「リアノジン受容体」の版間の差分

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 脂質二重膜に発現させたRyR1の開口確率がNOの作用により上昇することは以前より知られていたが、この現象が生細胞で内因性のNOの作用により起こること、およびその機能的意義については長いこと不明であった。しかし、小脳[[平行線維]]-プルキンエ細胞シナプスにおけるNO依存的LTPがプルキンエ細胞内の細胞内Ca2+シグナルにも依存的であることが判明したことから、プルキンエ細胞内でのNOとCa2+との関連性について解明が進み、神経活動によって産生放出された内因性のNOがRyR1を活性化することでCa2+放出が誘導される現象、NO依存的Ca2+放出(NO-induced Ca2+ release; NICR)が発見された。このNICRはウサギRyR1における3635位のシステイン(マウスでは3636位に相当)がNOによりS-ニトロシル化されることで誘導されると推測されている。また、NO合成酵素の発現は平行線維では見られるがプルキンエ細胞では見られないことから、平行線維活動により産生放出されたNOがプルキンエ細胞内のRyR1を活性化すると考えられている。これまでに、NICRの小脳平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおけるLTPへの関与、および、中大脳動脈の虚血再灌流による大脳皮質の神経細胞死への関与が示唆されている<ref><pubmed>22036948</pubmed></ref>。  
 脂質二重膜に発現させたRyR1の開口確率がNOの作用により上昇することは以前より知られていたが、この現象が生細胞で内因性のNOの作用により起こること、およびその機能的意義については長いこと不明であった。しかし、小脳[[平行線維]]-プルキンエ細胞シナプスにおけるNO依存的LTPがプルキンエ細胞内の細胞内Ca2+シグナルにも依存的であることが判明したことから、プルキンエ細胞内でのNOとCa2+との関連性について解明が進み、神経活動によって産生放出された内因性のNOがRyR1を活性化することでCa2+放出が誘導される現象、NO依存的Ca2+放出(NO-induced Ca2+ release; NICR)が発見された。このNICRはウサギRyR1における3635位のシステイン(マウスでは3636位に相当)がNOによりS-ニトロシル化されることで誘導されると推測されている。また、NO合成酵素の発現は平行線維では見られるがプルキンエ細胞では見られないことから、平行線維活動により産生放出されたNOがプルキンエ細胞内のRyR1を活性化すると考えられている。これまでに、NICRの小脳平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおけるLTPへの関与、および、中大脳動脈の虚血再灌流による大脳皮質の神経細胞死への関与が示唆されている<ref><pubmed>22036948</pubmed></ref>。  


===脳型ジャンクトフィリン欠損マウスの解析===
===脳型ジャンクトフィリン欠損マウスの解析===


 骨格筋興奮収縮連関における電位依存性Ca2+チャネル(L型チャネル)とRyRの機能共役のためには、細胞膜と小胞体膜とが近接した結合膜構造の形成が必要であるが、この結合膜構造に関与する分子として単離同定されたジャンクトフィリンの遺伝子欠損マウスからも、脳におけるRyRの機能的役割が示唆されている<ref><pubmed>18607668</pubmed></ref>。''詳細は[[ジャンクトフィリン]]の項目参照。''
 骨格筋興奮収縮連関における電位依存性Ca2+チャネル(L型チャネル)とRyRの機能共役のためには、細胞膜と小胞体膜とが近接した結合膜構造の形成が必要であるが、この結合膜構造に関与する分子として単離同定されたジャンクトフィリンの遺伝子欠損マウスからも、脳におけるRyRの機能的役割が示唆されている<ref><pubmed>18607668</pubmed></ref>。''詳細は[[ジャンクトフィリン]]の項目参照。''


== 疾患との関連 ==
== 疾患との関連 ==
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