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== 神経の分類と髄鞘の有無 == | == 神経の分類と髄鞘の有無 == | ||
末梢神経の神経線維は髄鞘の有無、直径、伝導速度等で分類される。有髄線維と無髄線維では有髄線維が、同じ種類の線維間では直径の大きい方が伝導速度が速い。前者は跳躍伝導により、後者の[[電気緊張電位]]の広がりを利用した伝導よりも速い伝導速度を得ている。一般に[[wikipedia:ja:骨格筋|骨格筋]]運動と付随する[[固有感覚]]、部位のはっきりした[[皮膚感覚]]は伝導速度の速い線維を、[[交感神経]]活動や[[鈍痛]]などは伝導速度の遅い線維を利用して伝えられる。 | |||
[[ファイル:伝導速度.png|400px|thumb|right|表1.神経線維の分類<ref>Principles of neural science fifth edition 475-480 Eric R. Kandel et al.</ref>]] | [[ファイル:伝導速度.png|400px|thumb|right|表1.神経線維の分類<ref>Principles of neural science fifth edition 475-480 Eric R. Kandel et al.</ref>]] | ||
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中枢性脱髄疾患の中では[[多発性硬化症]](Multiple sclerosis;MS)が最も多くみられる。日本での有病率は2006年では10万人あたり8 - 9人程度と推定されている。若年成人での神経障害の主な原因である。約80-90%のMS患者が二十代後半で再発-[[寛解]]型になり、寛解期には共通して、ある一定程度神経障害が一過的に回復する。発病から数年後、多くの患者が実質上機能回復はなくなり第二ステージに移り、病状は進行型になる。そして、あとの残り10-20%の患者は初めから寛解を経験することのない進行型である<ref name=ref10><pubmed>22189514</pubmed></ref>。[[カルシウムチャネル]]ブロッカーである[[Fampridine]](Fampyra)はMS治療において初めて機能回復に成功した経口投与薬であるが、転倒する、背中が痛む、[[めまい]]がする、[[不眠]]、[[疲労感]]、[[悪心]]、[[平衡障害]]が副作用を伴うことが知られている<ref><pubmed>7354839</pubmed></ref> <ref><pubmed>6631441</pubmed></ref> <ref><pubmed>3001584</pubmed></ref> <ref><pubmed>2435223</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:インターフェロン|インターフェロン]]β(Interferon β)と[[wikipedia:ja:グラチマラー酢酸塩|グラチマラー酢酸塩]](Glatiramer acetate)が現在もっともよく用いられている。これらの薬剤は根本治療法であるが、おもに再発-寛解型の患者に用いられている<ref name=ref10 />。 | 中枢性脱髄疾患の中では[[多発性硬化症]](Multiple sclerosis;MS)が最も多くみられる。日本での有病率は2006年では10万人あたり8 - 9人程度と推定されている。若年成人での神経障害の主な原因である。約80-90%のMS患者が二十代後半で再発-[[寛解]]型になり、寛解期には共通して、ある一定程度神経障害が一過的に回復する。発病から数年後、多くの患者が実質上機能回復はなくなり第二ステージに移り、病状は進行型になる。そして、あとの残り10-20%の患者は初めから寛解を経験することのない進行型である<ref name=ref10><pubmed>22189514</pubmed></ref>。[[カルシウムチャネル]]ブロッカーである[[Fampridine]](Fampyra)はMS治療において初めて機能回復に成功した経口投与薬であるが、転倒する、背中が痛む、[[めまい]]がする、[[不眠]]、[[疲労感]]、[[悪心]]、[[平衡障害]]が副作用を伴うことが知られている<ref><pubmed>7354839</pubmed></ref> <ref><pubmed>6631441</pubmed></ref> <ref><pubmed>3001584</pubmed></ref> <ref><pubmed>2435223</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:インターフェロン|インターフェロン]]β(Interferon β)と[[wikipedia:ja:グラチマラー酢酸塩|グラチマラー酢酸塩]](Glatiramer acetate)が現在もっともよく用いられている。これらの薬剤は根本治療法であるが、おもに再発-寛解型の患者に用いられている<ref name=ref10 />。 | ||
また、末梢神経系では[[ギラン・バレー症候群]](Guillain-Barré syndrome)や[[慢性炎症脱髄性疾患多発神経炎]](Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP)、などがある。また、最近の研究により[[統合失調症]]との関連が示唆されている<ref><pubmed>18538868</pubmed></ref> <ref><pubmed>20216548</pubmed></ref>。髄鞘形成が不完全な[[髄鞘形成不全疾患]](dysmyelinating disease)とは区別される。 | また、末梢神経系では[[ギラン・バレー症候群]](Guillain-Barré syndrome)や[[慢性炎症脱髄性疾患多発神経炎]](Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP)、などがある。また、最近の研究により[[統合失調症]]との関連が示唆されている<ref><pubmed>18538868</pubmed></ref> <ref><pubmed>20216548</pubmed></ref> <ref><pubmed>21196354</pubmed></ref>。髄鞘形成が不完全な[[髄鞘形成不全疾患]](dysmyelinating disease)とは区別される。 | ||
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