「ソース・モニタリング」の版間の差分

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=== 分化(differentiation)  ===
=== 分化(differentiation)  ===


 ある情報が活性化されるほど,情報同士や特定の記憶特徴(ジョーの声とジョーの顔)がまとまり,定着するという考え方[1]。 ある情報と他の情報との結びつきが弱い場合や,強く活性化していても単独の特徴しか活性化していない場合には情報同士がまとまらず,分化しにくい。2つ以上の特徴がまとまってある出来事と他の出来事を分けるような基盤が形成されると分化が最大になる。(Mitchell & Johnson, 2009)。  
 ある情報が活性化されるほど,情報同士や特定の記憶特徴(ジョーの声とジョーの顔)がまとまり,定着するという考え方[1]。 ある情報と他の情報との結びつきが弱い場合や,強く活性化していても単独の特徴しか活性化していない場合には情報同士がまとまらず,分化しにくい。2つ以上の特徴がまとまってある出来事と他の出来事を分けるような基盤が形成されると分化が最大になる。<ref name=Mitchell><pubmed> 19586165 </pubmed></ref>。  


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= 種類  =
= 種類  =


 ソース・モニタリングには大きく分けて以下の3つの種類がある。 外的ソース・モニタリング 内的ソース・モニタリング リアリティ・モニタリング どれも上記2つの判断過程を利用しており,エラーに陥りやすい[1]。  
 ソース・モニタリングには大きく分けて以下の3つの種類がある。 外的ソース・モニタリング 内的ソース・モニタリング リアリティ・モニタリング どれも上記2つの判断過程を利用しており,エラーに陥りやすい<ref name=ref1 /> 。  


=== 外的ソース・モニタリング    ===
=== 外的ソース・モニタリング    ===
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= 神経基盤  =
= 神経基盤  =


 Johnson et al 93, p.19確認 前頭野とソースモニタリング・エラーの関連を示唆する観測がいくつかある。このエラーは健忘症の患者や高齢者,器質性脳疾患患者に見られる。ソースモニタリングにとって重要な前頭野では多くのプロセスが生じており,その中には特徴や構造を統合し,戦略的な想起を行う海馬と関連する回路も含まれている。情報の符号化や想起時に物理的,認知的に特徴を統合しまとめるのを推進する過程は,記憶の情報源を辿るのにとても重要である。
 前頭野とソースモニタリング・エラーの関連を示唆する観測がいくつかある。このエラーは健忘症の患者や高齢者,器質性脳疾患患者に見られる。ソースモニタリングにとって重要な前頭野では多くのプロセスが生じており,その中には特徴や構造を統合し,戦略的な想起を行う海馬と関連する回路も含まれている。情報の符号化や想起時に物理的,認知的に特徴を統合しまとめるのを推進する過程は,記憶の情報源を辿るのにとても重要である<ref name=ref1 />。


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 側頭葉内側部(Medial Temporal Lobes;以下MTL)は歯状回,海馬,鉤状回,内嗅皮質,扁桃体を含んだ領域で,一般にエピソード記憶と関係していると考えられている。ソースモニタリングにとって大事なのは特徴や特徴群を統合する過程であるが,これらの過程は,回想・親近性といった記憶と関連する感情とともに,とくに海馬や海馬傍回で生じると考えられている。
 側頭葉内側部(Medial Temporal Lobes;以下MTL)は歯状回,海馬,鉤状回,内嗅皮質,扁桃体を含んだ領域で,一般にエピソード記憶と関係していると考えられている。ソースモニタリングにとって大事なのは特徴や特徴群を統合する過程であるが,これらの過程は,回想・親近性といった記憶と関連する感情とともに,とくに海馬や海馬傍回で生じると考えられている。
 DRMパラダイム(Deese-Roediger-McDermott paradigm: Roediger &amp; McDermott, 1995) などにおいて,海馬は,「覚えている」かをテストするときの方が「知っている」かをテストするときより,また既出かどうかを正しく同定できたアイテムを符号化するときの方が間違って符号化するときよりも活動が活発になることが知られている(Davachi, 2006)。これは,アイテムを符号化し記憶している最中に,海馬が記憶特徴と複雑なエピソード記憶を結びつけるのに関わっていることを示している。
 DRMパラダイム(Deese-Roediger-McDermott paradigm<ref name=ref8>'''H L Roediger III, K B McDermott'''<br>Creating False Memories: Remembering Words not Presented in Lists<br>''Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition,'':1995, 21(4), 803–814</ref>) などにおいて,海馬は,「覚えている」かをテストするときの方が「知っている」かをテストするときより,また既出かどうかを正しく同定できたアイテムを符号化するときの方が間違って符号化するときよりも活動が活発になることが知られている<ref name=Davachi><pubmed> 17097284 </pubmed></ref>。これは,アイテムを符号化し記憶している最中に,海馬が記憶特徴と複雑なエピソード記憶を結びつけるのに関わっていることを示している。


c.f. DRMパラダイム:学習時に実際には呈示されない単語であるルアー項目(例えば,太陽) の連想語(例えば,月,光)をから成り立つリスト(以下,DRMリスト)を呈示する。そして,テスト時には学習項目とルアー項目,その他の未学習項目からなるDRMリストを用いて再認判断を求める。すると,ルアー項目は,他の未学習項目と比較して高い確率で再認される。
c.f. DRMパラダイム:学習時に実際には呈示されない単語であるルアー項目(例えば,太陽) の連想語(例えば,月,光)をから成り立つリスト(以下,DRMリスト)を呈示する。そして,テスト時には学習項目とルアー項目,その他の未学習項目からなるDRMリストを用いて再認判断を求める。すると,ルアー項目は,他の未学習項目と比較して高い確率で再認される。


 海馬の周辺に存在する海馬傍回は海馬とは異なり,新しいアイテムを既出だとしてしまう不正解やフォルス・アラームのときに活動が活発になるが,既出のアイテムをミスしてしまうときには活発にはならない。また,同じドメイン(言葉-言葉,顔-顔など)に類するアイテムをまとめるときには海馬傍回の活動が活発になっていることなどから,海馬傍回は同じドメインに所属する特徴の関連づけに関わっていると考えられる(Davachi, 2006; Mayas et al., 2007)。
 海馬の周辺に存在する海馬傍回は海馬とは異なり,新しいアイテムを既出だとしてしまう不正解やフォルス・アラームのときに活動が活発になるが,既出のアイテムをミスしてしまうときには活発にはならない。また,同じドメイン(言葉-言葉,顔-顔など)に類するアイテムをまとめるときには海馬傍回の活動が活発になっていることなどから,海馬傍回は同じドメインに所属する特徴の関連づけに関わっていると考えられる<ref name=Davachi /><ref><pubmed> 17270487 </pubmed></ref>。
これらのMTLと回想や親近性を結びつける研究の多くは「誤った情報源の判断は親近性を反映している」という仮定を前提にしているが,この想定自体が正しいかは議論の余地が残る。さらに,記憶の想起中にfMRIでMTLの活動を記録するには技術的に難しい点もあるため,回想や親近性といった感情的なものとMTLの関係はさらに詳しく見ていく必要がある。
これらのMTLと回想や親近性を結びつける研究の多くは「誤った情報源の判断は親近性を反映している」という仮定を前提にしているが,この想定自体が正しいかは議論の余地が残る。さらに,記憶の想起中にfMRIでMTLの活動を記録するには技術的に難しい点もあるため,回想や親近性といった感情的なものとMTLの関係はさらに詳しく見ていく必要がある。


'''前頭前野'''  
'''前頭前野'''  


前頭全野(Prefrontal Cortex: PFC)は記憶(とくにエピソード記憶)の想起・符号化の両方に関わっていると考えられている。以前より,前頭全野におけるエピソード記憶の処理は左右半球で機能が非対称(で,左半球はエピソードの符号化により深くかかわっており,右半球は想起により深く関わっている)と考えられてきた(hemispheric encoding/retrival asymmetry [HERA] model; Tulving, Kapur, Craik, Moscovitch, & Houle, 1994)。
前頭全野(Prefrontal Cortex: PFC)は記憶(とくにエピソード記憶)の想起・符号化の両方に関わっていると考えられている。以前より,前頭全野におけるエピソード記憶の処理は左右半球で機能が非対称(で,左半球はエピソードの符号化により深くかかわっており,右半球は想起により深く関わっている)と考えられてきた(hemispheric encoding/retrival asymmetry [HERA] model<ref><pubmed> 8134342 </pubmed></ref>)。
近年では,想起と符号化の左右半球での非対称性についてより詳しい分析がなされている。たとえば,右の前頭前野がヒューリスティックな評価処理を,左の前頭前野,または左右両方の前頭前野がシステマティック処理を担っているとする見解(Nolde, Johnson, & Raye, 1998)や,左半球が記憶の想起と生成に,右半球が記憶のモニタリングに関わっているとする見解(production-monitoring hypothesis; Cabeza, Locantore, & Anderson, 2003)がある。どちらもより分化していない情報は右半球でモニタされ,システマティックな想起は左半球で行われているとする点は共通しているが,異なる点もあり,左右半球の非対称性については未だ議論の余地が残っている。
近年では,想起と符号化の左右半球での非対称性についてより詳しい分析がなされている。たとえば,右の前頭前野がヒューリスティックな評価処理を,左の前頭前野,または左右両方の前頭前野がシステマティック処理を担っているとする見解<ref><pubmed> 21227255 </pubmed></ref>,左半球が記憶の想起と生成に,右半球が記憶のモニタリングに関わっているとする見解(production-monitoring hypothesis<ref><pubmed> 12676062 </pubmed></ref>)がある。どちらもより分化していない情報は右半球でモニタされ,システマティックな想起は左半球で行われているとする点は共通しているが,異なる点もあり,左右半球の非対称性については未だ議論の余地が残っている。
また,背外側部(dorsolateral PFC)とlateral anterior PFCは情報源を記憶する際に,特徴によらずさまざまなカテゴリ一般の処理に関係しているのに対し,腹外側部(ventrolateral PFC)はより特定の特徴に特化した処理を行っていると考えられている(e.g., Protzner & McIntosh, 2008)
また,背外側部(dorsolateral PFC)とlateral anterior PFCは情報源を記憶する際に,特徴によらずさまざまなカテゴリ一般の処理に関係しているのに対し,腹外側部(ventrolateral PFC)はより特定の特徴に特化した処理を行っていると考えられている<ref><pubmed> 18787230 </pubmed></ref>


'''頭頂葉とその他の領野'''  
'''頭頂葉とその他の領野'''  
 
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=== Old-new recognition  ===
=== Old-new recognition  ===


 認識記憶を検査するのに用いられる測定法。被験者はアイテムが新しいか古いかをyesかnoで答える。この時,エラーはソースモニタリングで生じるのと同様の認識プロセスで生じる。対象がとても似ているときや,情報源を想起するのが難しい環境(気が散る,ストレスなど),または何らかの理由で判断過程が機能していないときにエラーが頻繁に生じる[1]。  
 認識記憶を検査するのに用いられる測定法。被験者はアイテムが新しいか古いかをyesかnoで答える。この時,エラーはソースモニタリングで生じるのと同様の認識プロセスで生じる。対象がとても似ているときや,情報源を想起するのが難しい環境(気が散る,ストレスなど),または何らかの理由で判断過程が機能していないときにエラーが頻繁に生じる<ref name=ref1 />。  




=== Remember-know  ===
=== Remember-know  ===


 ”覚えているか”対”知っているか”は記憶のawarenessを評価する手続きである。覚えている場合にはその経験は追体験することができ,詳細が容易に浮かんでくる。単に知っている場合には追体験することは出来ないが親近感がわくため,誤った情報源の候補と自信を持って結びつけてしまうことが多くなる。どちらの判断を行う場合にもソースモニタリング・エラーに陥りやすい。また,DRMパラダイムなどの特定の環境下では,誤って"覚えている"という判断されることが多くなる[8]
 ”覚えているか”対”知っているか”は記憶のawarenessを評価する手続きである。覚えている場合にはその経験は追体験することができ,詳細が容易に浮かんでくる。単に知っている場合には追体験することは出来ないが親近感がわくため,誤った情報源の候補と自信を持って結びつけてしまうことが多くなる。どちらの判断を行う場合にもソースモニタリング・エラーに陥りやすい。また,DRMパラダイムなどの特定の環境下では,誤って"覚えている"という判断されることが多くなる<ref name=ref8 />


=== False fame  ===
=== False fame  ===


 false fame 実験では,まず非著名人の名前のリストが提示され,その後,先に提示した非著名人と新たな非著名人と著名人の名前が提示される。課題は著名人の名前を選ぶことだが,その際先に提示した非著名人が誤って選ばれることが多い[9]
 false fame 実験では,まず非著名人の名前のリストが提示され,その後,先に提示した非著名人と新たな非著名人と著名人の名前が提示される。課題は著名人の名前を選ぶことだが,その際先に提示した非著名人が誤って選ばれることが多い<ref name=ref9>'''L L Jacoby, C Kelly, J Brown'''<br>Becoming Famous Overnight: Limits on the Ability to Avoid Unconscious Influences of the Past<br>''Journal of Personality and Social Psychology,'': 56(3), 326–338</ref>
前世の記憶のような普通でない出来事を信じる人たちが,ソースモニタリング・エラーに陥りやすいとする研究がいくつか行われている。このような人は普通でない出来事をを信じていない人よりもfalse fame課題でエラーを犯しやすい。前世の記憶においては,ある記憶の情報源が前世の記憶に貢献している。つまり,他人の話や映画,本,夢,想像上のシナリオが誤って前世から来た記憶だと認識される[10]
前世の記憶のような普通でない出来事を信じる人たちが,ソースモニタリング・エラーに陥りやすいとする研究がいくつか行われている。このような人は普通でない出来事をを信じていない人よりもfalse fame課題でエラーを犯しやすい。前世の記憶においては,ある記憶の情報源が前世の記憶に貢献している。つまり,他人の話や映画,本,夢,想像上のシナリオが誤って前世から来た記憶だと認識される<ref name=ref10><pubmed> 16574433 </pubmed></ref>




=== Cryptomnesia ===
=== Cryptomnesia ===


 Cryptomnesiaはわざとではない剽窃のことで,ある作品や考えが,本当は以前に自分で,もしくは外的情報源によって生み出されたものなのにもかかわらず,現在自分で作り出したものだと信じていること。最初にその情報にさらされたときに何らかの妨害があったことで生じる。その情報が無意識に得られたとしても,その情報に関連する脳の領域は短時間ではあるが活性化する。そのため,外から得られた情報や既に思いついていた考えが,今新たに生まれた考えのように思えてしまう。典型的にはこの情報源判断にはヒューリスティック過程が用いられる。初めに情報に触れたときに干渉があるため,ヒューリスティック過程では 情報源を内的に生み出されたものだと判断してしまいがちになる[1]。  
 Cryptomnesiaはわざとではない剽窃のことで,ある作品や考えが,本当は以前に自分で,もしくは外的情報源によって生み出されたものなのにもかかわらず,現在自分で作り出したものだと信じていること。最初にその情報にさらされたときに何らかの妨害があったことで生じる。その情報が無意識に得られたとしても,その情報に関連する脳の領域は短時間ではあるが活性化する。そのため,外から得られた情報や既に思いついていた考えが,今新たに生まれた考えのように思えてしまう。典型的にはこの情報源判断にはヒューリスティック過程が用いられる。初めに情報に触れたときに干渉があるため,ヒューリスティック過程では 情報源を内的に生み出されたものだと判断してしまいがちになる<ref name=ref1 />。  


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=== 統合失調症  ===
=== 統合失調症  ===


 ソースモニタリング・エラーは健常者よりも統合失調症の人に多く生じることがわかっている。これはおそらく遺伝子の表現型により生じる傾向で,この傾向は敵対心と関連している。研究によると,統合失調症においてソースモニタリングが困難なのは自分で作り出したものの情報源をコードすることができないため,また新しいものと以前に提示されたものの情報源を区別しにくいためであると考えられている。また,内的な刺激を現実の出来事だと知覚してしまいがちなためだとの見解もある[12]。患者はどこからが自分で作り出した思考かをモニタすることが出来ず,autonetic agnosia(想起失認:自分で生み出した内的な出来事を識別できないこと)に陥りやすい[13]。  
 ソースモニタリング・エラーは健常者よりも統合失調症の人に多く生じることがわかっている。これはおそらく遺伝子の表現型により生じる傾向で,この傾向は敵対心と関連している。研究によると,統合失調症においてソースモニタリングが困難なのは自分で作り出したものの情報源をコードすることができないため,また新しいものと以前に提示されたものの情報源を区別しにくいためであると考えられている。また,内的な刺激を現実の出来事だと知覚してしまいがちなためだとの見解もある<ref name=ref12><pubmed> 9356560 </pubmed></ref>。患者はどこからが自分で作り出した思考かをモニタすることが出来ず,autonetic agnosia(想起失認:自分で生み出した内的な出来事を識別できないこと)に陥りやすい<ref name=ref13><pubmed> 10473317 </pubmed></ref>。  


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=== 加齢の影響  ===
=== 加齢の影響  ===
 ソースモニタリング・エラーに対する年齢の影響を調べるために多くの研究がなされている(McDaniel, 2000)。ソースモニタリング・エラーは高齢者や幼い子供によく見られる(Cohen, 1989)。
 ソースモニタリング・エラーに対する年齢の影響を調べるために多くの研究がなされている<ref><pubmed> 18808253 </pubmed></ref>。ソースモニタリング・エラーは高齢者や幼い子供によく見られる<ref><pubmed> 2803602 </pubmed></ref>。
 ソースモニタリング・エラーが幼児で頻繁に起こるのは,彼らは現実と想像上の考えを分離することが苦手である。高齢者は目撃証言の際,記憶の情報源を特定するのに間違いを犯しがちである。これらは現実性モニタリングに問題があるためだと考えられてきた。内的な記憶が感覚情報を多分に含んでいれば,その記憶は外部から想起されたものだとして誤って認識されることが多くなる(Hashtroudi, 1989)。
 ソースモニタリング・エラーが幼児で頻繁に起こるのは,彼らは現実と想像上の考えを分離することが苦手である。高齢者は目撃証言の際,記憶の情報源を特定するのに間違いを犯しがちである。これらは現実性モニタリングに問題があるためだと考えられてきた。内的な記憶が感覚情報を多分に含んでいれば,その記憶は外部から想起されたものだとして誤って認識されることが多くなる<ref><pubmed> 2803603 </pubmed></ref>。


= 今後の展望  =
= 今後の展望  =


これまでの神経イメージングを用いた研究は,ソースモニタリングのメカニズムについての知見を深めてきた。しかし,記憶の現象学的体験については,まだ未解明の部分が多い。最近では,親近性と回想の研究が,現象学的経験への理解を深める方法として期待されている(Mitchell & Johnson, 2009)。
これまでの神経イメージングを用いた研究は,ソースモニタリングのメカニズムについての知見を深めてきた。しかし,記憶の現象学的体験については,まだ未解明の部分が多い。最近では,親近性と回想の研究が,現象学的経験への理解を深める方法として期待されている<ref name=Mitchell />。
回想については多くの研究が進められ,情報源を特定するのに必要な特徴がかなりよく分化されており,その特徴がより鮮明である場合に,回想の感覚が強くなるということがわかっている。一方,親近性は
回想については多くの研究が進められ,情報源を特定するのに必要な特徴がかなりよく分化されており,その特徴がより鮮明である場合に,回想の感覚が強くなるということがわかっている。一方,親近性は
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= 参考文献  =
= 参考文献  =
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Protzner, A. B., & McIntosh, A. R. (2008). Modulation of ventral prefron- tal cortex functional connections reflects the interplay of cognitive processes and stimulus characteristics. Cerebral Cortex. Advance online publication. Retrieved September, 11, 2008. doi: 10.1093/cercor/
Protzner, A. B., & McIntosh, A. R. (2008). Modulation of ventral prefron- tal cortex functional connections reflects the interplay of cognitive processes and stimulus characteristics. Cerebral Cortex. Advance online publication. Retrieved September, 11, 2008. doi: 10.1093/cercor/
bhn146
bhn146
Davachi, L. (2006). Item, context and relational episodic encoding in humans. Current Opinion in Neurobiology, 16, 693–700.
Mayes, A., Montaldi, D., & Migo, E. (2007). Associative memory and the
medial temporal lobes. Trends in Cognitive Sciences, 11, 126–135.


<references/>
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