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Shigeakikanatani (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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<font size="+1">[http://researchmap.jp/kanatani 金谷 繁明]、[http://researchmap.jp/kazunorinakajima 仲嶋 一範]</font><br> | |||
''慶應義塾大学 医学部''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月20日 原稿完成日:2012年10月30日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/fujiomurakami 村上 富士夫](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br> | |||
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英語名:ganglionic eminence 英語略名:GE | 英語名:ganglionic eminence 英語略名:GE | ||
同義語:[[基底核隆起]] | |||
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大脳基底核原基は、[[wikipedia:JA:胎生期|胎生期]]に観察され、構造的に[[脳室]]内に隆起しているため基底核隆起とも言われる。[[終脳]](telencephalon)のうち[[外套]] (pallium, 広義の大脳皮質に相当)の腹側に位置する。多くの[[大脳基底核]][[神経細胞]]、及び[[大脳皮質]]の[[GABA作動性抑制性神経細胞]]、[[希突起膠細胞]]([[オリゴデンドロサイト]])を産生する領域である。誕生した抑制性神経細胞は大脳皮質、[[線条体]]、[[淡蒼球]]、[[扁桃体]]、[[嗅球]]などの様々な領域に移動することが知られている<ref><pubmed> 11715055 </pubmed></ref>。 | 大脳基底核原基は、[[wikipedia:JA:胎生期|胎生期]]に観察され、構造的に[[脳室]]内に隆起しているため基底核隆起とも言われる。[[終脳]](telencephalon)のうち[[外套]] (pallium, 広義の大脳皮質に相当)の腹側に位置する。多くの[[大脳基底核]][[神経細胞]]、及び[[大脳皮質]]の[[GABA作動性抑制性神経細胞]]、[[希突起膠細胞]]([[オリゴデンドロサイト]])を産生する領域である。誕生した抑制性神経細胞は大脳皮質、[[線条体]]、[[淡蒼球]]、[[扁桃体]]、[[嗅球]]などの様々な領域に移動することが知られている<ref><pubmed> 11715055 </pubmed></ref>。 | ||
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== 構造 == | == 構造 == | ||
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[[Image:E135BrainWithScale500um.jpg|thumb|right|300x226px|<b>'''図 大脳基底核原基の構造'''</b><br />写真は胎生13.5日目のマウス大脳半球を内側から観察したもの。Scale Bar: 500um]] | [[Image:E135BrainWithScale500um.jpg|thumb|right|300x226px|<b>'''図 大脳基底核原基の構造'''</b><br />写真は胎生13.5日目のマウス大脳半球を内側から観察したもの。Scale Bar: 500um]] | ||
大脳[[基底核原基]]は解剖学、および遺伝子発現様式に基づき、内側、外側、尾側基底核原基の三領域に主に区分される(図)。ただし、一部研究では、外側基底核原基と尾側基底核原基の遺伝子発現の共通性等から、両者は連続した一つの構造と考える立場もある<ref name="ref2"><pubmed> 17804629 </pubmed></ref>。 | |||
* | *内側基底核原基([[medial ganglionic eminence]]:MGE) | ||
*外側基底核原基(lateral ganglionic eminence:LGE) | *外側基底核原基(lateral ganglionic eminence:LGE) | ||
*尾側基底核原基(caudal ganglionic eminence:CGE) | *尾側基底核原基(caudal ganglionic eminence:CGE) | ||
現在の知見では、それぞれの基底核原基の領域では遺伝子発現が異なり、そのため性質や移動目的地の異なる[[抑制性神経細胞]]が誕生することが知られている<ref><pubmed> 22103412 </pubmed></ref>。 | |||
== 遺伝子発現 == | == 遺伝子発現 == | ||
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== 尾側基底核原基 == | == 尾側基底核原基 == | ||
主に大脳皮質および[[扁桃体]]に移動する抑制性神経細胞を産生することが知られている。マーカーとして、CGE領域では[[COUP-TFII]]が優位に発現している<ref name="ref3"><pubmed> 19074032 </pubmed></ref> | 主に大脳皮質および[[扁桃体]]に移動する抑制性神経細胞を産生することが知られている。マーカーとして、CGE領域では[[COUP-TFII]]が優位に発現している<ref name="ref3"><pubmed> 19074032 </pubmed></ref>。神経細胞の誕生時期の解析等により、発生の初期においては主に扁桃体に移動する抑制性神経細胞が、後期では主に大脳皮質に移動する抑制性神経細胞がCGEにて誕生することが示唆されているが、今後直接の検討が必要である<ref><pubmed> 6616191 </pubmed></ref><ref name="soma"><pubmed>19107806 </pubmed></ref><ref name="miyoshi"><pubmed> 20130169 </pubmed></ref>。CGEから誕生する扁桃体核は誕生時期により異なる。初期に[[中心核]](central)が誕生し、その後、[[外側核]](lateral)、[[基底内側核]](basomedial)、[[基底外側核]](basolateral)、[[外側嗅索核]](Nucleus of lateral olfactory tract)が誕生する<ref name="soma" />。 | ||
CGEから産生される大脳皮質抑制性神経細胞は全体の30%程度を占めていることが示されており、大脳皮質に向かう抑制性神経細胞の中でも、[[Reelin]]単独陽性細胞、[[Calretinin]]陽性細胞、[[VIP]]陽性細胞を産生する<ref name="miyoshi" />。大脳皮質に移動する過程においては、全体に散らばるように移動するMGE由来細胞とは異なり、CGE細胞は尾側に方向性を持つ移動様式である[[尾側細胞移動経路]](caudal migratory stream, CMS)を取ることが報告されている<ref><pubmed> 16079409 </pubmed></ref>。この移動経路はCGEに発現するCOUP-TFIIによって制御されている<ref name="ref3" />。また、CGE由来の抑制性神経細胞は[[セロトニン#5-HT3.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93|セロトニン5HT<sub>3A</sub>受容体]]を発現していることが示されている<ref><pubmed> 21159951 </pubmed></ref>。 | |||
== オリゴデンドロサイト == | == オリゴデンドロサイト == | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references /> | <references /> | ||