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英:''in situ'' hybridization 独:''In situ''-Hybridisierung 仏:hybridation in situ | 英:''in situ'' hybridization 独:''In situ''-Hybridisierung 仏:hybridation in situ | ||
''In situ''とは”原位置で”という意味で、''in situ''ハイブリダイゼーション(''in situ'' hybridization: ISH)とは原位置でのハイブリダイゼーション(後述)ということである。ISH法には、[[wikipedia:ja:染色体|染色体]]ISHと組織切片ISH、ホールマウントISH (whole-mount ISH: WISH) | ''In situ''とは”原位置で”という意味で、''in situ''ハイブリダイゼーション(''in situ'' hybridization: ISH)とは原位置でのハイブリダイゼーション(後述)ということである。ISH法には、[[wikipedia:ja:染色体|染色体]]ISHと組織切片ISH、ホールマウントISH (whole-mount ISH: WISH) がある<ref>'''野地澄晴編'''<br>免疫染色&''in situ''ハイブリダイゼーション<br>''羊土社''、東京、2006</ref><ref>'''D.G. Wilkinson'''<br>In Situ Hybridization, A Practical Approach, 2nd Edition<br>''Oxford University Press'', Oxford, 1999</ref>。染色体ISH法は、染色体における目的遺伝子の[[wikipedia:ja:遺伝子座|遺伝子座]]を明らかにし、染色体異常を検出することができる。組織ISH法は、組織切片を用いて遺伝子発現の第一段階である[[wikipedia:ja:mRNA|mRNA]]の局在を細胞レベルで明らかにする。[[wikipedia:ja:病理|病理]]組織から[[wikipedia:ja:ウイルス|ウイルス]][[wikipedia:ja:ゲノム|ゲノム]]を検出し、ウイルス感染の診断に用いられることもある。また、胚や器官の一部などを丸ごと用いるISH法を、ホールマウントISH(WISH)という。実験例を図1に示す。遺伝子発現部位の三次元的な情報を得た後で、細胞レベルで遺伝子発現部位を同定しなければならない場合は、WISH後の胚などの組織切片を作製する。図2に、組織切片を用いた''in situ''ハイブリダイゼーション法の工程を模式的に示す。ISHは、細胞内mRNAの局在を明らかにする実験であるので、分解されやすいRNAをいかに分解させずに実験を行うかが重要である。 | ||
== ''In situ''ハイブリダイゼーション法の各工程 == | == ''In situ''ハイブリダイゼーション法の各工程 == | ||
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=== 組織の固定 === | === 組織の固定 === | ||
ISH法では細胞が死んだ状態でmRNAを検出する。細胞が死んでしまうと、mRNAは急速に分解され消滅してしまう。そのため、''in situ''ハイブリダイゼーション法を用いる場合は、細胞内のmRNAの分解を防ぎ、できるだけ生きていた状態を維持しておく必要がある。細胞や組織などをなるべく自然の状態に保存することを[[wikipedia:ja:固定|固定]]とよんでいるが、''in situ''ハイブリダイゼーション法の場合はmRNAの固定が非常に重要である。''In situ''ハイブリダイゼーション法では、用時調製した4%[[wikipedia:ja:パラホルムアルデヒド|パラホルムアルデヒド]]液を用いて[[wikipedia:ja:還流固定|還流固定]]し、[[wikipedia:ja:臓器|臓器]]等を取り出して短時間、低温でさらに[[wikipedia:ja:浸漬固定|浸漬固定]] | ISH法では細胞が死んだ状態でmRNAを検出する。細胞が死んでしまうと、mRNAは急速に分解され消滅してしまう。そのため、''in situ''ハイブリダイゼーション法を用いる場合は、細胞内のmRNAの分解を防ぎ、できるだけ生きていた状態を維持しておく必要がある。細胞や組織などをなるべく自然の状態に保存することを[[wikipedia:ja:固定|固定]]とよんでいるが、''in situ''ハイブリダイゼーション法の場合はmRNAの固定が非常に重要である。''In situ''ハイブリダイゼーション法では、用時調製した4%[[wikipedia:ja:パラホルムアルデヒド|パラホルムアルデヒド]]液を用いて[[wikipedia:ja:還流固定|還流固定]]し、[[wikipedia:ja:臓器|臓器]]等を取り出して短時間、低温でさらに[[wikipedia:ja:浸漬固定|浸漬固定]]することが多い。新鮮迅速凍結切片を用いてISHを行うこともある。組織切片はスライドガラスに貼付けたもの、あるいは浮遊切片<ref><pubmed> 21037591</pubmed></ref>を用いる。 | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references /> | <references /> | ||
(執筆者:大内淑代 担当編集委員:大隅典子) | (執筆者:大内淑代 担当編集委員:大隅典子) |