジン受容体」の版間の差分

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RyRは約5,000アミノ酸残基より構成される分子量約550kDaの巨大蛋白質であり、そのホモ4量体により機能的なCa<sup>2+</sup>放出チャネルが形成される。RyR分子内では、アミノ末端側約4,500アミノ酸が細胞質側に大きく張り出した、いわゆるfoot構造に対応する領域を形成し、4本の推定膜貫通セグメントを含む残りのカルボキシル末端がチャネル領域を形成する。同じくCa<sup>2+</sup>放出チャネルであるIP<sub>3</sub>受容体とRyRは、カルボキシル末端の膜貫通セグメントを含む約200アミノ酸において特に高い配列相同性を示し、この部分がCa<sup>2+</sup>放出チャネルとして共通するイオン透過性に関連した機能に関与していると推測される。実際に、RyR1のカルボキシル末側の約1,000アミノ酸残基よりなる領域のみでリアノジン感受性を有する基本的なCa<sup>2+</sup>チャネルが形成されることが、脂質二重膜を用いた再構築実験により示されている。この再構築系においてC末端領域が形成するチャネルは、陽イオン選択性、細胞質側Ca<sup>2+</sup>による活性化機構、リアノジン感受性を保持する一方で、全長RyR1チャネルに見られる高濃度のCa<sup>2+</sup>による不活性化機構を欠く。また、RyRサブタイプ間での一次構造の比較により、D1、D2、D3と呼ばれる相同性が顕著に低い領域が見られる。RyR1のcDNA発現実験系を用いた研究により、CICRによるチャネル活性化のCa<sup>2+</sup>結合部位はD1領域、チャネルを不活性化する高濃度Ca<sup>2+</sup>の結合部位はD3領域に存在するとされている。  
RyRは約5,000アミノ酸残基より構成される分子量約550kDaの巨大蛋白質であり、そのホモ4量体により機能的なCa<sup>2+</sup>放出チャネルが形成される。RyR分子内では、アミノ末端側約4,500アミノ酸が細胞質側に大きく張り出した、いわゆるfoot構造に対応する領域を形成し、4本の推定膜貫通セグメントを含む残りのカルボキシル末端がチャネル領域を形成する。同じくCa<sup>2+</sup>放出チャネルであるIP<sub>3</sub>受容体とRyRは、カルボキシル末端の膜貫通セグメントを含む約200アミノ酸において特に高い配列相同性を示し、この部分がCa<sup>2+</sup>放出チャネルとして共通するイオン透過性に関連した機能に関与していると推測される。実際に、RyR1のカルボキシル末側の約1,000アミノ酸残基よりなる領域のみでリアノジン感受性を有する基本的なCa<sup>2+</sup>チャネルが形成されることが、脂質二重膜を用いた再構築実験により示されている。この再構築系においてC末端領域が形成するチャネルは、陽イオン選択性、細胞質側Ca<sup>2+</sup>による活性化機構、リアノジン感受性を保持する一方で、全長RyR1チャネルに見られる高濃度のCa<sup>2+</sup>による不活性化機構を欠く。また、RyRサブタイプ間での一次構造の比較により、D1、D2、D3と呼ばれる相同性が顕著に低い領域が見られる。RyR1のcDNA発現実験系を用いた研究により、CICRによるチャネル活性化のCa<sup>2+</sup>結合部位はD1領域、チャネルを不活性化する高濃度Ca<sup>2+</sup>の結合部位はD3領域に存在するとされている。  


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3. 各サブタイプの体内分布とノックアウトマウスの表現型<ref><pubmed>20214899</pubmed></ref>
3. 各サブタイプの体内分布とノックアウトマウスの表現型<ref><pubmed>20214899</pubmed></ref>


RyR1:骨格筋において極めて高レベルの発現が見られる。また、小脳プルキンエ細胞を始めとする脳内各部位でも発現が見られる他、食道、精巣でも他の部位に比較して高レベルの発現が見られる。RyR1欠損マウスは横隔膜の骨格筋細胞の機能不全に起因すると考えられる呼吸不全により、生後全く動くことなく出生致死の表現型を示す<ref><pubmed>7515481</pubmed></ref>。  
RyR1:骨格筋において極めて高レベルの発現が見られる。また、小脳プルキンエ細胞を始めとする脳内各部位でも発現が見られる他、食道、精巣でも他の部位に比較して高レベルの発現が見られる。RyR1欠損マウスは横隔膜の骨格筋細胞の機能不全に起因すると考えられる呼吸不全により、生後全く動くことなく出生致死の表現型を示す<ref><pubmed>7515481</pubmed></ref>。  
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<br>RyR2:心筋細胞で極めて高レベルの発現が見られる他、平滑筋・肺・脳でも高レベルの発現が見られる。脳全体において最も発現レベルの高いサブタイプでもある。RyR2欠損マウスは、心拍動の開始直後の胎生10日ごろに心筋細胞の小胞体Ca<sup>2+</sup>過剰負荷により心不全となり死亡する<ref><pubmed>9628868</pubmed></ref>。  
<br>RyR2:心筋細胞で極めて高レベルの発現が見られる他、平滑筋・肺・脳でも高レベルの発現が見られる。脳全体において最も発現レベルの高いサブタイプでもある。RyR2欠損マウスは、心拍動の開始直後の胎生10日ごろに心筋細胞の小胞体Ca<sup>2+</sup>過剰負荷により心不全となり死亡する<ref><pubmed>9628868</pubmed></ref>。  


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RyR3:RyR3は脳cDNAライブラリーからのクローニングにより存在が明らかになったが、脳以外にも平滑筋、骨格筋、一部の上皮細胞やリンパ球培養細胞などにおいて低レベルの発現が見られる。RyR3欠損マウスはほぼ正常に発育し重篤な異常は認められないが<ref><pubmed>8702664</pubmed></ref>、これまでに自発的運動活性の亢進、社会的接触行動の減少、恐怖条件付け反応の低下、海馬CA1領域におけるシナプス長期増強(LTP)の低下などが報告され、その神経系での重要性が示唆されている<ref><pubmed>10595520</pubmed></ref><ref><pubmed>11358488</pubmed></ref>。ただし、RyR3欠損マウスの軽度な中枢機能異常に関しては、重複して発現する他のサブタイプによる補完作用を考慮する必要がある。    
RyR3:RyR3は脳cDNAライブラリーからのクローニングにより存在が明らかになったが、脳以外にも平滑筋、骨格筋、一部の上皮細胞やリンパ球培養細胞などにおいて低レベルの発現が見られる。RyR3欠損マウスはほぼ正常に発育し重篤な異常は認められないが<ref><pubmed>8702664</pubmed></ref>、これまでに自発的運動活性の亢進、社会的接触行動の減少、恐怖条件付け反応の低下、海馬CA1領域におけるシナプス長期増強(LTP)の低下などが報告され、その神経系での重要性が示唆されている<ref><pubmed>10595520</pubmed></ref><ref><pubmed>11358488</pubmed></ref>。ただし、RyR3欠損マウスの軽度な中枢機能異常に関しては、重複して発現する他のサブタイプによる補完作用を考慮する必要がある。    


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4. 活性調節因子(Verkhratsky 2005; Lanner et al., 2010; Zalk et al., 2007)  
4. 活性調節因子<ref><pubmed>20961976</pubmed></ref><ref><pubmed>17506640</pubmed></ref><ref>15709699<ref><pubmed></pubmed></ref><ref>(Verkhratsky 2005; Lanner et al., 2010; Zalk et al., 2007)  


Ca<sup>2+</sup>イオン 細胞質に存在するCa<sup>2+</sup>イオンは、濃度依存的に全てのRyRサブタイプに共通して作用する調節因子である。サブMからMの範囲における細胞質側Ca2+はRyRを開口させ細胞内Ca<sup>2+</sup>ストアである小胞体からCa<sup>2+</sup>を遊離させる、いわゆるCa<sup>2+</sup>依存性(誘発性)Ca<sup>2+</sup>放出(CICR)現象をお引き起こす。一方、より高濃度のmMレベルのCa<sup>2+</sup>はチャネル活性を抑制する。また、小胞体内腔側のCa<sup>2+</sup>による活性化も見られる。心筋では、脱分極によるL型Ca<sup>2+</sup>チャネル(Cv1.2)の開口により細胞外からCa<sup>2+</sup>が流入し、RyR2を開口させCa<sup>2+</sup>放出を引き起こし、細胞内Ca<sup>2+</sup>シグナルを増幅するが、中枢神経系においても、小脳プルキンエ細胞では電位依存性のP/Q型Ca<sup>2+</sup>チャネル、海馬錐体細胞ではNMDA型グルタミン酸受容体を介するCa<sup>2+</sup>流入によりRyRが活性化されCa<sup>2+</sup>放出が誘導されることが示唆されている。  
Ca<sup>2+</sup>イオン 細胞質に存在するCa<sup>2+</sup>イオンは、濃度依存的に全てのRyRサブタイプに共通して作用する調節因子である。サブMからMの範囲における細胞質側Ca2+はRyRを開口させ細胞内Ca<sup>2+</sup>ストアである小胞体からCa<sup>2+</sup>を遊離させる、いわゆるCa<sup>2+</sup>依存性(誘発性)Ca<sup>2+</sup>放出(CICR)現象をお引き起こす。一方、より高濃度のmMレベルのCa<sup>2+</sup>はチャネル活性を抑制する。また、小胞体内腔側のCa<sup>2+</sup>による活性化も見られる。心筋では、脱分極によるL型Ca<sup>2+</sup>チャネル(Cv1.2)の開口により細胞外からCa<sup>2+</sup>が流入し、RyR2を開口させCa<sup>2+</sup>放出を引き起こし、細胞内Ca<sup>2+</sup>シグナルを増幅するが、中枢神経系においても、小脳プルキンエ細胞では電位依存性のP/Q型Ca<sup>2+</sup>チャネル、海馬錐体細胞ではNMDA型グルタミン酸受容体を介するCa<sup>2+</sup>流入によりRyRが活性化されCa<sup>2+</sup>放出が誘導されることが示唆されている。  
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